新年度がスタートして1か月がたちました。引越しが多くなる4月前には、決まってどの街が住みやすいかという議論が起こります。みなオジも地方から東京に出て、色々な街を移り住んできましたのでそれなりに知見が溜まってきました。
知り合いから「どこに引っ越したらいい?どこかいい所知らない?」などと相談を受ける事もありますが、その度に「住みやすい街の条件って何だろなぁ」と考えてしまいます。下にも書きますが、繁華街と治安面など相反する条件もありますしね。
結局のところ「住みやすさ」なんていうモノは主観によるところが大きいので、あくまでも基準の一つにしかなり得ないのです。それに加えて、お金(家賃)との兼ね合いもあるので、安い家賃だったけど納得できれば相対的に満足できますし、30万円以上も払っているのにも関わらず何かしら不満があって、かつそれが解消できなければ悪いイメージがその街に残ってしまう事でしょう。(みなオジも30万円以上の高額物件を貸しているので、その価値分の満足感を与えているか結構不安だったりする…)
という訳で今回は、みなオジが思う住みやすい街の条件について語りたいと思います。
条件に付いてですが、(これを言うと元も子もないですが)「住む人の属性」によって住みやすさの価値観が変わってくるのでは無いかと思います。まず、属性は大きく「独身」と「所帯持ち」に分けて考えましょう。
独身であれば、繁華街の近くのエリアがにぎやかで寂しがり屋にはうってつけですし、通勤はもちろんプライベートでも友人との待ち合わせや飲み会の終電も気にせずに楽しめます。一方で、駅前の誘惑が多くキャッチやつかまったり酔っ払いに絡まれたり、余計な散財をするリスクも高いです。まあ、若い頃は遊んでナンボだと思うので、そこは捉え方の問題だとも思います。
近くにあってうれしい施設も、属性によって変わってきます。例えば、コンビニなどは若い頃は必須の施設でしたが、この歳になるとコンビニで物を買う事も減りましたし、宅急便の配送もマンションの宅配ボックスを利用すれば事足ります。コンビニが無くても10時くらいまで営業しているスーパーがあれば事足りますし、むしろ美味しいパン屋やケーキ屋ががあればうれしいかな(欧米か!)という感じです。
そもそも駅近物件であれば、今言った施設は徒歩2~3分で全て網羅できるので、結局は駅近は正義という結果に落ち着きます。
目次
所帯持ちにニーズが高い条件
教育・福祉施設の充実した街は安定の人気
一方で、所帯、特に子供を持つと、治安が悪い繁華街近くの街は不安要素が多いでしょう。逆に医療機関(夜間緊急外来も対応可能な小児科)や児童施設(図書館・プール等の体育施設)、塾を含む教育関連が近くにあると非常に人気が高く、多少都心から離れていても賃貸需要が高く、空室期間があった事がありませんでした。
では具体的にどこが当てはまるのか客観的なデータで絞り込むならば、自治体が投入する教育・福祉関連の予算の大きさではないかと思います。調べてみると東京では圧倒的に23区内が強いですね。特に千代田区は児童一人当たりにかける教育費が251万円(首都圏平均で102万円)となっています。
ちなみに我らが港区は146万円です。芝浦に立派なスポーツセンターを作ってますし、結構子育て支援やっているイメージですが、それを凌駕する千代田区恐るべしという所ですね。
その予算の行先ですが、子育て世代包括支援施設(広義には公園なども含むでしょうか)は建設に掛かる費用は当然のこと、長期的には(専門スタッフの人件費も含め)施設の維持管理にも非常にお金が掛かる金喰い施設ですので、税収がおぼつかない自治体では中途半端な規模の施設を作るのが精いっぱいでしょう。その点千代田区は税収も豊富で、区の方針で子育て世帯の流入を目論んでいますので、子供に掛ける予算が他の自治体に比べても非常に大きくなっています。子育て世帯やこれから結婚・出産を考えているディンクスは千代田区を狙いましょう。もちろん居住費に余裕があればですが、千代田区は誕生準備手当(45,000円)や次世代育成手当(5,000円/月)支給されるので多少の居住コストが許容できるならおススメの街です(港区おじさんなのにやたら千代田区推しでスミマセンが、こと子育て環境に関しては純粋に千代田区が全国ナンバーワンだと思っています)。
待機児童問題は注意
ちなみにファミリーに人気の街というのは諸刃の剣的なもので、ファミリー人気がある=子育て世帯が集まる、という事なので、保育園の待機児童問題が付いて回ります。(豊洲・勝どきを始めとする人気湾岸エリア)
勿論行政も人口増加を見越して認可保育園の数を増やしてはいますが、第1希望の保育園でないと結局使いにくいといった問題もあり、職場復帰が遅れる等保育園問題で不便を感じる家族が多いのです。
しかし、これも回避可能な問題で、港区や千代田区では子供の人数は増えても高確率でインターナショナルスクール等に通わせる意識の高いファミリーが増えるので、認可保育園の空き状況はかなり余裕があるという状況です。事実、みなオジ家も子供を保育園に通わせていましたが、学年によっては1~3人というクラスもあり、(それはそれで問題はありますが…)待機児童とは無縁の環境でした。
何と言っても交通の便は外せない!
都内の住みやすさとして欠かす事ができない重要な条件は、やはり交通の便(鉄道などの公共交通機関)と最寄駅までの距離でしょう。これは、独身でもファミリーでも変わる事ない一番の条件でしょう。
ちなみに駅と言っても、鉄道駅からモノレール駅もありますし、本線から分かれた支線もあり、利便性は様々です。また同じ路線でも各停しか止まらない駅もありますし、新宿、品川、東京といったターミナル(各線乗り入れ)駅もあり、駅であれば何でもよいという訳ではありません。
どこかのデータ(出典元、忘れました)で、交通利便性は「路線数と駅数」で決まる!と平米数当たりの路線数×駅数でパワーを測っていた著書がありましたが、駅の定義をどこまで含んでいるかがキモで、前述のモノレール駅やはたまたBRT(連接バス)駅のどこまで含めて計算しているのかが重要ではと個人的には思うのです。
データに依存した家探しはまずは「見極める目」を養ってから
みなオジが見た例のデータでは荒川区が交通利便性ベスト3に入っていましたが、これってもしかして路面電車(都営荒川線)まで含めてナイデスカ???何らかの力が働いてこのデータが世に出たのかどうかわかりませんが、客観的なデータも切り取り方で如何様にも操作はできるので、家探しの際は実際に住んでいる人の話を参考にするとか、多面的に判断材料を入れる事をお勧めします。
特に賃貸で住んでいる人は持ち家で住んでいる人よりもフラットに判断できます。持ち家の人は嘘をつくとまでは言いませんが、住んでいるエリアに愛着を持っているのでネガティブな情報は出さない傾向にあります(みなオジも港区の事を悪く言いません!…多分)。その点賃貸で住んでいる人は、その場所に一生住むつもりがない事から忖度無しに情報提供してくれるでしょう。
東京の通勤ラッシュをなめるな!
ちなみにみなオジは昔、通勤ラッシュで有名な路線に住んでいて、混雑しすぎで車両に乗れずに泣く泣く1、2本見送った経験がありました。また、その路線(具体的には言いませんが)は途中で列車の間隔調整で徐行運転することも多く、路線検索で提示される所要時間の+20分余裕を見ておかなければ始業時間ギリギリとなってしまいました。また、人身事故があっても迂回ルートも無いのでただ黙って運転再開するのを待っている他なく、やきもきする事も多かったなと思い出されます。(個人的には人身事故の際は、迂回ルートがありません!と開き直って重役出勤できたので、まんざら悪くなかったです。)
結局、自宅~会社までの通勤時間は利用する路線によっては参考にならない事も多く、今思うと電車の混雑具合も織り込んで探すべきだったと反省しています。とはいえ、東京都内の朝の通勤ラッシュは地方(田舎)出身者には全く想像ができないモノなので致し方ない所ではありますが…
祝!北総線運賃値下げ
あとオマケですが、都内の路線は網の目の様に鉄道網が張り巡らされていますが、路線によっては非常に運賃の高い路線があります。それは北総線です!しかし、この北総線2022年10月から値下げを実施するとのニュースがあり、取り上げずにはいられませんでした。
鉄道各社がコロナ禍で経営が苦しいにも関わらず、北総線は何と値下げをするのです!とはいえ、値下げ後もまだ高いような気もしますが、、その心意気が素晴らしいではありませんか!
元々北総線とは東京の京成高砂駅(葛飾区)から千葉の印旛日本医大(印西市)を結ぶ路線で、1979年に千葉ニュータウンの都心アクセス路線として開業した路線です(以前は住宅・都市整備公団千葉ニュータウン線と呼ばれていました)。
当初の計画では沿線人口35万人程度を見込んでいたもののバブル崩壊などで縮小を余儀なくされ、2014年時点では開発面積は3分の2に減少し計画人口は14万人に下方修正された(2014年時点の人口は93,000人に留まっている様です)ため、北総線も割高な運賃に設定せざるを得なかったわけです。
千葉ニュータウンが参考までに、北総線の運賃表を掲載しましたが、初乗りが210円→190円になったという事です。なんだかすごいのか、すごくないのか分かりませんが、比較としてJR東日本の運賃表も並べておきます。
プレスリリースでは、北総鉄道は「今般、懸案であった累積損失解消を機に、ポストコロナにおける輸送動向や沿線の将来を展望し、また、利用者の声や沿線自治体のまちづくり施策との整合性などを総合的に勘案し、地域のインフラとして、利便性の向上や事業基盤の維持・向上に資するよう運賃改定を行うこととしたものです」としています。累積損失の解消は喜ばしいことですが、つまるところは、デベロッパーの事業失敗を沿線負担に割り当てていた訳で、この割高な運賃が悪目立ちし、流入人口が減少している事に鉄道会社も危機感を覚えての値上げと思いますが、そのくらいに、交通機関は周辺エリアの発展に影響を与える要素なのです。
さいごに
冒頭でも話した通り、自分が住む街選びは自分の価値観とのマッチング作業です。お金を掛ければ良い条件の物件を探す事ができる一方で、どこまで行っても100%満足する事も自分の経験上ありませんでした。しかし、住む場所は働く場所と同じくらい長い時間を費やすものですので、投資という面も踏まえて可能な限りお金を掛ける事が豊かな生活を送るために必要でしょう。