
前回は、時計の売却の方法として、色々な種類があり、人はどんな時に時計を売り、どのような売却方法があるのかをお伝えしました。売却するモノのジャンルや価格帯等によって、メリットデメリットがありました。
前回トピックはコチラ→ロレックスを買い取ってもらった時の話①
今回は、愛着のある時計をいかに高値で売れるかを、ロレックスの特徴とみなオジの経験に基づきいくつかのパターンに従い説明していきたいと思います。「高くモノを売る」というのは、ロレックスに限らず商売全般における基本・鉄則です。下記に書いた手法や法則は、色々な商売に置き換えて使えるテクニックとも言えますので、ロレックスに興味が無いという人も参考に見てみると面白いと思います。。
目次
高く売るコツはあるの?
自分が使っていた時計は大抵愛着が湧くものです。しかし、愛着とは究極の主観だと思っていますので、それが他人にも理解してもらえると思ってしまうところが、買取で失敗する最大の原因だと思っています。しかし、その感情はいったん脇に追いやり、客観的データに基づきと他人の心理の上手に立つことにより、取引というものは有利に運ぶことができるのです。この基本原則を意識して以下のテクニックを読んでみてください。
売るタイミング、店舗の在庫状況
まず一つ目は、買取額は時期によって変動するという事です。例えば、夏場に毛皮のコートを買取ってもらおうとしても、おそらく高価買取は難しいでしょう。基本的に腕時計は、体の露出が多くなる春先から需要が徐々に高まります。更に、腕時計のモデルによってはダイバーズウォッチは夏に品薄になるので、その辺りを見計らって買取ってもらえると満足した査定額をゲットできるかと思います。
また、注目ブランドの場合は、その他にも季節変動が生じます。有名な所ですと、ロレックスの新作発表のタイミングではモデルチェンジした型番を中心に激しい値動きをすることがあります。
サブマリーナグリーン文字盤(116610LV)の実勢価格の推移です。2020年9月に後継の126613lⅤが登場した後に1段高になっていることが分かります。 一方新作の126613lⅤの推移は、最初はご祝儀相場とでもいうのでしょうか、徐々に下がっていっていますが、現時点では驚くべきは旧作と価格が入れ替わっているのが分かります。
なお、ロレックスは最近のブームもあり、買取店でもすぐに買い手が付く(場合によっては、ウェイティングリストがある)ので、(モデルにもよりますが)強気に交渉できるブランドの一つと言えますが、買取店の在庫状況によってはロレックスでも買取らないというモデルもありますので注意です。(要するにロレックスとは言えども、需給バランスには多少なりとも影響を受けてしまうのです)
一括査定で効率よく比較する
買取り査定額は店舗それぞれの状況により盈虚を受けるという事は前段でお伝えした通りですが、各店舗の在庫状況などいちいち確認もできませんので、個別に買取り交渉するよりは、一括査定のサイトで何店舗かエントリーしてもらって、その中からより高い条件を提示した店舗を2~3チョイスしてに直接持ち込むことをおススメします。
店舗によっては、来店すると事前に提示した査定額よりもかなり下げて交渉してくるところもありますので、その時にきちんとなぜ自分はこの価格以上で売りたいのか等の自信と根拠を持っておくことが大切です。相手は査定のプロですので情報格差で押し込まれると思いますが、そういう事も見越して来店する店舗は3店舗ほど想定しておくと良いかもしれません(まだ後に交渉先が控えていると思えば、選択肢も増えるので)。経験談ですと査定額に30万円くらいの開きがあった事もあり、高額であればあるほど複数店舗で相見積りを取ることをおススメします。

付属品は無くさない事
これもブランド品の買取りの常識ですが、意外とこれで損をしている人も多いのではないでしょうか。通常、高級ブランドの購入時はギャランティカード(保証書)が付いています(ロレックスならプラスチックのカード)。また時計であればブレスレットの調節したコマや内箱、外箱が揃って初めて完品と言えます。買取ってもらおうとするときは、表面の小傷等に注意が行きがちですが、査定する側はどちらかというと備品がきちんと揃っているかをチェックしています。なぜなら、小傷程度なら研磨を掛ける事でほとんど目立たなくなるからです。
余談ですが、時計に関してはコマを外さない状態、保護シールが付いていると新品として高額で取引されるようです。(それ以外は、未使用品扱い。ちなみに未使用と言えるのは購入日(保証書記載の日付)から1~3か月くらいをいうそうです。買取店舗の判断で前後します。)以前、質屋の店長と雑談をしている時に小耳に入れました。しかし、現在ロレックスでは転売防止として購入時に保護シールは基本的にはがされます。
最低限のお手入れを
細かい点になりますが、査定前には細かな汚れなどは拭いていきましょう。鑑定者も人ですから、商品を通じてどれだけ大切に扱っていたかを感じる事ができるのです。ちょっとした心遣いですが、印象(と査定額)が上がる事間違いなしでしょう。
なお、事前にオーバーホールを掛けて、美品状態にして買取査定に持っていく人もいる様ですが、一般的にオーバーホールも
同じモデルでも値段の差がつくケースも
これは古い型番によくみられるケースですが、長い期間販売されていた型番では、時期によってマイナーチェンジを施されている事があり、この微細な変更がまれに非常なレアモデルとなることもあります。
伝説の「ブラックアウト」文字盤
有名な例を一つ上げると、1990年に製造開始し、2000年に製造終了したエクスプローラーⅠ(Ref.14270)の「ブラックアウト」と呼ばれる文字盤ですね。この文字盤は2年間だけ作られていたそうで、当然生産数が少ないレアモデルと言えます。現時点の実勢価格で通常文字盤と比べると3倍の価格差(2021年5月時点で180万円)がついていました。
アイボリー文字盤

先日、みなオジが購入したエクスプローラーⅡも歳を重ねると、
この様なちょいワルおやじ風になるはず。
またこれはマイナーチェンジの例ではありませんが、古いロレックスの白文字盤が太陽で日焼けしてアイボリー色に変色した個体も、「エイジング」と言われて高値で取引がされています。(ダメージジーンズみたいな感じか?)
みなオジもロレックスにあやかって、歳を取っても逆に価値が上がる人間になりたいですねー。
まあ、この辺りは非常にマニアックなポイントですので、複数の査定者のから適正な価格を提示した店舗と取引をしたいですね。

最終品番が希少化する傾向
ロレックスを始めとする高級腕時計は、通常一定の年月が経過するとモデルチェンジをします。モデルによってケースのサイズアップ(ダウン)や、文字盤などデザインが変わったり、中にははムーブメント(ゼンマイの様な動力)の改良といったほとんど変わり映えが無いものだったりと様々です。ロレックスを例に挙げると各モデルにはリファレンス(ナンバー)が振られていてモデルチェンジするとそのリファレンスが変わります。例えば、2020年にモデルチェンジしたサブマリーナであればRef.116613から126613へと変更されます。当然、新作の登場により現行型は生産終了となって型落ちとなります。

右が2021年の新モデルですが、違いはほとんどわからない…
クルマや家電製品等も定期的にモデルチェンジしますが、これらの市場では通常型落ちは値段が下がるものです。しかしロレックスの場合、生産終了したことにより希少性が高まり価格が上がるという現象が生じます。先ほどのサブマリーナの新旧を比較すると、新品の状態であればほとんど価格差が無いのです(青サブの場合、新作(Ref.126613LB)2,080,000円、型落ち(Ref.1116613LB)¥1,960,000)。新作の定価は1,509,200円で型落ちの定価は1,393,200円であり、しかも性能的に新作の方が上であるにも関わらずです。
生産終了となったモデルの最後の年度に作られたものは「最終品番」となり、そのモデルの中で一番完成度が高いとされることから、サブマリーナの様な人気モデルの最終品番は高値で取引されることが多いです。ちなみに、2010年まではアルファベットから始まるシリアルナンバーで管理されていて、そこから生産年度を割り出すことが出来ます。現在はランダムシリアルとなっているのでシリアルナンバーからはわかりにくくなっていますが、ギャランティカード(下記画像参照)の販売日を見れば(おおよその)生産年は判明します。

旧ギャラには所有者名、販売店名などが記載されており、個人情報的管理的ににちょっと…
(ちなみに、その前は「紙の保証書」でした。)
まとめ
長い歴史があるロレックスだからこそ、買取ひとつとっても色々なストーリーが出てきます。長く付き合った女性と別れる時に、その女性が成長(体格では無い)していると、嬉しいものです。何十年もロレックスを所有していると大抵のモデルでは購入額よりも上がっていると思いますので、所有している人は売る気が無くても、一度は査定に出してみるのも良いかもしれません。最近では、LINEで簡単に査定する事も出来ますし、心理的ハードルも相当下がったのではないでしょうか。(逆に言えば、このハードルの低さが皮肉にも国民総転売ヤー化に繋がったのではないかと思います。)