司法書士

組織内司法書士という働き方

投稿日:2021年2月26日 更新日:

士業色々

組織内司法書士とは

皆さんは、「組織内司法書士」という名称は聞いたことがありますか?組織内司法書士とは、会社の一従業員(サラリーマン)として働きながら、司法書士の登録を行い司法書士を名乗る者です。司法書士は本来独立を前提とした資格なので、宅建士の様に会社に属しながら働くイメージはなく、実際、組織内司法書士は非常にマイナーな存在といえます。今回は司法書士としての働き方の一つ組織内司法書士について記載したいと思います。

司法書士としての働き方は?(再掲)

過去トピック司法書士の就職・収入事情でも記載した通り、司法書士としての働き方をいくつか紹介しましたが、どのような領域で活躍するかはもちろん、どの組織で働くかという選択肢も数多くあると思います。

一口に司法書士といっても、上記に挙げたように①即独して事務所を経営する「個人事業主」「司法書士法人社員」としての司法書士、②(①の派生系として)共同事務所を経営して、経費節約の為に事務所賃料を共通化させ、仕事を相互に融通しあったりする「共同事業主」としての司法書士、③司法書士事務所に就職して「勤務司法書士」、④一般企業の従業員として働く「組織内司法書士」(ただし、登録の有無はケースバイケース)の大きく4つに分けられます。

そもそも、サラリーマンは司法書士登録ができない問題がある?

ちなみに、司法書士は登録をしなければ司法書士業務を行う事が出来ないのですが、会社に属しながら司法書士の登録申請をすると、大抵は申請が弾かれてしまいます。つまり、会社に属している人(サラリーマン)が司法書士の登録をするという事は、その会社を辞めるという事を意味していたのです。

登録申請が棄却される理由として一番大きいのが「依頼人の依頼に応じる義務が果たせない恐れがあるから」です。ちなみに、ここでいう依頼人とは会社以外の第三者を指します。司法書士法の21条には「司法書士は、正当な事由がある場合でなければ依頼(簡裁訴訟代理等関係業務に関するものを除く。)を拒むことができない。」という≪依頼応諾義務 ≫規定があり、司法書士会やその上部組織である日本司法書士連合会は、管下の司法書士がこの義務に従わない事を非常に恐れ、危惧します。登記の申請代理権を司法書士の独占業務としている関係上、司法書士が理由なく依頼に応じない事は国民に対する重大な義務違反と考えていることから、組織内司法書士においては、会社の仕事が忙しいから依頼者の仕事を断るといった可能性が予見される為、事前に登録段階で排除してしまおうという考えの様です。(ちなみに、弁護士は制度上会社の従業員として働くこと認められています。このあたりの資格ごとの不整合については、あまり議論されていないような気がしますね。)

サラリーマンとして働くのであれば司法書士の資格は必須ではない?

確かに、司法書士の登録をしなくても、会社の登記申請は本人申請(つまり、会社代表者の使用人として)行う事が可能ですので、司法書士を社内で名乗ることによってその会社にもたらす直接的なメリットは少ないといえるでしょう。しかし、名刺に資格名を記載することで対外的な信用力を取引先に与える事も可能ですし、法律に関する交渉事でも相手方にプレッシャーを与え優位に交渉を進めることが可能だともいえます。何より自分が長年所属している組織ですから、社内事情(社風や意思決定の仕組み)は熟知している訳で、その様な立場で、法務(登記実務や裁判実務)、経営企画に専門知識を持って携わることができる人材というのは、貴重な存在といえるでしょう。

働き方改革(多様性)が組織内司法書士の追い風になる?

今こそはばたけ!

昨今、ダイバーシティの観点で、働き方の多様性という議論がされてきています。上述した通り、サラリーマンだから依頼応諾義務を満たせないという決めつけは、女性だから社会で活躍できないといっているのと、同レベルの議論だと考えます。また、司法書士自身も登記申請代理といった独占業務にしがみつく時代ではなく、新たな職域を広げるためにも企業というフィールドにいち早く適合しなければならないと個人的には考えています。(まあ、みなオジの様に会社を離れて後に言っても説得力がないかもしれませんが…)

司法書士試験の難易度からか、司法書士試験合格時に正社員で働いている人はほとんどいなかったイメージがあります。私が合格した当時も平均合格年齢が40歳に近づきつつありましたが、合格祝賀会で名刺交換した感覚値で会社員(司法書士事務所勤務を除く)は全体の10%位だったと思います。

みなオジは正社員として勤務しているときに運よく合格しましたが、まず、サラリーマンは新人研修の段階で今の会社を辞めるかどうかの判断に迫られます。なぜなら、新人研修やブロック研修などは1~2か月間のまとまった期間に研修を受ける必要がある為、会社の理解が無いとそれに参加する事が難しいからです。会社を辞めてまで司法書士として独立するかどうかの判断は、会社の反応を見てから決めても良いのではないかと思います。

資格取得に理解がない会社であれば、逆に司法書士としての踏ん切りがつく!?

みなオジが考える判断基準ですが、まずは合格直後に会社の上司もしくは人事部などに、司法書士試験に合格したことを伝えてみるのが、判断の際のリトマス試験紙(古い?)になるのではと考えます。その際に、会社側が鈍い反応もしくは無反応であれば踏ん切りがついたと思って辞めて、司法書士としての道を選んでも良いかもしれません。会社も十人十色ですので、保守的な会社もあれば、あなたの司法書士の資格(取得の努力)を評価して、社内で活かそうと考える人材活用に積極的な会社もあるでしょう。残念ながら前者の会社では、せっかくの資格も宝の持ち腐れとなる可能性が高いので、早めに路線変更したほうが良いかもしれません。

こんな会社なら、社内で司法書士スキルを伸ばすべき?

一方でみなオジ的には、以下の様なケースであれば会社に残るという選択でも良いと考えています。

①(非法務部署勤務者の場合)法務部署への配置転換、その他社内で希望部署への異動が受け入れられた
②資格取得によって、資格手当・昇進等、実質的に給与UPに繋がった
③社内に居ながら司法書士登録することを許可(もしくは協力)してもらった
④社内で副業(司法書士業含む)が認められている
⑤会社規模が大きい、福利厚生・給与面で恵まれている
みなオジが独断と偏見で考える組織内司法書士を選択してよいケース

①については、意見が分かれるところですが、会社に属していると(会社規模によっては)個人事業主としてで経験できる業務よりスケールの大きい業務に携わることができる可能性が高まります。確かに雇われているという窮屈さがありますが、総合商社クラスの事業部長、役員クラスにあれば、億単位の決裁を役員会を通さずに決定する権限を持ちます。また、ニュースで報道されるようなトレンドを作り出したり地域経済を動かすような事業を展開できるという影響力を及ぼすことも可能でしょう。それよりも、精神的独立を重視するのであれば、司法書士という仕事も十分人の役に立ち、かつ重要な仕事といえます。

②以降は金銭面に関係する事ですが、これも報酬とやりがい、安定性と挑戦といった双方を天秤にかけどちらが自分にとって価値があるかを判断して決めれば、自身のQOW(Quality Of Work:仕事の質)の向上、精神の安寧、充実感を満たすことができるでしょう。ただし、司法書士の就職・収入事情でも記載した通り、司法書士事務所の勤務時代の給与水準は想像以上に厳しいものがあります。その先に、独立という希望が見えたとしても、現状所属する会社が、名の知れた一流企業でかつ上記の①~⑤に恵まれているのでしたら、会社に残りながら、司法書士の経験も積むという「良いトコ取り」というのも、悪い選択では無い様な気がします。また、会社でしか構築できない社内外のネットワークも手に入れることができ、人生100年時代の退職後のキャリアとして司法書士のルートに進む際にも、サラリーマンとしての経験は生きてくると考えます。

悩んでいる人へ

努力が報われて司法書士になったにもかかわらず、会社に残るか否かで悩むのは非常にもったいないと思います。みなオジなりにもアドバイスをしましたが、司法書士の関連組織には「組織内司法書士協会」が存在しています。この組織内司法書協会は、サラリーマンを続けながら司法書士資格を有する者が会員となって、認知向上や彼ら自身どのようにキャリアパスを積んでいくべきかを議論する組織です。組織内司法書士協会のホームページには、会員以外も見ることができるアンケートがあります。組織内司法書士の年収や、どの部署で働いているのか、登録に関する悩み、自身のキャリアパスの展望等非常に参考になるコンテンツが詰まっていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

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みなオジアバター

港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。