不動産

思い出語り~初めてのマンション購入③

投稿日:2021年4月11日 更新日:

前回までのあらすじ

前回の「初めてのマンション購入②」では、家探しを始めたみなオジが戸建からマンションへと物件の絞り込みを行う過程のアレコレを書きました。皆さんも家探しの時に、マンションor戸建が最初に悩む分岐点だったのではないでしょうか。こればっかりは、その人と家族の好みの問題ですので、何が正解というのはないのですが、みなオジの予算的には戸建は安かろう悪かろう的なモノを掴んでしまいそうだという恐怖と狭小住宅に住むという現実を受け入れることが出来ず、平均的(無難)なマンションを対象としました。

このトピックでは、マンションの中から更にどのような条件を加えて絞り込みを行ったかを書いていきたいと思います。今考えると、当時の自分は非常に慎重(というか小心者)でしたが、複数の不動産を所有する投資家である今の自分がいるのもこの時の自分の判断があったからこそだと思っています。

物件価格~あの頃は激安だった

また、今のマンション価格と比較すると当時は不動産の価格が恐ろしいほど安かったのだと改めて感じました。特にこの中では触れていませんが、都心部の価格がビックリするほど安かった(港区でも坪300万円台で麻布エリアの物権が購入可能でしたし、中央区の勝どきでしたら200万円台で購入もできました)。新婚当時もう少しきちんと貯金をしていたら、港区の物件も購入出来ていたのにな~と、ついついあらぬ妄想をしてしまいました。

予算・価格

予算をケチりすぎて、八方ふさがり

みなオジは、あの衝撃の戸建事件からマンションに目標を切り替えましたが、やはり購入未経験者が抱える一番の不安は、「多額のローンを抱えて、果たして返済できるのか」という恐怖心でしょう。しかし、病気や死亡の際の団信や、支払いがきつくなった場合の返済猶予などの対抗手段がある事についても、買い手側も購入経験を重ねる度に学んでいくので、むやみに恐れることは減ると思いますが、購入未経験の知識まっさら状態だったみなオジにとっては、安いのは安いなりの理由があると頭では理解していても、つい本能的に安い方に引き寄せられてしまうのです。そんなビビりが、当時どのように予算を設定していったのか見てみましょう。

現居の居住費と同額で設定

利便性重視で始まったみなオジ家の家探しですが、利便性が高い住宅は当然お高くなるもの。既にご存じの通り、我が家のネックは手持ち資金が少なく、世帯収入も低い(つまり与信属性が低い)という事。無理して家を買ったはいいが、その後の新婚生活のディナーがカップラーメンになるのではないかという恐怖感が付きまとった事から、住居費をなるべく抑える様な予算設定をしました。具体的には、今の家賃と同額以内に収める事を目標としました。

自分の懐具合と都内の新築価格を見比べると、購入できそうだなぁと感じたラインが「物件価格3,000万円まで+諸経費」くらいでした。(無理をすればもう少し高価格帯物件を選べたのかもしれませんが、背伸びをして買っても定年まで払い続けられる自信が正直言ってありませんでした…(当時、夫婦ともに年収が上がっていくという楽観的な展望が持てませんでしたので。)あの頃は全てにおいて保守的に考えていましたが、最初の家探しは臆病なくらいの方が良いかもしれません。

広さ・間取り

マンション選びで「価格・予算」の次の優先順位に設定したのは「広さ」です。妻とは「一生住む家なんだから、将来を見据えた広さが良いよね」という意見で一致しました。ちなみに「将来を見据えた」とは、今後の家族構成の変化です。いずれ子供は欲しいと考えていましたので、そうすると2LDKはつらいだろうと(1LDKなんて論外!)いう考えを持っていました。

その様な経緯で不動産ポータルサイトで「3LDK(70㎡前後)/予算3000万円」と条件設定して、マンション検索を行ったところ、驚愕の事実が明らかになったのです…(今思えば、驚愕でも何でもなく、当たり前の結果なのですが。)

場所

予算も決まった、希望の広さも決まった、次はどのエリアを狙うかです。当然、勤務先から近いところから刻んでいきます。上記のポータルサイトの新築物件検索を使って、まずは「通勤時間15分圏内」を検索…、フムフム、港区、千代田区はさすがに無いか~!次に30分圏内、次に…。アレッ!!!?

都内には住めない?

驚愕の事実とは、(皆さんお分かりの通り)この予算と条件ではシンプルに都内には新築マンションには手が届かないという事です。そもそも、価格条件を坪単価にすると@140万円(=3,000万円÷70㎡×3.31(1坪単価で表示))となる訳ですが、物件価格が低かった当時でも、この価格帯まで予算を落とすと都心はもちろん23区内は相当厳しい。じゃあ、どこまで妥協すれば良いのかですが、結論から言えば(東京の東側ですと)千葉県の船橋でした(しかも、バス便!!)。

千葉は知らない土地ではありませんが、さすがに船橋からでは通勤に1時間30以上掛かってしまいます。むしろ、今より通勤時間伸びてるし…と、葛藤に苛まれました。新居購入の目的は痛勤解消にも関わらず、購入できるエリアが更に不便な場所になっては本末転倒の極みです。購入をやめるべきか、それとも無理して買うか…そもそも、今の会社でずっと働くのか?転勤の可能性は?など、様々な考えが頭を駆け巡ります。

勿論、食わず嫌いはいけません!資料請求をして、現地マンションギャラリーに行ってきましたよ。その結果、分かったのは、通勤時間が掛かるとかどうとかいう以前に、この物件を買うと、(色々な意味で)人生が固定される恐れがある、という漠然とした胸騒ぎを感じたという事です。うまく表現できないのですが、この船橋の物件を買うのならば、将来、船橋市議に立候補するくらいの覚悟を持って契約しろという、神様の声が聞こえたような気がしたのです。(イミフなたとえでスミマセン)

一方、商談中の妻の方を見ると…、アッ!まずい、都内の物件を見学しているときより明らかに顔がダレてる!!

魂抜けとる…

手詰まり状態で残された選択肢は?

ここで、その当時のみなオジが取り得た選択肢を整理してみましょう。ちなみに、あなたならどうしますか?

①潔くあきらめる!(お金を溜めて出直す)
②なぜ都内にこだわる?千葉でいいじゃん、TDL近いし買っちゃおうぜ!
③そもそも3LDK必要?2LDKなら、都内も視野に入るのでは?あと、新築に拘らず、中古も視野に入れよう。
④変動金利安いし、予算上げるか!
⑤親に土下座!→直系尊属からの住宅取得資金贈与(非課税)を活用
究極の選択。あなたならどうする?

当時のみなオジの決断は、「あがく」(①と④の合わせ技)でした。

②の「場所にこだわらない」も、かなり迷ったのですが、みなオジの本能が「都内で購入すべき!」と警鐘を鳴らしていました。そのため、見学して商談していた千葉の物件はやめました(当時注目されていた壮大なマンションプロジェクトで、規模感やコンセプトは良かったのですが)。今でこそ理路整然と都内で選ぶべき理由を述べることができますが、当時は自分の判断に自信が持てず、この先本当に候補が現れるのか本当に不安でした。

ある物件で究極の2択

どっちを選ぶか?

都内23区(外縁部除く)にターゲットを絞り、予算的に絶望的な家探しの旅を再開しましたが、この時みなオジが希望を託したのが「パンダ部屋」と「値引き」でした。

パンダ部屋とは、集客のために一部屋だけ格安の価格設定がされた部屋です(もちろん、眺望や条件は良くない部屋が多いですが)。パンダ部屋については、値引き交渉にも影響を及ぼすものです。

マンションの値引きテクニックに興味のある方は新築マンションの値引きテクニックを伝授します PartⅠを参照ください。

実は、これまでの物件の商談で直接的・遠回しな形で値引きの提案がありました。このことから、まさに年度末という時期が到来するタイミングであった事もあり、各売主の更なる「値引き」もあるのでは?という下心があったのです。まあ、値引き自体は売り手の都合というか他力本願なのですが、値引きを引き出すには、こちらから積極的に物件にアプローチしなければ、その様な提案も起こり得ませんので、複数の物件と関係を作っていくという意味でも、多くの物件を見学に行く必要があると考えました。

参考までに、その当時、資料請求やマンションギャラリー訪問をした物件概要を下記に記載しておきます。

場所(新築/中古) 駅距離特徴当時の坪単価(平均)/値引きの打診の有無(参考)現在の坪単価
江東区(新築) 都営新宿線 徒歩9分他洪水レッドエリアだが利便性高し200~240万円(なし)250万円位
練馬区(新築)西武新宿線徒歩8分普通、普通のオンパレード230~270万円(あり)230万円位
杉並区(新築)西武新宿線徒歩3分唯一見に行った、マイナー売主&総戸数20戸の小規模物件忘れた(忘れた)200~210万円
千葉県船橋市総武線18分他とにかく大規模(抽選の部屋も有)150~170万円(なし)180~200万円位
豊島区(新築)東武東上線11分売主担当者の印象悪!(中堅デベ)忘れた(なし)250万円位
2か月の間に6物件回りました。(最初の戸建はカウントしていません)

もしかするとこの他にも資料請求~モデルルーム見学まで行った物件があったかもしれませんが、記憶に残っている物件だけで上記の6件です。都内の物件は価格表通りに購入すると、予算オーバーとなってしまいます(審査に出せば、ローンは通ったかもしれませんが、融資を受けようという気概がありませんでした)。

当時、23区の中で東側外縁区(葛飾、江戸川、足立)を除いたエリアの下限は坪200万円位でしたので、その条件で3LDK(70㎡弱)を選ぶと大体4000~4300万円の物件価格帯となってしまいます。ですので、値引きのオファーか、パンダ部屋が出てこなければみなオジ家の家探しの旅は潰えてしまいます。

千載一遇のチャンスか?!

チャンス到来!

こんな哀れなみなオジに救いの神(というかsuumo)は、ある物件をめぐり合わせてくれたのです。電車の中で半ば惰性的に首都圏版suumoをパラパラめくっていると、明らかに市場の相場より安い物件情報が目に飛び込んできました。その物件の概要は下記の通りでした。

エリア/駅距離/通勤時間江東区/東京メトロ駅徒歩12分/夫婦共に30分程度
間取り・広さ3LDK・65~70㎡
規模、その他特徴中規模物件(200戸未満)、大規模商業施設利用可、売主:そこそこ大手のデベ
坪単価@180~210万円 ※パンダ部屋@165万円
救いの神はみなオジを見捨てなかった!

この物件自体、周辺と比べると1割くらい安く売りだされている事を鑑みると、坪165万円というのはまさに天啓とも呼べる価格だと感じ、思わす電車から降りてマンションギャラリーに電話予約を入れた程でした。

そして申込みへ…

早速、次の週末に予約を入れ、妻を連れて商談をしました。販売員の話を聞けばその部屋は先着順で販売中とのこと!注目エリアの割には立地的に地味な事が災いし、販売不振の様で、年度末に在庫を捌けてしまいたいというのが担当営業マンの口調から伺えました。正直価格的には、まだ200万ほど予算と乖離があったのですが、直感的にこの物件に決めなければもうこの水準の物件には出会えないだろうと感じ、提携ローンの仮審査を行い、それが通れば申込み→契約と決めました。今までさんざん、背中を押されても足がすくんで踏み出せなかったのですが、なぜかこの時に限っては決断する事が出来ました。

ファイナルアンサー!?

担当者からは、住戸を年度末に引き渡すことがパンダ部屋契約の条件と伝えられたので、翌日には審査資料を持って行った記憶があります。その際、営業担当から以下の様な「悪魔のささやき」を受けたのです。

タイミング考えてくれよ~

「みなオジ様の与信状況的には、おそらくもう少し借入が出来ます。みなオジ様が申込された住戸の7階上の住戸で階数以外同スペックの部屋があるのですが、そちらの部屋でしたら、諸経費をカットさせていただきますが、いかがでしょうか…」

申し込んだ物件低層階(前面建物に眺望ふさがれる) 3,400万円 諸経費140万円
提案された部屋高層階(眺望最高)         3900万円 諸経費サービス(実質値引き)
                  差額 360万円
このタイミングで、出してくるかね…(ため息)

何だよー、折角腹が決まってまな板の上の鯉状態だったのに、これ以上迷わせないでくれよ~。正直、ありがた迷惑な提案でした。おそらく、このような提案が急遽あったのは、パンダ部屋の反響が良かったことから、売主の販売戦略的にその部屋は宣伝用に残しておきたいという意向が働いたと思われます。

個人的には眺望は気にしないのですが、隣で聞いていた妻の表情は明らかに揺れ動いてるのが見て取れました。(こりゃ家族会議だな…)確かにグロスで400万円弱の価格差が生まれますが、35年ローンで考えると月々1万円の支払額の差が生じる計算でした。「ちょっと考えさせてください」と、その日は返事を保留して帰途につきました。(帰りの電車の中では、妻とはあまりその話題に触れなかった記憶があります)

住宅ローンの審査の結果が出るまでの間、妻と議論を繰り返しましたが、結果的に妻の希望を諦めてもらいました。理由としては、「眺望」という非機能的な評価ポイントで400万円弱という価格差を受け入れることはできないという点でした。この結論に至るまでの間およそ1週間でしたが、360万程度の希望を叶えられず、夫として非常に情けなく、当時、妻に対して申し訳なく思ったものです。

逆に言えば、この時我慢してくれたからこそ、いずれ妻にはもっと良い家に住ませたいと強く思う様になり、より一層仕事とステップアップに打ち込む契機になりました。まあ、住む場所なんて上を見ればキリが無いですが、現在の住まいは当時よりは妻の希望通りになったとの事なので、夫としての最低限の役割を果たせたとホッと心を撫でおろしています。

そして契約書押印へ

契約書への押印:仕事ではあんなに押し慣れてたのに、初めての売買(と金消)契約書への押印では手が震えて恥ずかしかった…

すったもんだの末にローン審査も無事通り、3月下旬にようやく契約書締結までこぎつけることが出来ました。長い道のりだった…と感じましたが、よくよく考えると新居購入を決意してからたかだか3か月ちょいの出来事でした。引渡しは3月末でしたが、その間に室内の内覧会(契約者立ち合いの下、居室内のキズが無いかのチェック)を挟むなど、初めての経験だらけでした。これらを経て、最後に新居の鍵のボックスを渡された時が一番購入をリアルに感じた時でした。これも昭和的でアナログな感想ですが、家を購入したという事で、自分も一端の人間になれたという自信が身についた様な気がしました。

勿論、鍵を引き渡されて終わりという訳ではなく、これから引越しの段取りやエアコンの購入・設置手続き、住民票の移転等の諸手続きが続きます。新生活のスタートに心躍りますが、入居後初めて住宅ローンの引き落としがされたときは、これがあと35年続くのかと思うと本当に憂鬱な気持ちになったのを覚えています。

今振り返って点数をつけると?

まあ、80点かな~、という感じです。しかし、初めての経験という意味では「80点満点中の」としたいですね。家を購入できたことも重要でしたが、自分の中では妻と価値観を共有するきっかけをもらった様な気がしますし、今後の二人の目標の目線合わせが出来た事が望外の収穫だったなと感じました。

初めての購入時はとにかく致命的なミスをしない事が最優先

今回のマンションの条件設定・購入の決断が正しかったかどうかは、その人のライフステージや家庭の状況によると思います。みなオジの事例ですと、購入以降、周辺地域であの価格帯以下の新築物件は出なかったので、価格的な高値掴みをしたかもという後悔はありませんでした。

最後に悩まされた同物件の高層階の部屋との選択についても、現在の中古物件の取引事例を見ていると、どちらの部屋でも売却益が見込めることから、どちらを選んだとしても、そこまでの大きな影響はなかったと思います(ちなみに2021年現在で坪単価260万円くらいの売出価格となっており、指値が入っても2000万円程度の売却益が見込めそうです)。これはみなオジの見る目が高かった訳ではなく、単純にタイミングの善し悪しの問題だったと思います。もし購入時が相場のピークに重なっていれば、高層階の部屋では傷口を広げる結果になり、再起不能になったかもしれません。

さいごに

みなオジの初めての新居購入の話はここまでとなります。はっきりと言って、購入テクニックよりもどちらかというと、揺れ動く心情の描写ばっかりだったような気がしますが、なんだかんだ言って最終的には一歩を踏み出す勇気に尽きるのではと思います。お世辞にも英断と言える様なものでは無くどちらかといえばグダグダなやり取りばかりでしたが、これを反面教師に良い新居購入をしてもらえれば、恥をさらした甲斐があったというモノです。

これを書きながら「あの時、もし自分が独身だったら、条件設定や購入物件の結果は違っていたのだろうか?」とふと考えましたが、そもそも、自分が結婚していなかったら全く家の購入なんて頭に浮かばなかった(後回しになっていた)んでしょうね。そういう意味では、結婚というのは、何も考えていなかったいい加減な自分を変えてくれた良いきっかけになったんだなぁと、しみじみと感じました。

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港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。