不動産 法律

中国人の日本のタワマン爆買いは続く? 

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コロナの影響で、観光で東京に訪れてデパートで爆買いをする中国人はかなり減りました。それに比べて、マンションギャラリーや中古マンションの内覧の問い合わせは減るどころか、むしろ更に盛り上がりを増しています。

確かに、経済指標をみると中国の経済成長率はやや鈍化しつつも、各国に比べると順調な回復を見せています。しかし個人的には、国内の不動産バブル崩壊で痛い目を見ているのではないかと思っていたところ、中国人はバブル崩壊に手控えをするどころか、日本をはじめとする海外の不動産により多くの投資を行っている様にうかがえます。

21年度4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.9%となり、5期連続のプラス成長を遂げています。

今回は中国の法制度と中国人の不動産に対する価値観を踏まえて、その辺りを話していこうと思います。

中国国内のの不動産バブル崩壊も…

まず、中国不動産バブルについてですが、2019年から半年で国内で564万人(規模がヤバイ!)にマンションを売ったという、中国最大の不動産デベロッパーの「恒大集団」に2020年2月に財政危機のニュース(具体的には、売り出し中のマンションやオフィスビルの在庫一掃セール)が流れました。

折しも、コロナウイルスが中国から世界中に蔓延はじめたタイミングで、国内の不動産投機熱に危機感を持った当局の引き締め政策もあり、不動産業界全体のバブル崩壊が加速しました。その結果、恒大は2021年の年初に約14兆8000億円という巨額な負債を抱える様になりました。

恒大集団は、2019年の売り上げが約10兆2200億円を誇り「2019年版 フォーチュン・グローバル500」で世界138位につけていたる本拠地を広州に置く中国最大の不動産会社です。従業員は約14万人で、中国280都市で1300以上の不動産プロジェクトを展開していました。(個人的には、中国の強豪サッカーチームを所有しているという印象しかないですが、こんなに巨大な企業だったとは…)

投資用不動産5,000万部屋が空き部屋状態?

2018年国ごとの空き部屋率(中国は22.4%)
中国国内の未払債務残高

上の図は、中国国内の個人の未払債務残高(簡単に言えばローン残高)です。富裕層が不動産を購入しているとは言え、購入の際は現金ではなく多くが融資を受けているのです。中国における不動産投資の過熱はここ10年と言われていますが、その期間で5000万戸もの空き部屋が発生していると言われています。この数字は2019年に報道で出た数字ですが、コロナ下でどう変化しているか分かりませんが、この状況が続いているようならそれほど遠くないうちに不動産バブルは崩壊するのではないでしょうか。

チャイナマネーは海外へ?

バブル崩壊の先陣である日本の例を見れば、この様な時は海外も含めて不動産投資の熱は冷めるか、もしくは国内の損失補填の為に、海外の資産はサッサと売却しようとする動きが予想できそうですが、中国の場合は国内不動産の投資が期待できないなら、海外不動産にその分の資金を回してしまおうとする、まさに日本とは逆の動きが進んでいるのです。

普段から付き合いのある仲介会社の営業担当と話をした時に聞いた話ですが、コロナ下で入国規制がされている現在であっても、(私の所有物件も含め)都心部のタワーマンションは海外、特に中国人からの問い合わせがバンバン入っているそうです。(だから、売りませんか?と言われても、特に現居に不満がある訳でもなく、また他に住む場所も無く困るのですが…)

中国の土地制度

この様にイケイケな中国人の不動産投資熱ですが、これは中国人がギャンブラー気質というよりは、中国の土地制度が絡んでいるのです。

ご存じの通り、中国は共産党一党独裁の社会主義国です。このため、土地に関しても個人の所有は認められておらず、国や集団による所有のみが認められています。(土地公有制)

土地公有制の下では、土地は都市では国、地方では農民集体に帰属するものとされており、国等の規制の下、居住用地・農業用地としての利用が許されています。住居(建物)は個人所有が認められています。つまり、家の底地は必ず借地権(使用貸権)と言う事になるのです。

社会主義国家における土地は個人所有が無い事つまり譲渡性が無い事から、従前は「無価値」であるとされ、その為に中国国内の産業は疲弊する事となりました。これは制度上、土地を所有できない事からその土地がもたらす富も認識する事が出来ず、当然それを利用しようとする企業活動が生まれる事は無かったと言う、共産主義全体の宿命的課題に直面したという事です。

文化大革命後の1979年に「合弁企業法」が制定され、そこで「場地使用権」と言う概念が生まれてから、中国の経済は大きく動き始める事となります。

「場地使用権」とは

これまで外資企業と言えども、中国国内の土地所有は認められておらず、そのことから外資系企業の中国への進出はあまり盛んではありませんでした。そこで、外資が中国企業と合弁を組むに当たり、中国側企業が現物出資として土地利用権を拠出することが出来る(但し、合弁企業の存続期間に限り、当然譲渡も行えない権利です)とした事で、海外の大企業による対中投資が一気に進んだのです。

このことから、中国国内における土地の商品価値が観念されることとなり、国内に誘致した外資系企業の科学技術を利用したことによる産業の発展と相まって、世界第2位の経済大国に成長した中国の現在に繋がったというのが、(かなり端折りましたが)中国経済発展の経緯の説明です。

「完全な所有権」に対する憧れ

この様に中国国内の不動産の有効利用は図られたものの、個人の土地所有権と言うのは現在においても認められている訳ではありませんが、先述の「場地使用権」を発展させた権利として、1990年に「出譲土地使用権」と言う概念を制定し「土地使用権」の商品化(土地公有制の中で私的処分を可能にした、ある種の資本主義と社会主義の中間的な権利)を実現しました。

制度上の後押しと国内の経済成長により、特に都市部における建物(日本でいうところの「地上権」の上に成り立つ建物に過ぎませんが)の価値は、バブル経済時の日本の不動産価格の上昇率を上回るスピードで高まったのです。

この様に、「なんちゃって所有権」と言えなくもない制度はあるものの、(特に資産家となり、大抵のモノを手に入れられる様になった)中国人にとっては他国のものであっても「完全な不動産」への本質的な憧憬は強かったのです。従来から日本を含む周辺のアジア諸国への不動産投資ブームは高かったのですが、当時は国内の不動産価値の上昇率(利回り)が、海外のそれよりも魅力的であったため、国内に不動産マネーが投じられることになりました。

しかし、ここにきての当局の締め付けだったり、将来的な人口減が見込まれる中で単純にマンションを建設しすぎた(需要を超える供給をした)事もあり、中国国内の不動産価値が下がってきた為に、日本等の海外不動産に中国の投資マネーが向けられるようになったという訳です。

「鬼城」が問題化

下の図は、「鬼城」と言われる中国国内のゴーストタウンです。日本でも炭鉱の町などが、産業消滅後に人口流出により廃墟化する事がありますが、鬼城の恐ろしいのは、まだ誰も住んでいない場所だという事です。

先程、中国では5000万戸の未入居不動産が存在すると言いましたが、不動産バブルのせいで国内不動産の供給が10年以上需要を無視した形で行われているのですから、流入する住人の絶対数が足りないのです。このため、都市計画も途中で頓挫せざるを得ず、写真のオルドス市は「豪華すぎるゴーストタウン」として一躍脚光を浴びる事になりました。

「鬼城」と呼ばれる、建設工事がストップした街(内モンゴル自治区オルドス市)。
中国国内にはこのような場所が多く存在する。

しかし、そこは強力な共産党主導の政治力が功を奏し、オルドス市に有名校を移転させて人工的に人口流入を促すという荒技を使い問題解決に着手したという報道も目にしました。

中国、名門校を「強制移転」 ゴーストタウン解消へ奇手

「もう鬼城なんてないよ」。地元不動産会社の高立さんは笑った。釈然としなかったが、住宅展示場で劉大忠さんが過去10年のマンション価格の推移を教えてくれた。(中略)

「教育環境が大きく改善したからだ」。地元の人は口をそろえた。北京の名門大学の合格者も輩出するオルドス市第一中学(日本の高校に相当)など名門校がカンバシに移転した。劉さんは「優秀な教師らに実際の売値の半額で買わせて、なかば強制的に引っ越しをさせた」と明かす。

中国では学区制が厳格で、名門校に通うには親が学校周辺にマンションを所有する必要がある。「学区房」と呼ばれる名門校周辺のマンションは価格が高騰し、社会問題になっている。北京や上海では日本円で数億円する物件がざらだ。マンション開発を許可しなかった市政府は8年越しでゴーストタウンを解消し、20年から再び許可した。劉さんによると21年末までに10件ほどの開発案件が許可を得る。

引用元:日本経済新聞2021年4月16日

これは日本では絶対にできない方法ですね。そもそも、鬼城が出来た理由も中国の制度上の問題でして、土地の所有権は国や自治体が有している事から、農民が利用する土地を格安で接収し、デベロッパーに高値で利用権を売り付ける事で自治体の税収となる事から、融資を行う金融機関とセットにすることで、どの自治体も錬金術の様に都市(無)計画を打ち出していたわけです。比較的都心部に近い街では需要があったものの、前述で挙げた内モンゴルなどは人口が少ないことから、破綻する事は目に見えていたわけですね。

結果的に、力業で人口を創出できた訳ですから、そこに中国の強さがある訳ですが、いずれその強引な手法にも綻びが出るのではないかと懸念します。

コロナ終息後には日本の不動産の現地視察ツアーも?

アジア最大の不動産ITグループ、IQIが5月に発表した調査では、中国の投資家27%が「今後2年以内に海外で不動産を購入する予定」と答えているそうです。

同社の調査では新型コロナ収束後、47%が「最初に海外旅行に行くときに不動産を見るかもしれない」と答え、行きたい旅行先として34%が東アジアと回答した様です。コロナ前は日本の不動産の現地視察ツアーが実施されており、コロナ禍で訪日は難しくなっているが、今も購買意欲は依然高いようです。

同社の不動産ポータルサイト(中国語版)では、国別人気ランキングで日本が2位となっており、検索ページでは、皇居に近い一番町(千代田区)のマンションが売りに出されているほか、次いで北海道や沖縄などのリゾート物件が数多く確認できるという事です。

中国人が好む物件の特徴は?

引用:ザ・パークハウス新宿御苑HPより
自宅からこの景色を見下ろせたら、良いですよね~(すぐ見飽きる??)

皇居の周辺のマンションのほとんどが外国人所有者となったら、それはそれで問題があるような気もしますが、対策は講じられているのでしょうか。ちなみに、中国人が好む物件の特徴はこんな感じらしいです。

・都心3区(千代田区、中央区、港区)かつ山手線内側
・タワーマンション(大規模物件)
・緑(大きな公園)に隣接する物件
中国人が好む物件ベスト3

要するに、分かりやすい物件であるという事らしいです。日本人でも「山手線の内側」にこだわる人がいますが、中国人は特にその傾向が強いそうです。また、皇居や御苑と言った格式と歴史あるエリアに価値を見出すそうです。

確かに、自分が海外で購入を検討するとしても、やはり粗悪な物件をつかまされたくないので、エリアナンバー1だったり、名跡や文化施設などに隣接した由緒正しき場所を中心に検討すると思います。(まあ、当然お高いですが)

さいごに

オリンピック・パラリンピック終了後、晴海の選手村として提供されている、建物(晴海フラッグ)のマンションギャラリーが2か月先の予約も取れない状況になっています。(みなオジも興味がてら見に行きたいと思っていたのですが、やめておこうかなと思っています)

中国人の好きな山手線の内側エリアではありませんが、それに代わる水景と規模感、オリンピックレガシーと言うネームバリューはもちろん、その圧倒的なお手頃感は外国人の投資目線で見ても非常に魅力的ではないかと思います。おそらく商談予約の何割かは外国人投資家と思いますが、実際にマンションギャラリーに行けた方はその雰囲気を教えて欲しいですね。

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長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
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