前回は、【基本編】と【機能編】について説明していきました。ロレックスは高級時計のカテゴリーに入りますが、機能的には基本性能(防水、耐衝撃等)に優れているという点に特徴があります。一方で、パテック・フィリップの様な複雑機構はそれ程充実しておらず、また小型化にも技術を振っている訳ではありません。
関連過去ブログ:「ロレックスを購入後に知っておくべき事【基本編】【機能編】」は→コチラ
逆に言えば、時計初心者にとっては、操作方法にそれほど悩むことも無くガシガシ使っていける事から、個人的には1本目に手にする時計としては適していると考えています。それでも、100万円を超える高価な時計ですので、長く使える様に最低限のメンテナンス方法は覚えておくのが良いでしょう。
目次
メンテナンス編
帰宅後のメンテナンスは?
基本は「ロレックスを購入後に知っておくべき事【基本編】【機能編】」に書いたように保管ケースにしまう事です。夏場であれば、軽く汗を拭きとり、皮脂汚れがこびりついてきたら、腕に付けたままシャワーを浴びれば良いでしょう。風呂から出たら水気を軽くふき取りますが、その際はバスタオルなどの粗い布ではなく柔らかい布(専用クロス)を使って拭きましょう。クロスは、正規店で時計を購入すると1枚付けてもらえます。みなオジも7~8枚持っていますが、特に特別な機能がある訳ではなく、市販のマイクロファイバー製のモノでも問題ないと思います。
ステンレスの特性
一口にステンレスと言ってもステンレスにも様々なランクがあり、高級時計では錆に強く、金属アレルギーが起こりにくく肌当たりが良いと言われる(医療器具にも使用されている「サージカルスチール」を意味する)「SUS316L」というステンレススチールが使われています。
性能的には十分と言われる「SUS316L」ではありますが、ロレックスでは更に上のランクである、スーパーステンレススチールと呼ばれる「SUS904L」(通称:オイスタースチール)を使用しています。このランクのステンレスはスペースシャトルや宇宙ステーションの素材として使われる位の耐久性、耐蝕性の高い金属になります。また、特有の光沢感もあり美観としても優れています。
18Kの特性
ロレックスの特徴と言えば、フェイスデザインもさることながら、あの独特な形状のブレスレットのチェーンではないでしょうか。
外側にステンレスを配し、内側に18Kを組み合わせたタイプのコンビ素材(左画像下から2番目)が、ロレックスのブレスレットとして一番認知されているのではないでしょうか。プロフェッショナルモデルの中で、みなオジが一番多く持っているのがコンビモデルでコレクションの中でも特にお気に入りです。
メーカー的には金×ステンレスの組み合わせのモデルを「ロレゾール」と名付け、ロレックスはこれを「商標登録」しています。あまり定着していないこともあり、上記の様に、みなオジはブログ内で「コンビ(モデル)」と言っていますし、店頭でも「コンビのデイトナ在庫ありますか?」等と聞いています。
ブレスレットのデザイン性、着け心地と言えば、ロレックスと真っ先に挙げる人も多く、先に挙げた商標登録でもお分かりの通り、ロレックスはコンビモデルに非常にこだわりを有しています。
さて、見た目的にはインパクトの強い18Kですが、こと取扱いに限って言えば非常に悩ましい素材と言えます。というのも18Kは金属としては非常に柔らかいからです。以前ステンレスモデルのロレックスを愛用していたみなオジでしたが、30代の頃初めてコンビモデルを購入しました。うれしくて購入後すぐに着けたのですが、家に帰ってくると、みごとバックルに小さな擦り傷が入ってました。もちろん、ロレックス(しかもスポーツロレックス)はガンガン使ってナンボということろもあり、上品に使うものでは無いという意見もありますが、大切に使いたい、傷一つつけたくないというのでしたら、(超ストレスが掛かりますが)最新の注意を払って使用しなければなりません。
ステンレスならOHの際に研磨をかけて小傷を消す(目立たなくする)こともできますが、ゴールドの場合は素材上研磨を躊躇しがちです。また、デイトナのベゼル部分はメモリが印字されているので、物理的に研磨を掛けられないのです。(やはりベゼル部分は「セラミック素材」が安心ですね)
ちなみに、これは「18Kあるある」ですが、高額時計オーナーの誰もが最初のひとキズ目はショックを受けるものですが、以降の傷は全く気にならなくなります(一部例外アリ)。みなオジも、今ではいくつ小傷が入っているか数えられない位です。個人的にはロレックスは傷も含めて味が出る腕時計だと思います。それが実用時計のいい所だと考えます。
デスクワーク等をするサラリーマンはどうしても、ブレスレットのバックル部分にキズがついてしまいます。せっかく手に入れたロレックスだから傷は付けたくない、でも家で眺めているだけなのも嫌だ!そんな人には、邪道なテクニックですが、正規品と互換性のあるブレスレットを購入するという方法もあります。もっとも、互換性はあるといっても、メーカー外のものですので全体としての統一感は失われますが、仕事やアウトドア用等傷の付きやすい環境下ではセカンドブレスレットとして、交換して使うのも良いかもしれません。
また、交換ベルトは傷防止という観点の他、いつもはメタルブレス→レザーベルト(パーティなどのフォーマルシーン)もしくはラバーベルト(スポーツシーン等)といった感じで気分転換や天候や季節に合わせて付け替えるというのもアリでしょう。
日本の様に高温多湿の地域では、メタル製のブレスだと肌に張り付く感じがするので、ラバーベルト(ロレックスの純正ラバーベルトは「オイスターフレックス」と言います)のラインナップが注目を浴びています。左の写真はオイスターフレックスのデイトナです。現状、ブレスレットがオイスターフレックスのモデルは、ゴールド素材ケースのハイエンドモデルのみとなっており、非常に希少なタイプのモデルです(デイトナの様な人気モデルでは特に)。
風防ガラスのメンテナンスについて
また、ツワモノになると、ベルトだけでなく風防ガラスに保護シールを貼って防御する人もいます。(発想としてはスマホの保護シールと同じですね)
ちなみに、ロレックスの風防ガラスはサファイアクリスタル製で非常に耐傷性に優れたものです。基本的にちょっとやそっとの衝撃では傷がつかない(サファイアガラスのモース硬度(硬さを示す指標)は9。ダイヤモンドが10。)のですが、過信すると意外と簡単にキズつきます。
みなオジの所有ロレックスも目に見えない位の小傷があり、先日OHでクリスタルの交換をしました(10,000円程度で修理可能)。無傷の状態ならダイヤモンドに次ぐ強度を誇るサファイアクリスタルですが、欠けやキズがついた状態だと何らかの衝撃でキズが広がったり、最悪割れてしまう事もあるそうで、こちらも長く愛用する為には目立たないからと放置せずにきちんと対応する事が大切です。
保証期間(5年間)
多くの時計メーカーでは、2年間の保証期間を設けていますが、ロレックスに関しては5年間の保証期間となっています。もちろん、保証期間であっても正しい用法に沿って使用しなかった場合(先程の、「日付早送り禁止時間帯の日付操作」など)は保証の対象外となりますので、そういう意味でも、取説はきちんと目を通しておく必要があります。
オーバーホールとは?
オーバーホール(OH)は自動巻きの時計を購入した者の宿命(義務)です。OHの費用をケチるなら自動巻き時計は辞めておくべきというのがみなオジの持論です。(だって、そんな金食い虫時計持ってるの苦痛でしょ?)
OHとは時計を分解して、劣化した部品があればそれを交換して機能性(精度、防水性)を回復させる修理を指しますが、ロレックスは百個もの部品で構成され、それらを熟練工の手作業で組み立てている訳ですから、その修理費用もそれなりの額(大体5~10万円)となります。(ちなみに、修理費用については古い時計になればなるほど高くなる傾向があります。)
OHは人間でいう所の健康診断をも兼ねています。外見上問題なさそうだからとお金をケチって何年もOHサボっていると、不具合が元で致命的な故障を引き起こし、結果としてお金が余計にかかってしまいまう事があります。先程の例でいうと、リューズのゴム部分の劣化に起因する水の侵入によるムーブメントの腐食等が該当します。
ロレックス製品のOH時期に関するメーカー推奨は、一般的に(使用頻度によりますが)「10年毎」となっています。また、OHの難しいところは、アンティークに差し掛かった様な古いモデルの場合、部品交換等により機能性は戻りますが、希少性という面では価値を落とす結果になるかも知れません。例えて言うなら、戦国時代から残る名城の石垣が崩れそうだから、コンクリート打設したり、サイディング外壁に変えちゃったという感じです。
要するにアンティークの風合いに新しい部品が入ることによって、時計全体のバランスが崩れ、時計の味わいを消してしまうというリスクがあるという事です。もちろん自分が一生愛用する時計であれば、きちんと動く事を優先してメンテナンスをすれば良いのですが、「資産性」という強みを持つロレックスならではの悩みと言えるでしょう。
OHの依頼先は結構悩ましい
また、高級時計のOHはそのメーカーでしか受け付けてもらえないという誤解があるようですが、基本的に民間の修理業者でもOHは可能です。民間が行うOHは、価格が安いなどのメリットはありますが、だからと言ってレベルが低いかと言われればその様な事は無りません。(勿論、修理代が安すぎるお店は注意。)
日本ロレックスで行うメーカーOHは2年間保証の対象
個人的にはOHはメーカーと修理業者の二つを使い分けすれば良いと思っています。メーカーOHはよく言えば真面目に対応してくれますが、融通が利きません。先ほど言った様なアンティークをメーカーOHに持ち込んだ場合は、有無を言わさず一定レベルにない部品は交換されてしまいますので、上述の「バランス悪くなる問題」が墳出することになります。メーカにとっては、自社ブランドの時計の不具合を治すことが第一目標(それがブランド価値の向上に繋がる)ですので、査定額の忖度をすることもありませんし、時計のバランスが…と言う個人の都合もほぼ考慮されることがありません。ちなみに日本ロレックスが行うメーカーOHは2年もの保証が付きますので、民間の修理業者が付する保証期間(通常1年間)に比べると安心して依頼する事が出来るでしょう。
さいごに
購入後に気を付ける点について色々書きましたが、いかがでしたしょうか?結構「めんどくさいな」と感じられた人も多いのではないかと思います。しかし、みなオジ的には高級腕時計を初めて購入するなら、断然ロレックスをおススメしたいと言いたいです。なぜなら、丈夫さ・堅牢性という点では、ロレックスの右に出るメーカーは無いからです。みなオジもは20年、父に至っては30年以上愛用していますが、故障した経験は一度もありません。
ロレックスを手にして、更なる高み(つまり、雲上ブランドのオーナー)を目指す気持ちが芽生えたというのであれば、時計の扱い方について更に知識を深めなくてはなりません。そういう意味でタフで取り回しのきくロレックスを所有する事により、高級時計オーナーとしての経験も高めてくれるでしょう。