司法書士 港区おじさんのつぶやき

祝合格&司法書士試験挑戦者へのエール

投稿日:2021年10月18日 更新日:

令和3年度の司法書士試験の合格者が10月に発表されました。合格された方、おめでとうございます!ちなみに筆記試験合格者は10月25日に口述試験を受けて晴れて最終合格者となります。(ご存じの通り口述試験は「セレモニー」で、欠席以外で落ちた人を聞いたことがありません)

関連過去ブログ:司法書士資格の取得について(難易度や勉強のコツ等)は→コチラ

       :令和3年度司法書士本試験については→コチラ

自分の合格年度を振り返る

令和3年度合格点と基準点(法務省HPより)

この時期になると、既に試験から長く離れているみなオジもソワソワと気になります。私が合格した時の事を書くと、その年は絶不調というか、仕事が忙しく勉強時間が確保できず、答練で合格判定が出た回が「ゼロ」という惨憺な年でした(それまえでは毎年数回は「合格判定」を出していたような気がします)。

そもそも20代の失われたキャリアを取り戻すというリベンジ的な動機で始めた司法書士試験挑戦だったのが、気が付けばその間に一部上場の大企業の正社員となっており、収入的にも満たされていたことから、いつの間にかハングリー精神も失われ、挑戦当初のモチベーションを維持する意義を失っていた事も関係したのかも知れません。

「このままダラダラと続けても、本業(仕事)と両立が出来ないかも知れない…」と、本試験の点数次第ではこの試験が最後にすべきかと真剣に悩んでいましたが、10回に1度のラッキーが起こり受かってしまった、というのが私の合格エピソードです。

いざ合格発表日

法務局の掲示板(イメージ)です。

合格発表の日は忘れもしない会社の出張の帰りでした。東京に向かう新幹線の中で、16時頃サイトが超重くなっていた法務省のHPをスマホから何度も更新(100回くらいリロードしたと思う)かけて、自分の受験番号が出てきた時の感動は今でも忘れません。降車後(業務時間にもかかわらず)うれしさのあまり東京駅から九段下の本局の掲示板まで実際に見に行ってしまった程でした。

みなオジは毎年「午後の記述問題」が鬼門で、過去にも択一は余裕で突破していても記述で足切りで不合格という辛酸をなめ続けていました。その年も択一は基準点から+10問位は上乗せできていましたが、記述が案の定不安だったので当日まで全く手ごたえが無く、特に合格発表日前の1週間は生きた心地がしませんでした

今となっては、合格し、その後の仕事も順調と、努力と苦労をした分の見返りがあるので、こんな薄氷を踏むような恐怖体験も一応笑い話に出来ていますが、もしこれが未だに不合格であったりすると、結構シャレにならない状況でしょう。

特に最近の合格者の平均年齢は40歳を超えており、逆に言えば、40代でも合格できずもがき苦しんでいる方が多くいらっしゃらるという事になります。難関資格の学習中は、ほぼ1年中気を緩める事が出来ませんし、本気で合格を狙うのであれば正月、ゴールデンウィーク返上でプライベートや仕事も犠牲にしなければならず、多くの人が合格までの間に色々なモノを失ってきたはずです。

司法書士試験を志す人へ

「自己責任」という言葉で表すにはあまりに厳しい世界…

最近は好景気だったので司法書士試験の受験者の新規参入は減少傾向でしたが、今年から(コロナウィルスの影響で)上昇に転じているというのを耳にし、改めて「覚悟を持って試験に挑んで欲しい」と感じるのです。

中途半端な覚悟で首を突っ込むと、間違いなく後悔します。はっきり言って、受験者の中には心を病む人もいるのではないかと思います(私自身は幸い病みませんでしたが、周囲の環境や家族などの理解が無ければ、どうなっていたか…)。また、心は病まずとも、仕事との両立で体調を崩したり、仕事をセーブしたことによる生活の不安定等も恐らく皆さん多かれ少なかれ経験していると思います。

老後の趣味で資格取得をしようという事ならば話は別ですが、20~30代の貴重な時期に受験勉強に明け暮れるというリスクは非常に高いです。みなオジは覚悟を持って試験に身を投じる人をいたずらに止める様な事はしませんが、合格者として、受験を受けようと決意する前にそのリスクを低減させるアドバイスを行いたいと思います。

専業は諸刃の剣?(家族のバックアップが期待できる環境かを確認)

一つ目は専業(仕事を辞め、受験に専念すること)を選ぶことによって、勉強時間を確保したつもりが逆にプレッシャーになってしまいドツボになるパターンです。実家暮らしの人は生活費の負担を減らせるため、安易に専業を選びがちですが、家族の期待が徐々にプレッシャーになります。1年目は「合格率3%の試験だもんねぇ」と周りから同情してもらえますが、2年目辺りから風向きが変わります。結果、3年目アルバイト、4年目派遣社員と結局兼業に戻らざるを得なくなります。

何より専業のリスクは、長期に受験期間が及ぶことで大切な家族との信頼関係を壊す事ですので、先々に後悔する事のない様に計画的に活用しましょう。

こうならない様に実家で専業受験者を行うには、専業期間をあらかじめ決めておきチャレンジ前に家族に伝えておくのが良いでしょう。インプット(覚える)期間は、ダラダラと行うより1年間でギュッと詰め込む方が効率が良いので専業で行う一定のメリットはあると思いますが、一通り覚えた後のいわゆるアウトプット期間は隙間時間と土日に問題を解きまくって十分に合格レベル(「合格する」とは言っていない)に達する事が出来るので、仕事をしながらでも時間のやり繰りは可能です。

社会人として資格にチャレンジするなら大企業勤務

よく、アルバイトや派遣社員ならば勉強時間を確保できるだろうと考え、正社員を辞めて(退路を断って)試験に臨む人がいますが、基本的には安定した身分を捨てて受験を始めるのはお勧めしません。むしろ勉強時間を確保したいのなら、もし現在、中小企業勤務や派遣社員として働いている人は、まず大企業(ホワイトに限る)に転職をしてからの方がお勧めです。

はっきり言ってこれは自身の体験談ですが、大企業勤務の時が一番時間の融通を付ける事が出来ました。有休もしっかりとることができ、平日でも学習時間を確保できました。もちろん大企業に入れば必ず時間のゆとりが出来るとは言えませんが、理論的に組織が大きいほど自分に係る業務負荷は減るものです(言い換えれば自分の変わりは、いくらでもいるという事)。

また、会社によっては社員の推奨取得資格の一つに「司法書士」がある所もあり、スクールに通う際の補助負担があったり、資格を取得した際の報奨金や資格手当を出してくれる会社もあります。自己啓発といった福利厚生制度の充実は大企業ならではと言えます。

ちなみに司法書士試験では年明けから答練がスタートするのですが、まともに受けると10万以上掛かるコースのうち5割程度補助してもらっていたので非常にありがたかったです。また、上司の理解があれば、直前期の有給取得など容易だったりします。

これには問題点もあり、そもそも大企業に内定もらえるくらいなら司法書士試験なんて受けないよという人も一定数いるという事です。ですが「大企業に入れば、司法書士資格なんて用済み」なんて言わないでください。在職中に(司法書士に限らず)難関資格を取得すれば会社でも一目置かれる存在になりますし、間違いなくその後の配属や評価(更に言えば転職の際)で有利に働きます(←みなオジ経験談)。

行政書士試験、宅建士試験をリトマス試験紙に

安易に手を出すレベルの試験では無い故に…

司法書士試験挑戦を志した方は、比較的試験科目が重複する他資格(例:行政書士など)試験を受けてみて、この間の学習がツラいとか、生活リズムが維持できないと感じる様でしたら撤退するというのも良いかもしれません。司法書士試験は行政書士試験よりも何倍も大変ですし、一度始めると後戻りも中々できないので、司法書士への未練を絶つには良い方法です。

資格試験名      試験月   (合格発表月)重複科目
司法書士試験      7月   (結果発表:10月)
宅建士試験      10月   (結果発表:12月)民法・不動産登記法
行政書士試験     11月   (結果発表:1月)憲法・民法・会社法
マンション管理士試験 11月   (結果発表:1月)民法・不動産登記法(区分所有法)
管理業務主任者試験  12月   (結果発表:1月)民法・不動産登記法(区分所有法)
司法書士と重複のある科目が試験範囲の資格

もう一つの他試験の活用法としては、司法書士試験終了後~合格発表までの(人によっては悶々とした)期間を行政書士試験の学習期間に充てることで、切れ間なくモチベーションを維持するという方法です。みなオジも司法書士試験後は受かったor落ちたで色々と手につかない時期があり、そのモヤモヤの解消法として他試験の勉強に充てていました。

中には「司法書士試験中に関係ない学習(行政法とか)を行うのは非効率的」と言う方もいるかもしれませんが、それを言ったら仕事も何もできなくなってしまいます。それよりも中だるみの期間を無くす効果や、司法書士試験を合格する頃には行政書士、宅建といった周辺資格が取得できているという実益と、司法書士の学習が全く無意味では無いのだという自信(合格すれば成功体験となる)や自己肯定感に繋がるという精神安定剤的な役割に意味を見出しています。

その際の注意点としては、あまり負担の強い試験や関連の薄い試験を受けないようにすることです。具体的には土地家屋調査士や社労士ですね。実務に就いた時にこれらの資格を持っていると非常に活かせますが、ついでに取れるような資格では無いですからね。

撤退のポイントをあらかじめ決めておく

出口戦略を事前に考える事が大切

これについてはあまり多くは語りませんが、一番勇気のいる決断ですね。受験〇回まで、〇歳になったら、結婚したら…と言う様に、いくつかの「撤退ポイント」を定めておいた方が良いと思います。卒業時期を定める事でその期間に没頭する事が出来、結果的に短期合格に繋がるでしょう。仮に合格が出来なくても、その間に費やした学習や得られた知識は気っと仕事やこれからの人生にも役立つはずです。撤退は決して「逃げ」ではありません、恥じる事はありません!!

人の勉強法は参考程度に

最近はネットの情報、例えばYouTube、ブログ等情報が飽和した状態です。そもそも司法書士試験の難易度からして、人によって全然評価が変わります。(人によって、素地、年齢、基礎学力、学習環境が違うので当たり前ですが、)結局のところ自分に合った勉強法は自分で模索するしかないのです。

ネットの情報はあくまでも自分に合った勉強法をカスタムする素材に過ぎないという感覚で活用した方良いでしょう。世の中には一日に18時間学習できる人もいると思いますが、みなオジがそれを真似したら1年でつぶれてしまうと思います。また所帯持ちの人もそれを真似すると家庭崩壊と思いますので、あくまでも個人の体力と環境を鑑みながら試行錯誤すれば良いと思います。勉強法においては2点、①勉強しない日を作らない事②記述・択一(科目)をバランスよく学習する事だけを意識してください。

また学習教材も自分との相性がありますので、あれもこれも手を出すのではなく、自分が良いと思うテキストを1~2冊絞り、ひたすら繰り返し読むことをおススメします。(多浪すると、不安からどうしてもテキストを増やしがちになりますが、勇気をもってテキストは増やさないことが重要)

「受からないことが普通である試験」であるという認識を持っておく

「無理ゲー」と言っていいレベル

よく受験予備校のサイトを見ると平均学習時間○○時間と記載されて、資格紹介のページには、司法書士試験は努力さえ怠らなければ、いつか受かる資格ですという様な記載を強いている所がありましたが、その様な先入観を持って司法書士受験の世界には入らないでください。合格率3%という試験は、合格圏内にいる受験者でさえも一歩間違うと簡単に落とされてしまう恐ろしい試験です。(先述の通り、その年1度も合格判定出していないみなオジが受かっているという事は、その逆があるという事です)

普段、登記業務を行っている司法書士事務所の補助者ですら、バンバン落とされている試験です。いわんや初学者をやという事です。みなオジは以前、実務経験が試験学習と相乗効果をもたらすのではと考え、とある司法書士事務所で働いていた時期がありました。その時に事務所にいた年の近い同僚7人も毎年司法書士試験を受けていましたが、今現在私以外に司法書士登録している人はいないというのが「リアル」です

私の知る限り、うち2名は行政書士として活躍している事を確認していますが、残りの人はまだ同じ事務所で補助者をされているか、もしくは諦めて他業界に転職しているのです。同僚はどれも経験豊富な補助者で仕事のできる人達ばかりでした。事務所内ではみなオジは未経験者だった事もあり、激務について行けずすぐに辞めてしまいましたが、皮肉にも今は私だけが司法書士として登録しているという非常にシビアな世界です。

さいごに

これから、就職や実務などで色々な壁にぶち当たると思いますが、この難関試験を潜り抜けたという事が間違いなく自信に繋がるでしょう。ありきたりな言葉になりますが、司法書士試験の合格が皆さんのゴールではなく、これからがスタートラインなのです。今有している知識も来年、再来年と間違いなく陳腐化しますし、毎年高度な知識をアップデートしなければ生き残っていけないというのは、ある意味専門家だとしてもツライと思いますが、あの今思い出しても吐きそうになる司法書士試験の存在意義は、実務家になった後の苦労を苦労と感じないようにするための適正検査なのだと思っています。(あの試験を勝ちぬいたんだから、屁でもないですよね?)

司法書士業界のみならず、社会全体が変革の時期に差し掛かっていいます。AI技術に士業全体が飲み込まれると言われていますが、個人的には大きなビジネスチャンスだと考えています。

先輩司法書士として色々語りましたが、今振り返るとかなり後悔している点もあり、もう少しこうしておけば良かったなァ、と思う事があります。これから新人研修や認定考査など準備期間がありますが、まずは今のひと時をゆっくり休んで、徐々に臨戦態勢に戻してもらえればと思います。

みなオジブログには司法書士関連のネタもあります(最近枯渇気味)ので、色々参考にしていただければと思います。

関連過去ブログ:現役司法書士が特別研修や認定考査について解説しますは→コチラ

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みなオジアバター

港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。