昨今のロレックスブームで、今年になって、初めてロレックスを購入したという人も多いのではないでしょうか。これまでクォーツ(電池時計)やデジタル時計を使用していた人は特に、自動巻きの機械式時計を使うと使用方法やメンテナンスに戸惑う事も多いのと思います。かくいうみなオジも初めてロレックスを購入した時は、操作方法にドキドキ経験がありますので、初心者向けにごく簡単に注意点等を解説したいと思います。
目次
基本編
付属品の保管
これを一番に挙げると、転売ありきで邪道と思われてしまうかもしれませんが、誤解を恐れずに言わせていただくと、「時計を大切にする」という基本中の基本が「備品の管理」に宿っていると考えるのです。特に高価な精密機械である腕時計のオーナーとして、備品管理できない人が長い間その時計を使い続けられるとは到底思えないのです。
機能編
ロレックス使用の注意点を語る前に、まずは「機能」を理解する必要があります。ロレックスが「実用時計の最高峰ブランド」と呼ばれる所以、それはロレックスが発明した、以下の「三大機構」にあります。
①オイスターケース →イギリスのオイスター社が開発し、1926年にオイスター社を傘下に収めたロレックスが完成させた完全防水の時計ケースの事。金属の塊からケースを削りだし、裏蓋とリューズをねじ込み式にすることで、牡蠣(オイスター)の殻のように高い気密性を保持し、ケース内部への水や埃の侵入を防いでいる。ロレックス3大機構の一つで、1926年にスイス連邦著作権局に特許申請している。 |
②パーペチュアル機構 →1931年にエミール・ボーラーが、半円形のローターを回転させる事でゼンマイを巻き上げる方法を開発し、これが世界初の自動巻きムーブメントとなる。パーペチュアルとは、『永遠』『永久』という意味。 1933年には、『オートローター』として特許を取得し、商標を『ロレックス・パーペチュアル』とした。 |
③デイトジャスト機構 →1945年発明された日付表示機能。午前0時ぴったりに日付が瞬時に変わるのが特徴。ロレックスを代表するモデルである「デイトジャスト」には、ロレックスの3大発明すべてが搭載され、これをきっかけに同社も実用腕時計ブランドの第一人者として押しも押されもせぬ存在となった。 |
防水性
サブマリーナ等、「海での利用」を想定したモデルが充実しているロレックスですので、防水性に関する技術はトップクラスと言って良いでしょう。「実用時計」の一番のキモは、場所を問わず使う事ができる「使いまわしの良さ」にありますが、ロレックスは防水機能を他のブランドに先駆けて発明したことで実用時計の先駆者として脚光を浴びることになります。
「オイスター(蠣)ケース」の名称を冠したねじ込み式の裏蓋と金属塊をくりぬいて作られているケースにより継ぎ目の無い構造を実現し高い防水性を誇り、ロレックスはその技術を以て、1926年(スイス)を皮切りに各国で特許を取得しました。オイスターケースの発明により、ロレックスの時計は取得当時は50m防水を、現在ではドレスウォッチを除くスポーツモデルは100mの防水機能を誇っています。
雨の日は使っていい?
防水機能が高いと言っても、それはきちんとリューズを締めた場合の話です。時刻や日付を変えた際にリューズを忘れずに締めこまなければ、雨などのわずかな水分でもその隙間から侵入してしまいます。侵入した水分により風防が曇ったり、最悪機械内部が錆び付くことになります。
また、きちんとした用法で使用していたとしてもケース自体の防水性は文句ないレベルですが、リューズのパッキンはゴム製ですので、どうしても経年劣化します。パッキンが硬化し、ひび割れることで隙間から水分が侵入するというのは良くある話ですので、オーバーホールは10年に一度を目途に必ず行うようにしてください。リューズ交換はオプション扱いですが、5,000円程度でできる項目ですのでケチらずに行う事をおススメします。
自動巻きの時計のメンテナンス
これまでクオーツ派、デジタル派の人は、初めて自動巻時計に戸惑う点が多いのではないでしょうか。まず一つ目は、単純に「時間合わせ」がめんどくさいという点。最新のムーブメントは70時間のパワーリザーブ機能(ゼンマイを手で巻き上げた後、動き続ける時間)があるので、土日は時計を着けない人でも週明けに時間合わせをする必要が無くなりましたが、ひと昔前のムーブメントのリザーブは48時間でしたので週明けに出社してわざわざ会社のデスクで時報にかけて時計の時間合わせをする上司(当時は何かカッコいいなと思っていましたが、今思うと要らないパフォーマンスだな…と正直思います)がいたのを思い出しました。
めんどくさいと言えばめんどくさいですが、時間を自分でコントロールできる比較的ゆとりのある今の立場ですと、1週間の始まりのルーチンとして「時計の時間合わせ」というのは、良いものだなと感じる様になりました。
ちなみに、週明けに止まっている時計を着けて、すぐにリューズを巻く行為はあまり良い行為ではありません。ロレックスの時計は自動巻きなので、手でリューズを巻かなくても、ローターを回転させて(手の挙動により)動力が伝える方法がありますが、リザーブが切れ動きが止まった状態では、内部機構の負担軽減の為、手でリューズを巻いてゼンマイに動力を伝えた方が良いとのことです。
この辺りは、メーカーによって最適な方法があるかもしれません。例えば、リューズの巻きすぎはNGと言うメーカーも聞いたことがありますが、ロレックスに関しては巻きすぎたからと言って故障するようなことはありません。(大体40巻きくらいでフルリザーブ状態になるという事です)
ちなみに日付機能の付いたモデル(デイトジャスト、サブマリーナ等)では、時間が止まると日付機能も止まってしまうので、日にちも一緒に合わせる必要がありますが、ロレックスの一部のモデルには「日付早送り禁止時間帯」というものがあり、日付変更操作をある一定の時間(20時から翌朝の4時の間)に行うと故障の原因になってしまいます。(新型のムーブメント(Cal.3235)や短針が単独で動く様なエクスプローラⅡ、GMTマスターⅡはそのような制約はないです)
自転車は乗って良いか?
基本的に問題ないというのが、スタッフやメーカーからの回答でした。もちろんBMXの様な競技自転車はNG(というか、時計が壊れる前に手首怪我しますよね)ですが、街乗りサイクリング程度では問題との事です。そもそも、エクスプローラー、サブマリーナを始めとするプロフェッショナルモデルについては、よりタフな環境(洞窟探検、潜水、クルマ・飛行機の操縦)での使用を想定しているので、それらの懸念は低いでしょう。ちなみに、これまで一部の高級モデルにのみ搭載されていた「パラフレックス ショック・アブソーバ」ですが、最近ではデイトジャスト(Cal.3235)を始めとする32系のムーブメントにも備わり、多くのモデルで耐衝撃性能が向上しています。
保管場所(ワインディングマシーン)
ロレックスだけではありませんが、機械式時計の弱点は磁気帯びにあります。(磁気帯びにより、時計の精度が落ちることに)ロレックスでは「ミルガウス」といった一部の時計に耐磁機能を備えたモデルがありますが、そうであっても、精密機械である時計の保管場所は気を使うべきでしょう。
みなオジは、時計をPCやTV等の家電から放出される磁気から時計を守り、埃や油汚れが付かない様にワインディングマシーンに保管していますが、ワインディング機能(時計を定期的に揺らし、パワーリザーブに動力を送る事)はOFFにしています。その理由は、週明けに時報を聞きながら時間合わせを見せたいからではなく、ワインディングにより、ムーブメント内の歯車が摩耗するのを防ぐためです。もちろんあまりにも長期間使用しない場合は、ムーブメント内で潤滑油が固着するという不具合もあるのですが、ずっと動かすという事は時計にとってそれ以上に負担となる行為なのです。
さいごに
1本でまとめようと書いていましたが、ボリューム的に2本に分けて書いていくことにします。大切に時計を使うにはまずはその時計の歴史と基本性能を知っておく必要があると思い、前段的にダラダラと書いていきました。
後半は【メンテナンス編】として、オーナーだからこそ気づくことができるメンテナンスの注意点や、オーバーホールに関する注意点などを深堀りしていきたいと思います。
関連過去ブログ:ロレックスを購入後に知っておくべき事【メンテナンス編】は→コチラ