東京司法書士会では「新型コロナウイルス感染症に伴う司法書士会費の特別な減額」が決定され、会員につき令和2年6月分から9月分までの4か月間、月額2,700円の減額が決定され、計10,800円が9月に返還されました。
これは弁護士などの他士業と同様、支払いが困難な事由がある場合の会費の減免措置の一環の様です。司法書士会においては、家族の介護や出産・育児などの特段の事由があれば、その申請をすることで従来からこれらの減免措置が受けられていましたが、今回は特例措置としての決定だったようです。
司法書士になるには原則、司法書士試験に合格する必要があり、更に司法書士の登録を経て初めて司法書士を名乗り、業務を受任することができます。裏から読めば登録をせずに一匹狼で業務を行う事は認められていないのです。
司法書士の年会費はいくらか知ってますか?
ここまでは皆さんご存知かもしれませんが、司法書士として登録する場合は司法書士会に会費を支払う必要があります。この金額がいくらかは皆さんご存知ないかも知れませんね。会費は司法書士会(全国に50の司法書士会があります)によって多少の違いがあり、年度によっても金額は変わりますが、私が所属する東京司法書士会では令和2年度は年21万2400円納入する必要があります。
この額が高いか安かは人それぞれ感じる所はあろうかと思いますが、私は非常に良心的な額かと思います。なぜなら、司法書士会とその各組織が法律の定めにより設立した日本司法書士連合会は法改正や最新先例等の有益な情報や司法書士として備えるべき知識の研鑽のために各種研修実施の取りまとめ等を行っており、司法書士の地位向上のために政治的な働き掛けから、弁護士、行政書士などの隣接士業との業際の調整にも関わっているからです。これを司法書士一人一人がバラバラに対応していると、司法書士としての地位や品位が維持できなくなると思います。(一方で左記に掲げる司法書士としての品位に欠ける会員についての懲戒を行っています。=自主懲戒権)
これらを考えると、司法書士にとって不可欠な組織であることが分かりますし、我々も普通に業務を行っていれば月々の会費は十分元が取れる額と思います。ちなみに会費は期首に一括払いか、月々の口座引き落としが選択できますが、私は煩わしいので一括で支払うことが多いです。
さて、今回のコロナ禍において、司法書士の経営状況はどのように変化したのでしょうか?私の周辺の同業者においては、それほど影響はなかったといいます。そもそも司法書士は好景気な時は当然業務が増えますし(不動産登記申請、決済業務、会社関連の登記)、景気が悪くなった場合でも債務整理や会社の解散などにおける諸手続きの需要があります。(ちなみに、行政書士はコロナ関連の持続化給付金の申請代理業務で有償支援が認めらているようです。税理士などの他士業は「電子申請が困難なものに対する申請サポートを通じた支援」に限定)
日本税理士連合会「持続化給付金の申請の支援に係る留意点について」https://www.nichizeiren.or.jp/whats-new/200525a/
個人的には司法書士個々の取扱領域により受けた影響は様々と思いますが、互助会的な性質も有する司法書士会の温情措置としてこの度の決定があったのではないかと思います。
他の士業の会費事情
今回少し気になったので、他士業の会費の比較をしてみました。(地域、登録年数により異なる士業団体もありますので、おおよその参考程度として。また、支部会や政治連盟などの関連組織(準強制入会)への費用も含まれる場合があります)
資格 | 会費(資格維持費) |
弁護士 | 20万~40万円/年間 |
行政書士 | 10万円前後/年間 |
税理士 | 10~16万円/年間 |
公認会計士(正会員) | 10~12万円/年間 |
(参考:資格維持にかかる費用) ファイナンシャルプランナー(AFP/CFP) | 1万2,000円+α(継続教育にかかる費用)/年間 ※ |
※日本FP協会:入会金及び年会費の学生割引制度のご案内https://www.jafp.or.jp/kojin/info/gakuwari/