不動産

やっちまったな!タワマンニュース2連発!

投稿日:2021年6月16日 更新日:

この数日間でタワーマンションに関する「あまりよくないニュース」が立て続けに報道されていたので、同じタワマン住人であるみなオジがこれらに関する検証・感想を書いていこうかなと思います。

先に言っておくと、別にこれらのニュースはタワマンでなくても普通に起こりえる事案なので、いちいち過敏に反応する必要はないのですが、報道する側も(意図的にか)曖昧にさらっと流している部分もあるので、これらの報道内容を補足する感じで書いています。

この手の報道が後を絶たないのは、「タワーマンション」+「事件」というタイトルが非常に購読数を稼げるものであることから、取り上げられやすい傾向にあるという理由からでしょう。事件報道は間接的にとはいえ、マンションに対する風評被害にもつながる為、これも「レピュテーションリスク」の一類型に含まれるでしょう。ただし、リスク対策しようにも「もらい事故」的な側面もあり、中々対応策も無いのが現状でしょう。リスクに晒されているタワマン住人にとっては迷惑極まりないものですが、有名税だと思って逆に注目の的なのだと切り替えていくしかないでしょう。

タワマン管理にも「風評リスク」対策を取り入れるべき

この手の報道が後を絶たないのは、「タワーマンション」+「事件」というタイトルが非常に購読数を稼げるものであることから、安易に記事化される傾向にあるからでしょう。事件報道は間接的にではありますが、マンションに対する風評被害にもつながる為、これも「レピュテーション(風評悪化による信用棄損)リスク」の一類型に含まれるでしょう。ただし、リスク対策しようにも「もらい事故」的な側面もあり、効果的な対応策も無いのが現状です。

下記に、都心のタワーマンションが事件の舞台になり易い背景をみなオジなりに検証してみました。

都心タワーマンションが事件の舞台となる要因
① 利便性が高い(ヒト・モノ・カネが集まりやすい)
セキュリティが高い(良くも悪くも)
③ 実需で購入する割合が低い(法人も含め、投資用で取得するケースが高い)事から、マンション内のガバナンス意識が低い。

③については構造上の問題であるので対応策は取りにくいでしょう。リスク対策としては管理会社も巻き込んで、住民自治意識を高めていくことが重要かと思います。

リスクに晒されているタワマン住人にとっては迷惑極まりないものですが、有名税だと思って逆に注目の的なのだと割り切るか、マンションのHPを作成する等して、マンション内のコミュニケーションを高め、一方で対外的にも積極的に発信(広報担当の理事を置き、誤った内容の情報や事件報道がされた場合の削除依頼等の対応を行う)していくしかないでしょう。

【事件報道~タワーマンションが賭場に?】

六本木、2億円タワマンに闇カジノ 五輪浄化作戦で摘発

東京・六本木のタワーマンションの一室で賭博店を開いたとして、警視庁は14日深夜、賭博開帳図利などの疑いで店長ら店の関係者で40~50代の男6人を現行犯逮捕した。客の男女2人も賭博容疑で逮捕した。東京五輪・パラリンピックに向けた繁華街の「浄化対策」の一環で、暴力団の関与についても調べる方針。

引用元:朝日新聞デジタル6/15(火)
現場地図(ピン止めされているのが六本木ヒルズレジデンスD棟
※その隣にロレックスブティックがあります
画像引用::朝日新聞デジタル6/15(火)

写真もあるので今回の現場は1秒で特定できました。というか、みなオジは前日このマンションの前を歩いてました…(苦笑)マンション名を言うと「六本木ヒルズレジデンスD棟」ですね。蔦屋(TSUTAYA)の隣、テレ朝の向かいの建物で1階にはアルマーニの店舗が入っています。なぜ、このマンションの前を歩いていたかというと…

そうです、ロレックスマラソン中でした。(なので正確には「歩き」ではない?)D棟の隣にロレックスのブティック(正規店)があるのです。

この通りには、先述したアルマーニルイヴィトンのハイブランド、グランドハイアットといった一流ホテルが連なる日本最高峰のエリアです。

タワマンの特徴であるセキュリティの高さを逆手に取った犯行か

今回の賭博では看板などは設置せず(まあ当たり前だろ)、摘発を逃れるためにセキュリティーの高いタワマンで開業し、口コミで集客して複数の客に現金をかけるバカラやポーカー賭博をさせたというもの。

実際にタワマンに住んでいると実感できるのですが、エントランスから自分の部屋まで入るのにどのくらいのゲートをくぐり、ロック解除をしなければならないか。

我々住人は専有部の鍵を持っているので、それ程苦ではないですが、良く館内で右往左往しているウーバーイーツ配達員を見かけます。まさに、Uber殺しといえるのがタワマンです。おそらく配達員はマンションへの配達は効率面から考えても避けたい場所の一つでしょう。

六本木ヒルズレジデンスの特徴・お値段は?

同報道によると場所は港区六本木六丁目の高級分譲マンションで、部屋は約80平方メートルの2LDKで、不動産業者のサイトなどによると、売買価格は2億円前後という事です。

たまにニュース記事は間違った情報を出しているので、習慣としてみなオジはエビデンスを確認しますが、実はこのクラスになると中古相場というのはあまり安定しておらず、出物が少ない事もあり、「言い値」で取引されることが多いです。買主の方も多くは資産家なので、数千~1億円位の価格差は誤差として考え、むしろ今その物件をやっと手に入れることができるという想い(ヒルズに住めるというステータス感)が勝って、多少予算を超えていたとしても購入してしまうのです。

という事で、一般の賃貸・中古市場についてあれこれ検証してもそれ程参考になりませんが、一応、物件サイトで見てみましょう。

報道内容を見返すと賭場として使われた部屋は80㎡の2LDKという事でした(階数は不明ですが、違法賭博を開帳するんだから、低層という事は無いわな…)。

現在六本木ヒルズレジデンスの住戸は、予想通り売り出し中ではありませんでした。そもそも、ヒルズクラスのレア物件がオープンな物件サイトに載っていることは少ないです。仲介に依頼をしても、引き合いが多すぎて自社サイトに乗せる前に相対で売買が成立したり、エージェントが買主側から特命を受けて水面下の交渉で決まる事も多いのではないでしょうか。

一方、賃貸物件は数部屋出ていましたが、残念ながら今回の舞台となったレジデンスのD棟はありませんでした。そのため、棟違いで一番条件が近い部屋(90㎡、2LDK)を見ていくことにします。注目の賃料は堂々の85万円/月です。投資目線で売買価格を算出すると約2億5000万円と出ましたので、80㎡に引き直すと2億円前後というのは当たらずとも遠からずでしょう。

六本木ヒルズが今回の賭場となった理由は?

冒頭でも述べた通り、賭博場の開帳は別にタワマンに限った話ではなく、それこそ新宿の雑居ビルの地下で行われていても不思議ではない話です。今回は六本木ヒルズレジデンスという一番犯罪に縁遠そうなセレブ御用達のマンションが犯行現場になったという事で、話題性(もしくは意外性)があったという事でしょう。

個人的には「木を隠すなら森の中」と言われる様に、タワマンよりも雑然とした雑居ビルの一室の方が警察の捜査の目をかいくぐれるような気がします。なぜなら、セキュリティが高いタワマンはエントランスに何十もの監視カメラが置かれている事から、証拠として犯人を抑えやすいからです。(捜査令状取れば、一発で映像チェックできます。)そして、今回の事件では賭博容疑でも2人の客を逮捕しているので、警察はマンション管理会社と連携して賭博行為に着手した時を虎視眈々と狙っていたのでしょう。

一方で客層(ターゲット)を考えると、六本木ヒルズは金を持て余した資産家が集うエリアなので、近隣住人としては賭博場が近くでしかも自分が住んでいるマンションの敷地内にあるならば、罪悪感(抵抗感)なく賭博場に入っていけるという敷居の低さを演出できるので、その点からも賭博場として白羽の矢が立った理由なのではないでしょうか。あと、個人的に気になっているのは、このマンションに住んでいる住人や近隣に勤めている高給取り(古くはヒルズ族、芸能人や外交官等)がスリル欲しさに安易な気持ちで逮捕されていないかなというところです。

タワマンのイメージ低下はあるか?

タワーマンションは前述のセキュリティの高さもあり、普段中の様子や生活感を窺う事はできません。さらに六本木ヒルズレジデンスくらいの最高級物件になると、かなり特殊な(身分・立場の)人しか住んでいない伏魔殿のイメージを持ってしまいます。この様に、人は良くわからないもの、理解できないものについては、「こうあって欲しい」という想像で好き勝手に書き立てたり、もっと単純に妬み嫉みで悪口をいう人が多いのです。

みなオジも一応、港区タワマンの住人ですが、六本木ヒルズとは比べ物にならないつつましやかなマンションなので、ヒルズ内で何か良からぬこと(仮面舞踏会とか?知らんけど)が秘密裏に行れているのではないかと(文字通り、貧困な)妄想をしてしまいます。

この事からも、著名人の有名税ではないですが、良くも悪くも目立ってしまう事は避けようが無いのではないかと思います。むしろ六本木ヒルズともなると、この様な報道もしたたかにプラスにブランディングしてきそうで怖いです。穿った見方をすれば、もっと隠したい「何か」は上手に隠し通せているのではないかとさえ感じてしまいます。

報道などでは興味本位で(的外れな事も含め)色々といわれますが、安心して欲しいのは的外れな事を言っている人のほとんどは、タワマンの価値を知らない人でその物件を購入することができない人なのです。つまり、いくら場外で騒いだところでその物件のマンションの価値が下がる事はありません。

主なタワマンゴシップ
① 修繕積立金が高騰して修繕できない
② ①の修繕がされずに住民が出ていきスラム化
③ ②により、タワマンの価値下落
庶民に心配されてもねぇ…

関連ブログ だからタワーマンションは世間から叩かれる!?は→コチラ

立地・設えに優れた最高級タワーマンションを購入できる層は、当然その価値観を分かっていますので、タワーマンションの所有者は、購入可能な層ときちんと向き合っていれば何ら問題がありません。事実、これまで様々なタワマンゴシップが発信されても、都心の高級タワマンの相場は右肩上がり(しかも他のエリアの高騰異率より高い水準)で上がっています。それは、分譲から時が経っても、高級タワーマンションの希少性と経年優化は富裕層の一定数に認めらているという証左なのです。

【施工不良トラブル~争いも過ぎれば毒】

これも、タワマン固有の問題では無いですが、論点を上手くすり替えて「タワマンがヤバイ」という様な論調になっていますね。この手の施工トラブルは全国各地、大規模から小規模までいたるところで起こっています。今回の様に報道も定期的に発生しますが、これも大規模マンション(特に話題性のあるタワマン)が取り上げられる傾向が強く、実際のトラブル案件は戸建の方が圧倒的に多いと思いますが、話題性の無さから取り上げられることはほとんどないと言っていいでしょう。

野村不動産 「超高級タワマン」のトラブルに購入者が大激怒

今、大規模な再開発が行われている東京都小金井市に聳(そび)える駅直結の超高級ツインタワーマンション『プラウドタワー武蔵小金井クロス』をめぐって大騒動が起きている。スーパーゼネコンの清水建設が施工を担当し、売り主は大手デベロッパーの野村不動産。総戸数は716戸で、価格は4LDKで最高1億9000万円だ。Tさんが言う。

引用元:『FRIDAY』2021年6月18日号

プラウドタワー武蔵小金井クロスは、駅前再開発で’20年5月竣工したツインタワーですね。販売HPが開いているので、当然竣工して引渡し後も先着順で販売を継続しているという事です。

発覚の経緯は?

事の発端は購入者のTさんが、上階の部屋の足音がうるさいとして、検査会社に調査依頼をした結果、防音設備以外にもいろいろな不備が見つかったという事らしいです。そして、以下がその民間調査会社のコメントです。

本誌は調査を担当した建築検査士の岩山健一氏に取材を申し込み、話を聞いた。
「私が調査して見つかった欠陥は①防音設備 ②耐火設備 ③耐水設備の主に三つです。①については上下階の間にある二重床の支持脚(階を持ち上げるための脚)に遮音性のゴムが使われていない箇所が発見されました。その結果、音が響いてしまっていたんです。②は全戸に付いているメーターボックス内に使う石膏ボードの貼り方に問題がありました。石膏ボードを貼り付ける際に打つタッカー(留め金)の間隔が、国土交通大臣が定める基準を満たしていませんでした。
ここにはガスの配管などが入っています。ボードの固定が甘いと、発火した際に延焼が起きやすくなります。③はトイレ内の手洗い付近の壁には耐水石膏ボードを使用しなければいけないのに、普通の石膏ボードを使用していたんです。当然、湿気に弱くなり、腐食の原因になります」
引用元:『FRIDAY』2021年6月18日号

その結果、売主である野村不動産と施工会社の清水建設は後日、マンションの理事会で「施工不良」を認めたという事です。この様に、結論としては施工側に落ち度があったという結果に落ち着いたので、ここからは粛々と建材を変えて補修作業に移るという事になると思いますが、ミスした側の態度として販売を続けているのはどうなのかと、Tさんらから不満が噴出しているという事のようです。(つまり、反省の色が無い!怪しからん!という事。気持ちはわからなくもないですが…)

物件HP:通常営業中(当たり前)

ただし、同じ買主側の立場で言わせてもらえば、Tさんはこの事をマスコミにリークしたことで、他の買主の財産(マンションの価値)を毀損したと言われても仕方がない状態になってしまったのではないかという懸念をもっています。

建設工事という性質上、不具合を0にするのは物理的に無理

そもそも、マンションをはじめとする建物の建設工事においては、施工ミスがない事が理想ではありますが、現実的に全ての欠陥を生じさせない事は物理的に無理であることから、売主側の義務として定期補修やアフターフォローの体制を取り、箇所ごとに2年、3年、5年等の保証期間を設けて、その期間内であれば売主が責任をもって瑕疵補修するという仕組みとなっています。

更に、建物の「重要な構造部分」に関しては品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)上10年の瑕疵担保責任を負う事になっているのです。(任意で10年より長くする事も可)

ですので、当該物件の欠陥が判明し、それを売主が認めたからと言って、残る住戸の販売を中止させることは、契約者の権限外の事になってしますのです。むしろ、相手方が不具合を認めているのに、殊更そのトラブルを外部に広めることで他の契約者の資産価値を貶める結果となった場合は、その責任を負うのはTさん側になる可能性すらあるのです。個人的には、Tさんが大手の売主の対応力を見誤った結果、この様な大騒ぎに発展してしまったのではないかと思います。

大手デベロッパーのトラブル対応力=ブランド力

みなオジも不動産投資家として、むやみに売主の肩を持つつもりは毛頭ありませんが、買主はこういう時の為に、多少高くても大手のブランドマンションを購入するのではないでしょうか。

はっきり言って、売主のブランド力というのは、デザイン面の秀逸さコンセプトワークのすばらしさのみならず、今回の様にネガティブな状況に陥った時の対応力にあると言っても過言ではありません。過去にあった同様のトラブル事例を見ても、大手のデベロッパー程、手厚い保障と迅速な対応を行っていたことが分かるでしょう。(まあ、時にやりすぎだなと感じる時もありますが)

安普請(やすぶしん)が売りの中小デべのマンションの場合、なんだかんだ理屈を付けてまともに取り合わないかもしれませんし、2005年に構造計算書偽造問題で営業停止した「ヒューザー」(のち破産)の様に、是正に対応するだけの体力が無いケースも多いのです。いずれにせよ、大手のデベロッパーは瑕疵に関する法律の縛りと自らのブランド保全及びこれまで積み上げてきた事業実績の為に、その不具合を放置するという選択肢はないのです。

買主と売主は雇い主と奴隷の関係ではない

更にいえば、マンションの契約当事者は他の物の売買とは異なり、品確法の要請から10年にもわたる長期間、売主・買主の関係が続くと考えなければなりません。ですので、いくら相手方に落ち度があるからと言って、鬼の首を取ったかのように売主を攻め立てて、自分たちの要求だけを過剰に主張してしまうと、最初、得をしたような事があったとしても、最終的には買主側の損失が大きかったなんて事になりかねません。双方感情的になる事で、長年住むことになるマンションの住み心地が更に悪くなる可能性もあります。

過剰な期待は失望の元

記事の導入部を見ると、「私はサラリーマンとして働いて、30年以上かけて貯めてきたお金と退職金をつぎ込んで、8000万円以上のこのマンションを買いました…」とあるように、「これだけ、自分はなけなしの金を出したんだから、納得できるレベルは相当高い」という極めて感情的な心理状態であった事は明らかで、Tさんが本物件に求めていた水準は相当に高かったのではないかと危惧します。

騒音の問題は、ハードだけで何とかなる問題ではない

例えば、クレームのきっかけの上階の足音の問題ですが、仮に二重床の支持脚に遮音性のゴムを規定通りに使っていたとしても、Tさんが納得できない水準の足音が聞こえた場合は、一体どの様に自分を納得させるのでしょうか?(私の見立てでは、遮音性のゴムに替えたとしても、全ての音を消すことは不可能です。マンション管理士の知識と現にタワマンに居住する経験上、騒音問題はハードで解決するのは3割程度、住人の使い方と意識で解決するのが7割だと思います。)

私の様に、Tさんもマンションに対してそこまで過剰に期待していなければ、ストレスも感じなかったでしょう。言い方を変えれば、Tさんがそんなに音に敏感ならば戸建を購入すべきだった(少なくとも「乾式壁」が多く使われるタワマンの上層階は避けるべきだった)のだと思います。(ちょっと厳しい言い方だったかな?)

まとめ

性質の異なる2つの事案を元にタワマンに起きるリスクについて語りました。結局のところ、タワマンでも起こる事は普通のマンションでも起こる訳で、そのために価値の毀損を恐れるのであれば、マンションなんぞは購入しない方が精神衛生上良いのではないかと考えます。

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