司法書士 港区おじさんのつぶやき

司法書士の就職・収入事情

投稿日:2020年12月8日 更新日:

司法書士のバッジ

司法書士試験の結果発表が間近に

司法書士の本試験も認定考査と同様、新型コロナウィルスの影響で、例年の実施日から後ろ倒しして9月27日(日)に実施されて、筆記試験の結果が12月24日(木)に発表されるとのことです。

年度出願者数受験者数合格者数合格率
平成22年度33,16626,9589482.8%
平成23年度31,22825,6968792.8%
平成24年度29,37924,0488382.8%
平成25年度27,40022,4947962.9%
平成26年度24,53820,1307593.0%
平成27年度21,75417,9207073.2%
平成28年度20,36016,7256603.2%
平成29年度18,83115,4406293.3%
平成30年度17,66814,3876213.5%
令和元年度16,81113,6836013.5%
司法書士受験状況(法務省のデータを基に作成)

受験者数が史上最低を更新

本試験の実施状況などは自分が合格した後は見ることはありませんでしたが、ブログを書くようになってからは気になって久しぶりに見るようになりました。ここで、気になる数字が目に入ります。近年の司法書士試験の受験者数の落ち込みです。受験者の皆さんはご存知でしょうが、今年の受験者数は 11,494名(出願者14,431名)と試験史上最低人数を更新しているのです。出願者のピークを迎えた平成22年度を境に受験者数は年々減少を続けていますので、新型コロナウィルスの影響ではないのは明らかです。また、受験者数の減少は士業全体の傾向なのかと思いきや、「中小企業診断士」の受験者数はここ数年間は横ばいのようで、司法書士の資格自体に何らかの減少要因があると考えます。

司法書士の受験者数減少が表すもの

受験者数(つまり司法書士の魅力)減少理由に挙げられる一番の要因は、苦労して資格を得てもそれに見合うリターンが無いという事なのかもしれません?みなオジも報酬面だけで資格取得を決意した訳ではありませんが、難関資格にふさわしい待遇(または労に見合った見返り)というのはあってしかるべきだろうとは思っています。(司法書士は、高い職業倫理が求められ、国民の利益に寄与すべき使命を負っていることから、本職としての誇り・品位を保つには、それなりの報酬額が期待されるという理屈です)

報酬だけが司法書士の魅力ではないが…

しかし、資格を取得し実務家として仕事の奥深さを知るにつれて、報酬額以上に仕事のやりがいがモチベーションに変わるのですが、それを司法書士受験生に求めることは難しい訳で、実務につく前の受験生にとって、報酬水準が一番のモチベーションになってしまうのは致し方ない事です。

報酬額以外の司法書士の魅力としては、やはり独立のしやすさが挙げられるでしょう。毎年一定程度、実務を経ずに登録・開業する合格者(通称:即独者→即(時に)独(立する)者)がいます。実際のところ、実務と机上の学習とは違うという事は、新人研修を受けた者であれば理解できるかと思いますが、即独の勇気を持つ者は少数派です。一般的に実務経験の無い人は、まずは司法書士事務所で実務を積むことになりますが、ここで多くの司法書士は理想と現実のギャップ(つまり報酬の低さ)にぶつかることになります。

勘違いして欲しくないのは、司法書士であっても、サラリーマンであっても、雇われる者の立場で多くを望んではいけないという事です。つまりこれは、決して司法書士が稼げない職業であるという訳ではなく、稼げるかどうかの問題はあくまでも「雇われる側」「雇う側」になるかという「働き方」の問題なのです。

特に、司法書士は法人化している様な比較的大規模なところでも、一般企業の水準に置き換えると中小・零細規模の組織に過ぎないので、上場企業の水準の給与や福利厚生を期待してはいけません。私が知っている司法書士事務所の唯一の福利厚生は「年に1度の社員旅行」で、しかもその為に給与から旅行代金に相当する分が天引きされているという、もはやそれは福利厚生と呼んで良いのか、厄介な社内行事の為にただでさえ少ない給与を差し出すという罰ゲームなのか分からないレベルのモノがあります。みなオジだったら、旅行(という名の社内研修)に連れて行かされるくらいなら、1年間で積み立てた額分の旅行券を従業員に配布して、交代で順次どこか数日間をリフレッシュ休暇として取得させて欲しいですね。(まあ、一番有難いのは、毎月の旅行代の給与天引きを廃止してもらう事ですけど…)

話は逸れましたが、苦労して司法書士になった後で、モチベーションを下げるようなことは言いたくないので、みなオジは、司法書士を目指す前にこのブログを読んでもらって欲しいと思っていて、現役の司法書士として「できるだけリアルな情報を」出して「不都合な真実」も含めて理解してもらいたいと考えています。

司法書士としての働き方は?

一口に司法書士といっても、上記に挙げたように①即独して事務所を経営する「個人事業主」「司法書士法人社員」としての司法書士、②(①の派生系として)共同事務所を経営して、経費節約の為に事務所賃料を共通化させ、仕事を相互に融通しあったりする「共同事業主」としての司法書士、③司法書士事務所に就職して「勤務司法書士」、④一般企業の従業員として働く「組織内司法書士」(ただし、登録の有無はケースバイケース)の大きく4つに分けられます。

司法書士の年収

司法書士の年収(2015年)
日本司法書士連合会HP:平成 28(2016)年度 司法書士実態調査集計結果より

上記の表は日司連HPの「司法書士実態調査集計結果」に公表されているので、司法書士受験生などは知っている人も多いでしょう。0円~1億円以上と年収にばらつきがみられるのは、まさに上記に挙げた働き方の違いによるものでしょう。1%にも満たないですが、5,000万円以上の年収の司法書士もいますし、そこまでは極端にしても、1,000万円オーバーも17%いるのでそれなりに稼ぐことはできると言えます。

また、みなオジの様に司法書士業務はメインで行っていないという方も含まれていると思いますので、199万円以下の年収帯(13.2%)の先生方が生活に窮しているほど稼げていないと判断するには早計でしょう。むしろ、司法書士業を副業とできるくらい本業が潤っている、もしくは、高齢でとりあえず登録を残している様な人と見た方が良いかもしれません。この様につかみどころがない資料ではありますが、一応、これが司法書士のリアルな年収の実態です。これを踏まえて、実際の事務所の求人票を見てみましょうか。

その1 大手司法書士法人A

設立して20年の歴史を持つ、司法書士法人の中でも最大手の事務所です。全国に拠点を構え、従業員数は150人程で内資格者が40人となっています。この事務所では司法書士の正社員を募集しており、その求人内容です。職務内容は大手事務所らしく、「不動産(遺言・相続関連含む)から商業、債務整理、成年後見、裁判業務などまんべんなく」とありますが、採用後所属するチームで偏り(当たりハズレ)は出るものと思います。

必要スキル  
司法書士資格は必須 推奨条件としては、司法書士としての実務経験となっています。当然そこには、基本的なPCスキルなども含まれます。
学歴や語学力は不問 弁護士と異なり、語学力を問われる事務所はあまりありません。もちろん英語・中国語等が得意であれば、相談業務や書類の作成などで強みとなるでしょう。

補助者ではなく司法書士の募集ですので、司法書士の有資格者であることが必要条件となっています。この事務所は人手が足りないようで、時短勤務も可能だからとりあえず応募してくれという感じの様です。この事務所に限らず、司法書士資格を持っていればは子育て中のママでも柔軟に採用が決まる事が多く、女性にも非常にお勧めの資格です(司法書士数だけ見れば圧倒的な男性社会(女性の司法書士数は15%前後)ですが、その分女性の強みも出せる余地は多いと思います)。また、多くの求人では未経験者可の募集も行っていますので、教育・研修環境が整っている事務所がポイント高いです。

ちなみに教育環境が整っているというのは、事務所内のOJTだけでなく、自分のスキルアップのための時間を確保できる、ゆとりある勤務時間という事です。OJTも貴重な学びの場ですが、決済事務所だったりしますと、不動産登記のうちの狭い業務スキルしか身に付かないという事もあります(これが苦痛で短期で事務所を変えてという知り合いが多い)。理想的なのは、週に1度はノー残業デーを設け、有志メンバーで勉強会を開くような意識の高い事務所です(が、そんな良い環境の事務所があるかは不明)。続いて、給与を含む勤務条件を見てみましょう。

勤務条件  
給与 年収ベースで300~400万円。月給ベースで20~27万円(月20~40時間のみなし残業含む)。これが勤務司法書士のリアルですが、これまで勤務経験が無い人にとっては、それほど悪くない?一応この事務所はボーナスも支給されるようですが、その年の業績による様ですので、支給されない年もあるかもしれません。
手当 上記の給与の他に、通勤費と司法書士登録者の年会費が支給されます。(年会費の名称が資格手当という名称の事務所もあります。)
休日

年間125日 土日と祝日を合わせると、120日の休日がありますので、これに夏季休暇と年末年始休暇が付くイメージでしょうか。司法書士事務所にしては恵まれており、さすが大手事務所といったところです。ただし、繁忙期は土曜日出社が暗黙のルールになっているケースもあり、求人票からは全てをうかがい知ることはできません。

就業時間

9:00~18:00 就業時間については、法務局の開庁時間に合わせて8:30スタートもしくは更に早い始業時間を設けている事務所も多いですが、これも業務の繁忙具合により早出出勤が常態化している可能性もあります。

一番最初に給与面に目が行ってしまいますが、どちらかというと休日と就業時間(平均残業時間)等の総労働時間を気にしたほうが良いでしょう。特に決済事務所ですと金消契約の立会い等で土日に出社しなければならない場合もあり、その際に振替ができる雰囲気なのかなども結構重要です(とはいえ、入ってみないとそんなものはわからないので、求人票を鵜呑みにせず、口コミサイトの情報や知り合いなどから聞くしかないでしょう)。みなし残業制度で残業しても給与が上がらない事もザラで、時給換算するとコンビニバイトよりも低い水準となっている事もしばしばです。また、法定休暇のみならず、産休・育休制度がある(充実している)、慶弔休暇があるなどの福利厚生面も注意してみてください。

その2 個人司法書士事務所B

次に都内の事務所(都内:資格者3人、事務スタッフ・補助者8人)の求人を見てみましょう。ちなみに個人の事務所は求人にかける費用が無いので、司法書士会のHPなどに求人案件を掲載することがあります。

必要スキル  
司法書士資格 要・年齢制限なし 所長が高齢だからなのか、応募者の年齢なんて細かい事にはこだわりません。
体力と健康な体 事務所の〇階(結構な階数)まで階段で上り下りするので、という事らしいです。茶目っ気ある先生ですね。

司法書士の資格の強みとしては、就職には困らない事だと思います。都内では人手不足が慢性的であることから、資格者であれば、経験年数など他の条件は緩いです。(ただし、給与などもそれほど望めませんが)

 

勤務条件  
給与 給料20万~(実務経験1年以上の方は22万~)
勤務時間 平日 8時30分~17時30分 or 10時~19時 ※リモートワーク、フレックス制導入。

この事務所ではありませんが、給与条件については「給与は面談時にお伝えします」という事務所も多いです(せめて、月〇円~、ボーナス有、といったヒントを…)。また、事務所の特色もバラエティに富んでいて、読んでいて思わずクスっと笑えるアピールポイントが多かったです(例:「パワハラ・セクハラ・世襲制無し」「無口・口下手でも大丈夫」)。

全般的に入れ替わりの多い(資格者の場合、独立開業することが前提で入所するので)業界ですので、下記の様に事務所の人材難がにじみ出る記載も多かったです。

その他記載事項  
通勤時間は〇分以内 通勤費は上限〇円まで支給、というのはよく聞きますが、終電が早いと困ってしまう位忙しいのかと、勘繰ってしまう…
履歴書を下記住所までお送りください。繁忙期につき電話対応は致しません。 電話とれないほど忙しい事務所というだけで、履歴書を書く手が止まるくらいの動悸がしてきます。

まあ、最初から書いておいた方が、お互いありがたいのかもしれませんが、あまり正直に書くと、誰も応募しないのではないかと心配になります。これらで例に挙げた求人情報で司法書士のすべての就職事情が網羅されるわけではありませんが、皆さんのイメージする司法書士とはギャップがありましたか?

どのような基準で事務所選びをすればよいか

前述の通り、司法書士の事務所選びは報酬面も重要ですが、実務未経験者の場合などは、それ以外、例えば拘束時間の少なさだったり、取り扱う業務範囲の広い又はジョブローテンションがしっかりした事務所、つまり分業制・非ルーティン作業ではなく一人で裁量を持って、最初から最後まで携わる事ができるスタイルの事務所がお勧めです。(書いていて、そんな事務所があるのか不安になってきましたが)そうなると、大規模な事務所(決済事務所)は候補から外れるのですが、あなたがこれまで安定した社会人であったならば、個人事務所は避けた方が良いかもしれません。(ギャップに驚くので)

また、個人的に将来性が見込める事務所は、クラシカルな登記業務メインの事務所ではなく、M&A等の組織再編やIPO(株式の公開準備)関連のコンサルティング業務に強い事務所かと思います。(もちろん皆さん自身の指向と合っていることが前提です。司法書士なんだから登記やってなんぼでしょ?という人は無視してください。)

優先すべき職場環境は何か?

また職場環境ですが、大手の法人であれば、多少の違いはあれどなんとなく共通した雰囲気(一般企業に近い感じ)があると思いますが、個人経営の小規模事務所ですと、所長の癖が強かったり、パワハラ番頭が仕切っていたり、スタッフの顔から生気が失われていたりと、ヤバい雰囲気がビンビンと伝わりますので面接終了後、できれば執務スペースの様子も見れるようにお願いしてみましょう。

希望に合う事務所を選んだら(無資格者の場合)

おそらく、事務所選びは(クセの強い事務所の)消去法になるでしょうから、希望にあう事務所だと思ったら、すぐに行動に移す事です。とにかく、人手不足の割に実務経験者を得にくい業界(諦めて司法書士業界を去っていく人がいるから)なので、やる気・元気をアピールすれば、入りやすいと思います。面接も小規模事務所であれば、所長面談の1回で終わることも多いです。面接通過のポイントを一つ教えましょう。それは、司法書士試験勉強中であっても、その事務所の「補助者の司法書士試験合格率」は聞かない事です。

希望に合う事務所を選んだら(有資格者の場合)

また、資格者であっても、採用されておしまい、ではなく1年後、3年後、5年後と自分の将来を見据えながら、この事務所で与えられるモノと得られるモノを考えながら業務をしなければなりません。なぜなら、司法書士という職業を選んだ時点で、サラリーマン的な働き方に疑問を持っているという事なのですから、常に独立を意識しながら働き・スキルを付けていかなければならないのです。漫然と業務をこなすのではなく、人との出会いや世の中の動きなどを常にウォッチすることで、独立開業のチャンスが広がります。またそのチャンスを確実にものにするために、私生活も節制して開業資金は早めに確保できるようにしましょう。

資格者はまだ恵まれている?

皆さん、求人情報に対してそれぞれ思うところはあれど、司法書士有資格者は恵まれている方だと思います。司法書士補助者(無資格者)ですと、ここから更に条件が悪く・求められるスキルも厳しくなりますし、司法書士試験勉強中の方であれば、直前期に勉強時間が確保できるかなどの心配もしなければなりません。

今回のアドバイスは自分の経験に基づくものですが…

みなオジは司法書士事務所で勤務することは考えなかったのか?と周りから聞かれることがあります。合格した当時は上場企業に勤めており、給与面で半分以下に落としてまで働きたい(しかも今より激務)か等、いくつか自分に問いかけた結果、家族に相談するまでもなく「無し」でした。20代の頃(資格取得前に実務を学ぶために)司法書士事務所で働いた経験はあるので、有資格者&多少の実務知識を持って入所したらどうだろうという事を想像しながら、あの当時の劣悪な労働環境(週休1日・終電まで残業・残業代一部のみ支給)を思い出しつつ、このテーマを書きました。あの頃を思い出すと、悪寒がはしり、思わず嘔吐(えづ)くほどでした。(はじめ、記憶があいまいだったのですが、もしかすると自己防衛本能が働き、当時の記憶を封印していたのかも知れません。)「若い頃の苦労は買ってでもしろ」という金言がありますが、できれば自分の子供にはあのような思いはして欲しくないと思いました。笑

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港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。