少し溜めようかとも思いましたが、前回の専有部分編に続き、あるとポイントが高いなと感じるマンション設備・仕様【共有部分編】をお送りします。
目次
本題に入る前に究極の2択
さて本題に入る前に、皆さんは購入の際にこんな究極の選択をしなければならないとしたら、どちらを選ぶでしょうかね?同価格の二つのマンションがあったとして、一つ目は専有部(住居)がショボいが共用部分が超ゴージャスなマンション。もう一つは、共用部分がショボいが専有部が超ゴージャスなマンション。もちろん、この質問には正解はありません(そもそも、専有部と共有部は、大体正比例関係にあるので極端に差があるようなマンションはないです。)敢えて、この質問にみなオジが答えるとしたら、専有部(住居)がショボいが共用部分が超ゴージャスなマンション、と答えると思います。
共用部を重視する理由・根拠
共用部は後で手を加えることができないから
みなオジが共用部分を重視する理由は大きく二つあります。まず一つ目として、専有部分はリフォームやリノベでアップグレードができるからです。究極的にはこの理由につきます。共有部分の改修や用途変更等できないことはありませんが、所有者の意思決定が必要なのと仮に、所有者のコンセンサスが取れたとしても、その資金が捻出できるかどうか(つまり、一時金など追加費用の徴収が生じる可能性が高い)という問題があります。結局、管理組合総会で議決が通らない可能性が高いという意味で、ハードルは極めて高いと言わざるを得ないでしょう。逆に言えば、売却時も買主側は専有部分が多少気に入らないとしても、買ってからリノベすればいいかと考えるので、専有部分の欠点には目をつぶっても良いと考えるのです。
個人では所有できないような豪華施設が利用できるから
二つ目は、マンションを選択する人の動機の大きな一角を占める理由に、豪華な共有部を使用できるという事があるからです。例えば、戸建住宅で、パーティールームを造るのは費用的にも効率が悪いですし、そもそも、使用頻度的にも優先順位が低いでしょう。また、(その存在の是非はさておき)プールや温泉などの維持管理に費用が掛かる施設であっても、所有者が多い大規模マンションであれば、多少管理費が上がるでしょうが、マンションならではのスケールメリットを生かして使用できるでしょう。個人的にはマンションが戸建てに対して一番差別化を図れる部分ではないかと考えます。
しかし一方で大規模マンションとはいえ維持コストが掛かるから豪華な共有部は不要だという人もいます。ただ、プール付きのマンションを購入の選択肢に入れる人はそのコストを惜しいと思わない人達ですから、不要論を掲げる人とはそもそも議論がかみ合わないはずです。たとえて言うならマンションの豪華施設は飛行機のファーストクラスのようなものですが、ファーストクラスに乗る人はそのチケット代が高いとか惜しいと思いながらは乗ってはいないはずです。下の写真は、港区の、とある高級物件の共用施設ですが、インフィニティプールを自宅にいながら使用できるなんて、凄いですよね。
この様な理由から、エントランスを含めマンションの共有部は物件のセールスポイントとしてデベロッパーも重視してお金をかけています。個人的にも、専有部と共有部の豪華さをいずれか選べと言われれば、共有部を重要視します。現にマンションの価格維持率は小規模物件よりスケールメリットを活かせる大規模物件(特にタワーマンション)に圧倒的に軍配が上がります。
共有部編【価格維持・友人を呼びたくなる・コスト面、の3項目で評価】
上記を踏まえて、みなオジが評価する共用部を挙げていきたいと思います。評価ポイントは①その物件の価値を高める(つまり、リセールバリューがある事)、②来客にインパクトを与える(つまり、下衆ない方をすれば友人や親せきを呼んでドヤれる事)、③維持管理コスト面で効率が良い事(つまり、その共用部が使い勝手が良く金食い虫ではない事)、です。
豪華なエントランス&コンシェルジュサービス【A・A・A】
エントランスは、個人的に「キングオブ共用部」だと言えます。なぜなら、エントランスは人間でいえば、まさに「顔」と言え、荘厳華麗なエントランスは来訪者の心をつかみます。高級マンションの来訪者は、まずそのエントランスの豪華な外観に衝撃を受けるでしょう。住居の売却時においてもエントランスが豪華かどうかで内覧者のテンションは天と地ほど変わってきます。最初のチェックポイントであるエントランスが貧弱であれば、その後に内覧する専有部分で印象を覆すのは至難の業でしょう。
ちなみに、コンシェルジュが常駐する物件は、人件費コストに跳ね返ってくるでしょうが、ハード面だけではなくソフト面の充実もマンションの価値向上には不可欠だと思います。管理人とコンシェルジュとは本来役割が異なるため、兼任できるものではなく、コストは掛かりますがその分細かなサービスの提供が可能になるでしょう。特に大規模マンションでは、下記に挙げるゲストルームやパーティルーム、フィットネスジムなど予約が必要な施設などもありますので、それらの管理とセットにせざるを得ないことから大規模物件では必須のサービスと言えます。
免震(制震)設備【S・C・C】
災害大国である日本において、一番のリスクは地震災害ではないかと思います。不動産はおそらく人生で一番の高額な買い物ですので、自身が住む建物に被害がない事は非常に重要と言えます。(何より、そこに住んでいる自分および大切な家族の命を守る、免震設備は非常に重要な設備と言えます。)
そういう意味では、派手さは無いですが、富裕者層ほど、安全設備を住居に求めるのではないでしょうか。クルマも移動するだけなら軽自動車でいいところ、富裕者層からベンツなどの高級車が選ばれるのは、まさに移動ツールとしてだけでなく、快適性や安全性も求められているからであり、同様にマンションも安心・安全のニーズは非常に高いわけです。特に富裕者層ほど安全性を求める傾向があり、高額な物件程、災害対策には気を遣う(つまり、お金をケチらない)のです。
セキュリティ【A・C・C】
最近ではトリプルロックは当たり前
ひと昔前は、各住戸に加えてエントランスとエレベータホールにオートロックがあれば十分で、エレベータ操作もタッチレスキー(共用部と住戸階しか止まらない)が必要な位のセキュリティーシステムですと、厳重ですねぇ、等と言っていたのですが、最近では①アプローチ、②エントランス、③エレベーターホール、④エレベータ内操作盤、⑤各住戸ごとのエレベーターホール、⓺住戸玄関と、どんだけ関門作るんだよ!と来客が突っ込んでくる位、オートロックセキュリティが厳重になっています。
安全と快適性を両立したセキュリティシステム
みなオジの様な一般人には過剰かもしれませんが、これのおかげで、しつこい訪問販売や怪しい勧誘は全く来なくなりました。(おそらく、Uberの配達員もウチのマンションには来たくないでしょう。)また、住人自身も帰宅の際はめんどくさいのではないか?と思われる方もいるかもしれませんが、大抵はタッチレスキー(キーヘッドの部分にICチップが入っている)を持っているので、両手がふさがっていてもカバンから鍵を出さずにロック解除されます。また、最近ではエントランスに入館するとそれに連動してエレベーターがエントランス階に待機する等、エレベーター待ちのストレスが無くで住戸に帰宅できるようなシステム等も導入されています。(個人的にはそれくらい待てるだろうと思いますが…)
セキュリティにもDX化の波が
この様に、マンションのセキュリティはますます最先端のDXで支えられるだろうと予想されますが、防災センターに警備員が24H常駐してくれる大規模タワマン型のセキュリティー体制が巡り巡って一番安心できるのではないかと考えるみなオジはアナログなのでしょうか??泥棒の気持ちは分かりませんが、警備員が24時間巡回してくれるだけで、 犯罪の抑止力は相当高まるのではないかと思います。また、犯罪以外のトラブル(救急・災害・館内設備の故障)もマンション内の防災センターから迅速かつ柔軟に対応できるというのもアナログならではの強みではないでしょうか。
ゲーテッド・コミュニティを体現しうるマンション型セキュリティ
話は逸れますが、アメリカの高級住宅エリアや東南アジアの外国人向け居住エリアはフェンスやゲートで囲って検問所に守衛が常時配備されています(いわゆる「ゲーテッド・コミュニティ」)。監視カメラやオートロック等のデジタル技術は、訪問販売員等の(うっとおしい存在ではありますが)遵法意識のある人の侵入しか防ぐことができないといわれています。言い方を変えれば強盗などの無法者には効果がほとんどなく、力づくで侵入された後はされるがままに蹂躙されるという事です。「日本は犯罪の少ない社会である」という安全神話が語られていますが、これまで日本の安全が担保されていたのは、警察の力というより貧富の差が少ない事から貧困に起因する犯罪が生まれる余地が無かっただけという社会的背景があったからです。近い将来、日本も本格的な格差社会が到来するので、平和ボケした防犯意識を根本的に見直さなければならない段階にきていると考えています。その際、DX技術はあくまでも補助的なものという意識でいないと、思わぬ抜け穴でセキュリティが無力化してしまうかもしれません。外国のゲーテッド・コミュニティを日本で作るのはハードルが高いかもしれませんが、ある意味警備員が24H常駐している大規模マンションやタワーマンションが疑似的ゲーテッド・コミュニティになりえるのではないかと思います。
ゲストルーム【C・A・C】
ゲストルームは来客が宿泊することができるマンション内の部屋で、事前に予約することで(比較的お手頃価格で)利用することができます。特に高級マンションでは、ゲストルームも一流ホテルにも負けないグレードの室内になっており、非常にドヤれる(?)施設といえます。しかし、多くの場合、マンションの戸数に比べゲストルームが少ない(通常は1~2部屋)ので、予約を取ること自体が至難の業です。また、都心のマンションであれば、半径1キロ圏内にホテルがあるはずで、そこまで必要かといわれれば、やはりドヤり施設の域を出ないのではないかなと感じます。
スタディルーム・コミュニティルーム・パーティルーム【B・A・B】
物件によって色々な名称があります(場合によっては複数使い分けされている)が、目的によって広さや設備に違いがある程度です。例えば、キッチンがあればパーティルームでしょうし、ブースに区切られていればスタディルーム、子供の遊び場があればキッズルームというかもしれません。基本的に場所さえ提供できれば良いので、維持費もそれほど掛かりませんし、十分なスペースがあれば管理組合の理事会や総会も開催できるので、あれば便利に越したことはないでしょうが、無いと困るかといえば「?」となるような施設です。むしろエントランスもそうですが、コミュニティルームなどは、ちびっ子等の格好のたむろ場所になり、マンション騒音や迷惑行為の温床に繋がるので、中古物件を内覧に来た買主が、これらの光景を見て購入をためらうという事が良く起こり得ます。一般論もそうですし、実体験でもやはり、高価格帯の物件の方がそのようなリスクが低いと思います。
また、新型コロナウィルスの影響でスタディルームの存在価値は高まったかもしれません。いずれにせよ、小規模マンションでは「~ルーム」系の施設は物理的に難しいので、総体的に大規模マンションの方が価値的に優位性が高いといえるかもしれません。
ラウンジ・テラス・屋上庭園【A・S・B】
前述の「~ルーム」の発展版と考えれば良いでしょう。ラウンジは来客を捌くスペースとして利用できるスペースです。テラス・屋上庭園は大規模かつ高層物件でないと作りにくい施設です。特に都内で花火などが見える距離にあるマンションでは屋上で花火や夜景が見物できるとちょっとした自慢になりますし、屋上テラスがあるから部屋は低層階でもいいと割り切る買主も多くいるようです。
ちなみにみなオジは田舎出身なので、東京タワーを望むマンションに希少価値を感じてしまいます。しかし不思議なもので、東京タワーより高いスカイツリーにはそれほどの感動を覚えないのです。なんでだろう?一説にはスカイツリーの方が広い範囲で見ることができるので希少性という意味でありがたみが少ないという事みたいです。でも、そういう理論が成り立つなら、富士山はもっと希少性が低い様に思えますが、みなオジの中の序列では東京タワー>>>富士山>>>>>>>>>>>>>>>>>>スカイツリー、なんですが。(共感できる人がいたら、メッセージください)
ちなみに、東京タワーが見える物件では、不動産取引における「南向き優位の原則」が崩れ、東京タワービューの部屋が一番高価格設定されますが、多くの場合、それでも一番早く完売するのは東京タワービューの部屋の様です。都心に住む富裕層は結局のところ、地方出身者という事でしょうかね…
スパ・プール【C~S・S・C】
冒頭でも書きましたが、スパ・プールといった「水物施設」は、人の価値観で全く評価が変わる施設です。マンションにプールいる・いらない論争は今後も続くでしょうが、議論自体ナンセンスなものだと思いませんか?
例えば、使い切れないお金を持っている人であっても、自宅のバスルームが一番落ち着くと思えば、スパ施設は不要でしょうし、我々庶民が「水物施設はお金がかかるから不要だ」と叫んだところで、富裕層にとっては些末な話な訳で、異なる価値観の両者の議論が噛み合うはずもありません。リセールバリューはC~Sと評価に幅を持たせましたが、これは今後の富裕層の絶対数がどの様に変遷するかによるという意味を多分に含む結果です。確かにプールの様な「金食い施設」は評価が分かれるところですが、希少性という意味でいえば、プール付きの物件は間違いなくその他有象無象の物件と比べ、優位に差別化されるでしょうし、富裕層にとっては指名買いが入る程、魅力的な物件に映るかもしれません。
番外編
近所付き合いの煩わしさからの解放
実は、みなオジの隠れ評価ポイントが、近所付き合いからの解放だったりします。これは共用施設じゃないだろ、というツッコミもありますが、物理的な副産物として番外編として記載しました。
こう書くと、人間味の無い人間だとか、コミュ障とか色々書かれそうですが、皆さんは近所付き合いでストレスを感じた経験は多かれ少なかれ無かったでしょうか?勿論、災害時や高齢者独居の場合は孤立化を招くという弊害もありますが、その様な人は戸建てに住んだとしても、変わらないのではないでしょうか。自分の両親が住むのであれば、変な押し売りが訪問することも無い、セキュリティ・防犯対策の高いマンションの方がよっぽど安心できます。
また、マンションデベロッパー側もその様なデメリットには対策を講じており、室内に緊急ボタンがあったり、みなオジが惚れたマンション設備【専有部編】で記載したような、DXを活用した異常事態を察知できるセンサーなどを開発・導入しています。
総括
みなオジはクルマ不要論者なので、クルマに関連する施設、例えば機械式駐車場ではなく地下駐車場の優位性であるとか、車寄せの必要性については言及しませんが、上述のスパ・プールのようにクルマが生活の一部である人にとっては必須の共用施設であると言えます。
個人的には多かれ少なかれ管理費を負担するのですから、非日常を味わえる共用施設があっても良いと思います。また、緑豊かな植栽や緑地なども個人の家で維持管理するのは大変でしょうが、これらをプラスにとらえることができる人であればマンションライフは非常に快適なのではないでしょうか。