
日本の資格の中で最難関レベルと言われる司法書士試験。もちろんみなオジも合格する前提で学習を始めましたが、受験時代は自分が想像していたよりも100倍キツかった…おそらく来世生まれ変わったら絶対に受けないと思います。(司法書士の仕事は素晴らしいというのは言わずもがなですが)
個人的には、今現在は司法書士資格取得のタイミングとしては良い時期ではないかと思っています。以前も司法書士試験に触れたブログネタを挙げてきましたが、今回は更に一方踏み込んだ内容でより実情を話していきたいと思います。具体的には、みなオジの司法書士試験時代の資格取得までの道のりや勉強スタイルを専業時代(初学者)、サラリーマン時代(合格年度)を中心に語っていきます。
関連過去ブログ:祝合格&司法書士試験挑戦者へのエールは→コチラ
関連過去ブログ:司法書士資格の取得について(難易度や勉強のコツ等)は→コチラ
目次
最初におことわり
ちなみに、みなオジは試験合格まで7回ほど掛かっており、しかも、仕事の関係で受験から離れていた時期もあり、お世辞にも優秀な受験生ではありませんでした。
しかし、仕事を辞め(クビになっ)て最初のチャレンジと、仕事と両立しながら再スタートした後はスタイルを変えて受験に取り組み、そういう意味ではダメな(専業)受験生時代と失敗を糧に自分に合った学習方法を確立できた時期の両方を経験した珍しい受験生だったと思います。
この様に書くと、専業で取り組むのがダメと聞こえてしまうかも知れませんが、メンタルの弱い自分には専業で取り組むプレッシャーに耐えられなかったのと、難関試験の学習をしながら仕事をするなんて、周りの同僚に迷惑がかかるという弱腰と自分で自分の限界を作ってしまうという闘争心の無さが起因したと自己分析しています。
結局、社会人(しかも、そこそこ激務)をしながら、再スタート後の3年目で合格できたことを考えると、専業・兼業という事ではなく、いかに覚悟を持って司法書士試験に取り組めるかが合格への鍵なんだと思います。もちろんこのような考え方が出来たのは、合格したという経験があっての事なので、現在受験中の人にとっては再現性のあるマインドセットでは無いというのはよく理解していますが、みなオジと同じ茨の道を歩く皆さんに少しでも早く勝利の美酒を味わってもらいたいと自身の経験談から助言しました。
ぶっちゃけて言うと、合格率3%の試験なんて「クレイジー」としか言いようがありません。今現在、満ちたりている人には、ハッキリ言って司法書士試験はお勧めしません。この世界に、首を突っ込まない方が良い。
なぜ、今が取得のタイミングなのか
前置きが長くなっている上に更に前置きをします。本題に入る前に、なぜ今が資格取得のタイミングとして良いのかを解説しましょう。個人的には個人の能力も重要ですが、司法書士試験の様な相対評価の試験については受験のタイミングというのも合格スピードに影響すると思われます。
その1 合格率が上がってきているから

年度 | 合格率(約) |
---|---|
2021年 | 4.1% |
2020年 | 4.1% |
2019年 | 3.5% |
2018年 | 3.5% |
2017年 | 3.3% |
2016年 | 3.2% |
上記の合格者数を見ると、一見合格者数が減少している(直近のピークの947人から2021年は613名と3割強の減)ので、レベルが上がっていると思われますが、これは出願者の人数も減っている事から右図の合格率は4.1%と上昇している事が分かります。みなオジが受験した時は「合格率3%」と言われていた時代です。たかが1%の違いではありますが、当事者としてはこの1%がいかに大きいか…
司法書士業界は高齢化しており今後自然減が多く見込まれる事、ここ数年の合格者の平均年齢も40代に突入している事から人材難が叫ばれており、監督省庁である法務省としては受験者数如何に関わらず、合格者数は600人程度を確保したいというのが資料から見て取れます。ですので、今後も合格率は上がる可能性があると言えます。ただし、昨今の経済状況(コロナ禍での失業者の増加)により、受験者数が反転増加する可能性もあり、その場合は注意が必要でしょう。

その2 大きな法改正がひと段落したから
法律系の資格試験で避けて通れないのが法律の改正です。みなオジも受験を始めたころは、不動産登記法についてはオンラインの申請など無く、登記識別情報は申請書副本、登記事項証明書も昔は登記簿と呼ばれていた時代でした。以前は商法と呼ばれていた法律も会社法として2006年5月に再編され、その後2014年(会社組織の内部統制上の規定策定)に改正がされました。
それ以外にもマイナー科目を含め大小さまざまな改正があるたびに、受験生を悩ませていました。みなオジも知識が付くにつれて独学でカバーしたり、模試で改正論点を重点的に学習する等対応する事が出来ましたが、初学者時代は改正の度に「改正法講座」等を受講していて、貧乏時代はかなりの金銭的負担でした。
そういう意味で120年ぶりとなった民法(債権法)の大改正が2020年4月に施行され、会社法も2019年の改正(2021年~23年で順次施行予定)と改正論点は出尽くしたこともあり、初学者がこれから学習するに当たって民法・会社法の2大メジャー科目については、混乱することなく学習を行う事が出来るという利点があるでしょう。もちろん、既習者も改正論点を経緯等を絡めて覚え直すことで周辺の領域も取り込んでより記憶の定着が見込めるので、悪い事ばかりではないと思います。

初学者時代の学習ルーティン
司法書士を目指したきっかけ
本題(勉強方法)に入る前に司法書士を目指したきっかけについて軽く触れましょう。以前もブログで書いた通り、みなオジは社会人をクビ(会社都合の早期退職)になって、司法書士の学習を始めました。(ちなみに、法律は初学者)
司法書士を目指した理由は…、「会社に依存しない生き方」がしたかったんですかね。当時は、知り合いに「なんで司法書士なん?」と聞かれたとき、「世の中の困った人を救いたいんだよ」等とありきたりな(安っぽい)理由を知り合いに話していましたが、本心はと言うと自分に自信が無かったんだと思います。
もちろん、司法書士の資格を取ったからと言って安泰な人生が送れるという保証はないんです。ただ、若く、何者でもなかった自分が会社をクビちょんぱされて、社会との接点が無くなった時に、不安のあまり自分なりのアイデンティティが欲しかったんだろうなと思います。(あと、皆を見返したいというセコイ承認欲求とか)
そんな動機で司法書士目指したのか?と言われるかもしれませんが、きっかけは、あくまでもきっかけです。酒を飲みながら世の中を愚痴って腐っているよりは、漠然とした動機でも目標に取り組むという姿勢(勢い?)が大切なんじゃないかなと思います。また、しっかりとした動機があっても素養や適性が無い場合もあります。少なくとも習得に時間のかかる学問分野については、学びや経験を積みながらその職種に相応しい人格が形成されると思います。また、ありきたりではありますが、挫折や苦難を乗り越えた人の方がその人生経験に基づいて説得力が出るものなのです。

初学者時代(1年目)
さて、前置きが長くなりましたが、みなオジの1年目の学習スタイルについて語ろうと思います。えーっと、かなり昔の話になるのと、あまりにつらい記憶なので、当時の記憶を手繰り寄せるのに時間がかかりました。
まず先ほど触れた様に、みなオジはこれまでの仕事で法務業務に関わったことは無く、大学の学部も非法学部でした。という訳で、まずみなオジが行ったことは資格の難易度調べです。平均学習時間、合格率、受験資格等調べ、法律初学者の自分でも勝ち目があるかというのを調べました。司法書士は比較的受験の間口が広い資格試験で学歴の縛りもありませんが、中には大学卒業を条件としていたり、実務経験を要求する様な資格もあります。
それだけに司法書士試験は当時受験者数が多く、合格率も3%と低いのですが、見た目ほどは厳しくないだろうと考えて司法書士に決めました。(それが、地獄の始まり)
次に学習スタイルですが、法学初学者であり、仕事を辞め受験勉強に費やす時間と割増退職金で潤沢な貯蓄があった事から、独学ではなく、素直に大手資格予備校の入門講義を取ることにしました。今はネット配信で手軽に受講できると思いますが、当時は生講義やビデオ講義のクラスがほとんどで、費用もバカ高(100万円近く掛かった)かったです。
ちなみに、現在の大手予備校の初学者向けコースを見ると、当時に比べ「あらまあ安い」という事で下にいくつか並べておきますね。費用だけで決められるものでは無いですが、参考にして下さい。
・TAC(wセミナー):入門総合本科生 533,000円 ・LEC東京リーガルマインド:新15ヵ月合格コース 587,400円 ・伊藤塾:司法書士入門講座 499,000円 ・辰巳:1年合格スタンダードパック 477,500円 |
上記の4校がメジャーどころです。講座の価格もまちまちですが、講義の回数や模試がセットになっているコースもあり、単純な比較は難しいです。また、受講料も高ければいという訳でもなく、講師との相性(相性はかなりあると思います。申込前に一度体験受講するべき!)や、教室に通うのであれば通学の時間なども考慮して選ぶのが大切です。
上記の予備校の他にも通信の予備校もあり、費用面に関してはその多くはスクール型の予備校よりは安いです。どちらの形式にもメリットとデメリットがありますが、自分の学習スタイルに合った予備校、もしくは講座を受講すればいいと思います。
メリット | デメリット | |
スクール型 | ・受験仲間が出来る。(質問できる、精神面で安定、情報共有ができる) ・学習ペースをつかみやすい。 ・オンデマンド講義もあり、通信教育感覚で使える。 | ・通学時間(費用)がもったいない。 ・人間関係が煩わしい場合も。 |
通信型 | ・費用が安い、兼業受験生向け。 ・ぼっちが苦にならないなら、効率的に学習が可能。 | ・フォローアップ面が貧弱(予備校によるかも)。 ・意志の弱い人はサボる。 |
あと、みなオジから一つ忠告ですが、最初から気合を入れてフルコース(直前模試等を含む講座)を申し込まない方が良いかもしれません。…というのも、当時みなオジは通学で予備校に通っていたのですが、半年くらいすると何割かの仲間が姿を見せなくなった経験があるからです。
ある意味、1年間学習が継続できる事というのが、司法書士受験生にとっての最初の関門です。そして、その難関を潜り抜けた者も、最初の本試験を受けて、全く手応えが無かった事から自信喪失して脱落していくのです…結局のところ、頭の良さではなく、何事もコツコツと学習できる持続力が必須なのです。
とはいえ限りある人生、どこかで「見切り」をつける事も大切です。ダラダラと受験を続けても、本人はもちろん、家族等も巻き込んで不幸に陥れる事になります。いわゆる「コンコルド効果」(これまで掛けた費用・時間が無駄になるので、撤退の判断が出来ない)に陥らないように、例えば「1回目の本試験で7割以上の得点を取れなければ諦める」とか「3回受験してダメなら、撤退」という風に、あらかじめ中期的計画を立てて、それに沿って学習を進めるのが良いでしょう。

よく1回目の試験を小手調べの様な感じで受験する人がいるのですが、これは多くのベテラン受験生が陥ってきたメンタリズムです。全科目学習が終わっていないからと言って1回目の本試験をパスする受験生や憲法と民法しか自信が無いから午前科目だけ受けて帰るといった人もいますが、「1年目だから落ちて当たり前」という甘っちょろい考えは捨てて、必ず受験本番までに全範囲を学習(一回くらいは過去問を回す等)して、全て解き切るという意欲で受験してください。1年目は捨て試験だと言っている人は、間違いなく2年目も落ちます。司法書士試験はそんな試験です。
まとめ
大昔の記憶を基に描いているので、すぐに話が尽きるかと思いましたが、思った以上に無駄話が増えてしまいました。今回は精神論や心構えの様な内容に終始しましたが、次回は「司法書士合格への道のり その②」と題して、主に1年目の学習法(というか失敗談)について語っていきたいと思います。
関連過去ブログ:司法書士合格への道のり その②は→コチラ