ブログを書くようになって、誘客系のアフィリエイトサイトを拝見することがあるのですが、何かに誘導したいがあまり、結構無茶苦茶なエピソード(体験談)を載せていて、ついつい突っ込みたくなるようなサイトがゴロゴロしていることに気づきました。私の様な雑記ブログですとある意味忖度せずに自由に掛けるのですが、スタッフが上司から指示されて、どんな目を引くような記事を引っ張れるか考えた末、度を越えたエピソードを記載(妄想?)している様子が目に浮かびます。書いているうちに、悪ノリして度を越えたやりすぎエピソードを書いてしまっているブロガーもいるのかなと思ってしまうほど、パンチの効いた(しかし、分かりやすい)話が出てきます。
今回は、住宅ローンの返済に苦しむ方向けの債務整理や任意売却を行う会社のサイトに利用者の体験談として載っていた「Sさん」のエピソードに突っ込みまくってみましょう。
ちなみに、このエピソードが嘘だとか、このエピソードを紹介した会社が怪しいと言っているわけではなく、こんな人がいたらある意味伝説だなというのと、このレベルの人は通常の社会人(少なくとも家を購入できる属性)と比べると、だいぶ「ぶっ飛んだ人」だと思うので、これが「住宅ローンあるある」であると信じて、不動産の購入を躊躇すると勿体ないなぁ、という思いで記載していきます。
目次
任意売却とは?
任意売却(任売)とは、住宅ローン等の借入金が返済できなくなった場合、売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却する方法です。
債務者たる購入者が住宅ローンを滞納した場合、ローンを分割返済する権利が失われてしまい(期限の利益の喪失)、債権者たる金融機関は残債の一括返済を要求します。金融機関は債務者が一括返済できない場合、抵当権の担保(住居)を強制的に売却し、その売却代金から債権回収を行います。
上記の様に、担保不動産を強制的に売却するのが競売です。競売手続には国(執行機関:裁判所)が関与し、執行機関は物件の購入者(一番高い値段を札入れした買受人)に所有権を移転させる決定をします。競売には債務者にとって様々なデメリットがあります。
競売との違い
競売の場合 | 比較 項目 | 任意売却の場合 |
---|---|---|
市場価格の7割前後の場合が多い | 売却 価格 | 市場価格に近い価格で売却できる場合が多い |
新聞やネット上に公開されるため近所や職場に知られる可能性が高い | プライバシー | 通常の不動産売却と同じ方法を取るため、事情を知られずに売却可能 |
引越費用など | 持出し金 | 一切なし |
任意売却よりも多く残る可能性が高い | 残債 | 競売よりも高く売却できるため、競売よりも残債は少なくなる可能性が高い |
一括での返済を求められる | 残債の 返済 | 無理ない範囲で分割返済が可能 |
不法占拠者として追い出される可能性も… | 住居の確保 | 親族間売買や投資家に購入してもらい、リースバックしてもらう方法がある |
裁判所から明渡命令が出せるため、立退料が支払われるケースはほとんどない | 引越 費用 | 債権者との交渉次第で、最高30万円の引越費用を受領できる |
所有権移転後は不法占拠になり、引越し日は自由に選べない | 引越日 | 購入者、債権者との協議を行い、引越日を設定できる |
競売は所有者の意志は全く関係ない | 柔軟性 | 債権者との協議は必要ですが、通常の不動産取引と同様に、ご自身の意志で売却活動が可能 |
売却代金が債権額に満たない場合は、その分の借金が残ります。基本的に売却益が見込める物件なら、任売ではなく通常の売買で処分できるので、任売業者を使うというのは前提として売却代金が残債に満たない場合だという事です。なので、任意売却は一般人では手に負えず、弁護士や任売専門の不動産仲介会社の出番という事になるのです。彼らは、主に債権者である銀行との(抵当権抹消に関する)調整を行い、買主と退去時期の交渉を行います。
悪徳業者に注意?
確かに任意売却は、こじれたローン問題の最後の一手なのですが、業者の中には、安易に任意売却まで進ませないというモラルを持っている所は少ないかもしれません。(なぜなら、任意売却に進まなければ、彼らの飯のタネが無くなる訳ですから点)。また、不幸にも任意売却まで進んだとしても抑えておくべきポイントは、その後の生活をどう確保・再建するのかという事なのですが、バカの一つ覚えの様にひたすら「任意売却」(高く売ります)を勧めるのは業者の独りよがり、ひいては売上至上主義の表れと言っていいでしょう。
上記の比較表を見ると、任売の持出し金は「一切なし」とありますが、実質的には業者は仲介手数料(3%+6万円)を確保しています。本来売主のお金である売買代金から仲手分はしっかり控除されているので、持出し金については額面通りではない事に気を付けましょう(上記の表も意図してか、少し誤解を招く記載方法ですね)。むしろ、息のかかった買主を用意して、買い叩こうとする悪徳業者もいると聞いていますので、依頼者の方も業者に任せきりにせず、売却価格を適正に判断して業者に支払う仲介手数料以上のメリットが依頼者にあるかを見極める必要があるでしょう。
また根拠も無く「引越し費用を○○万円を手元に残せる」などと切羽詰まった債務者をそそのかし、媒介契約を迫るような違法な業者も論外です(消費者庁や裁判所からも注意喚起がされる様な、生き馬の目を抜く厳しい手合いが蔓延る世界なのです)。
中には、そもそも売却せずに他の法的な方法で住宅ローン問題を解決できるケースもありますので、「売りましょう」一辺倒の担当者には注意が必要です。
では、お待ちかねのツッコミタイムです。(ダラダラ長いので一部カットしてます)
【体験談】病気や度転職で収入が減少し、家が競売にかけられたSさん
自宅購入後、ご自身の体調不良や職場環境を理由に3度も転職を繰り返したSさん。会社の残業代・ボーナスカットや失業期間中の収入減少もあり、家計のやりくりが難しくなってしまったそうです。結局、住宅ローンの滞納が続き、最終的には自宅が競売にかけられ、家を失うことになりました。
→転職回数はみなオジの勝ち。(自虐)
みなオジの転職エピソードは、こちら。
家を購入した時の経緯
Sさん:妻と子の3人で暮らし、妻が2人目の子を妊娠して家が手狭になることから引越しを決意。30代中盤だったので、どうせ引っ越すならマンションをということに。
ご収入状況や、購入したマンションの価格
Sさん:正社員勤務、残業代も含め年収400万円。 3200万円のマンション購入。諸費用だけ自己資金。マンション自体はフルローンで購入。 管理費などを併せると、だいたい月11万円の支払。 |
→Sさんが住んでいる地域はどこなのかな?というのが最初の疑問です。残業代込みで400万円?てことは地方在住かな?都内なら堅実だなという印象です。あと広さはどのくらい広くしたんだろうか?
→3,200万円のファミリー向けマンションか~。広さによるけど、都内なら堅実だなという印象です。ちなみに手狭だって言ってたけど、広さはどのくらい広くしたんだろう?
転職に失敗、仕事も家庭もうまくいかなくなりうつ病に
インタビュアー:今思えば無理な買い物だったのでしょうか?支払いが苦しくなってしまった理由は?
Sさん:最初は問題なく支払えていました。しかし、家を購入してから3年後にリーマンショックがあり、会社の業績が悪化して残業もボーナスもカットされてしまいました。あれがすべてのきっかけで、その後はもうどんどん転がり落ちていきましたね。
→「残業代込み」で年収400万円って言ってなかったっけ?残業代に加えボーナスまで削る余地があったんか(いったい、基本給いくら?)
それでもしばらくは家計を切り詰めて何とかやっていました。でも家庭はギスギスしていましたし、会社の業績も回復せず不安でいっぱいでした。それで一念発起して当時の会社を退職し、「実力主義、成果報酬」を謳う会社の営業職に転職することにしたんですが、それが失敗でした。入社する前の説明では、「頑張って成果を出せば、入社1年後には年収700万円、入社3年で1000万円を超えた人もいる」なんて説明を受けましたが、そんなに甘い世界ではなかったです。基本給はあまり高くなかったので、むしろ前の会社の時よりも収入が落ちてしまいました。営業の仕事もつらくて、毎日ただひたすら断られる毎日で、もう精神的にも参ってしまいました。病院にいったらうつ病と診断され、休職するよう言われました。それで結局、その会社もすぐに退職しました。
→でしょうね…これがフルコミッション型の恐ろしいところです。仕事に博打を選んじゃダメでしょう!
→ところで、家計を切り詰めたくらいで家庭内ってギスギスしますか?(しかも、年収1,000万円あった家庭が、400万円に下がったならまだしも、ずっと400万円だったなら、結婚当時から切り詰めて生活する必要があったのでは??
貯金が底をつきローンを滞納が払えず、銀行からの電話に体が震えた
インタビュアー:それで住宅ローンの返済が行き詰ってしまったのですね?
Sさん:はい、その会社を辞めるときは精神的に仕事ができない状態だったので、次の仕事が決まる前に仕事を辞めてしまいました。失業保険はもらっていましたが、それだけでは生活できません。次の仕事を探しましたが、前職を1年で退職していることもあり、なかなか仕事が見つかりませんでした。その間にも家計が圧迫して貯金はもうほぼ底をついていました。次にやっと見つけた仕事も部署の上司と合わず、パワハラを受けて続けられませんでした。
その時はもう家計が回らず、お金が足りないときはキャッシングに頼るしかなく、金銭的にも精神的にもどんどん追い込まれていきました。それで最終的には住宅ローンの返済も行き詰ってしまいました。
→転職のプロのみなオジも、さすがに次の仕事決まる前に会社辞めたことは無かったなぁ。(会社都合で辞めさせられたことはあったけど…)
→順番がおかしいって!なぜ、低金利の住宅ローンを借りているのに、高利のキャッシング(消費者金融)に走る?!住宅ローンの窓口への相談が先だって!(この人、基本的に順番が全部おかしい)
インタビュアー:住宅ローンを滞納してからどのようなことが起きたか教えてください。
Sさん:住宅ローンを期日に引き落とせないと、引き落とし日の当日すぐに銀行から電話が来ました。最初は「引落ができなかったのですが、どうされましたか?」くらいの優しい感じでした。でも2ヶ月、3ヶ月と溜まっていくうちに、「いつまでに払えますか??」「このままだと法的な処置になってしまいますよ」とどんどん態度が厳しくなっていきました。
→銀行からの連絡は、ある意味優しさです。なぜその時、返済猶予の相談しなかった?そして滞納を溜めるな!
滞納している自分が悪いのですが、精神的に弱っていたこともあって、電話に出るのも嫌になってしばらく無視していました。もう電話が鳴るのが怖かったですね。電話が鳴って銀行の番号が表示されただけで体が震えるんです。
→いやいや!電話は出ようよ!精神的に参っているのはご主人でしょ?奥さんに電話取ってもらえばいいじゃん!子供か?あまりの驚愕っぷりに、こっちの身体が震えるわ!
債権回収会社から督促状が次々届き、ついに家が競売に
インタビュアー:その後の流れを教えてください。
滞納が溜まってくると、銀行から催告書が送られてくるようになりました。最初はハガキでしたが、だんだん封書になり、最後は内容証明郵便というが届きました。最後の方はもう嫌になって開けてすらいませんでしたが。
滞納が4か月くらい溜まったころですかね、銀行ではなく債権回収会社から連絡が来ました。債権回収会社がどんなものかよくわかりませんでしたが、これは本当にもう大変なことになってしまったと痛感しました。
→電話に続き、銀行からの通知書面も目を通さないって、さすがに嘘でしょ?
→あと、4か月も時間に猶予があって債権回収会社何それ?ってどいう言う事?その期間仕事をしていなかったのなら、調べたり動いたりする時間はいくらでもあったでしょ?
それでもどうしも支払いができず、しばらくしてから「期限の利益喪失を喪失したので、残っている住宅ローンを一括して払って…」(以下略)…しばらくして裁判所から「競売開始決定通知」と書面が届きました。「ああ、もうこれで終わるんだな」と絶望的な気持ちになったのを今でも覚えています。
→Sさん、あなた、結構前に終わってますが、何か?
家が競売にかかり、「もう自分の家じゃなくなった」と痛感
インタビュアー:競売開始決定からは何が起こりました?
Sさん:1ヶ月くらいして裁判所の「執行官」という方が不動産鑑定士を連れて自宅に来ました。
家の中を色々見られて、いくつか質問をされて帰っていきました。特に手荒なことはされませんでしたが、知らない人が押しかけて家を物色していくので、子供たちはとても怖がっていましたね。そのころから不動産屋からのダイレクトメールがたくさん届くようになりました。後で知ったことですが、裁判所で競売の情報が公開されていてそれをみた不動産屋が送りつけてきていたみたいです。
→「子供たちはとても怖がっていましたね。」なぜ、他人事の様に語るのか…
Sさん:ダイレクトメールだけでなく、直接訪問してきてインターホンを押す輩もいました。その中には明らかに筋の悪そうな人もいて、その時はもうインターホンが鳴るのが怖かったですね。
→親切に「悪徳不動産屋」のことまで教えてくれてありがとう(聞いてないけど)
インタビュアー:最終的に競売で家はどうなりましたか?無事に引越しはできたのですか?
Sさん:もう諦めて引越しをすることにしていたのですが、引越しにもお金がかかるためなかなか進みませんでした。
そうしている間に競売で家が落札されてしまい、退去するよう裁判所から命令が来ました。落札した不動産会社も訪問してきて「当社が落札したので早く退去をお願いします」と言われました。それで「あぁ、この家はもう自分のものじゃないんだな」と痛感しましたね。
→「あぁ、この家はもう自分のものじゃないんだな」すごくピントずれたコメントですけど。逆にどうしてこの状況で自分の家だと思えるのか??
Sさん:はい、なんとか親に引越しのお金を援助してもらって近くの賃貸アパートに引っ越しました。でも家探しにも苦労しましたね。すでにその時は信用情報に傷が入っていたみたいで、希望の物件が見つかっても賃貸の保証会社に落ちてしまい、申し込みができなかった物件がいくつかありました。本当はそうなる前にもっと早めに動き出せばよかったのですが…
→「立退き料の交渉」と「退去後の家探し」は任売業者が自信を持ってアピールするサービスですから。Sさんもきっちりアピールできました(エライ!)
自己破産してやり直そうと妻と話し合った
インタビュアー:その後の生活どうなりましたか?
Sさん:競売で家を失いましたが、住宅ローンの残債が400万円以上残ってしました。他にも借金があって、これらの返済に加えて家の家賃もかかります。弁護士さんに相談し、状況を説明したら弁護士さんも自己破産してしまった方が良いということで、手続きをお願いしました。
インタビュアー:自己破産されてどうでしたか?
Sさん:自己破産はもっと恐ろしいものだと思っていましたが、粛々と手続きが進んでいきました。正直言って拍子抜けしたくらいです。
→「破産手続き」を拍子抜けと語る、その鈍感力(なんか、大物っぽい)。
Sさん:弁護士さんにお願いした時点で、借入先からの請求が来なくなり、支払いも止まったので、生活はだいぶ楽になりました。その後、無事に自己破産が認められて借金が免責になりました。
これまで家に縛られていたので、「何としても払わなければ」と返済のことで頭がいっぱいだったのですが、家を失って、自己破産して、返済に追われないに戻り気持ちが少し楽になりました。
→返済で頭がいっぱいだった割には、結局、何の手も打たなかったな~(嫌になって、郵送の封も開けてないって言ってなかった??)
→でも家賃は払ってくださいね。(買っても、借りてもお金は掛かる)
本当に辛かった、でも今は小さな幸せを感じられる
インタビュアー:住宅ローン破産の経験を今振り返ってみてどう感じますか?
→いやいや、破産と住宅ローン関係ないから~。この人、家を買わなくても、いずれ同じ運命だったかと。
Sさん:一言で言うと「もう本当につらかった」とのが率直な気持ちです。
仕事もつらかったですし、家庭もギスギスしていましたし、返済のプレッシャーも大きかったです。何より家を失うという恐怖が常に頭から離れませんでした。
→住宅ローンだけではなく、この人は仕事、家族関係といった全てがつらかった。つまり、住宅ローンは根本的な問題ではないという事。Sさんがこの社会自体に適合していないという事。
インタビュアー:競売、自己破産を経て今の生活と心境を教えてください。
一番つらかったのは自宅が競売にかけられていた時ですね。今は、変な話なのですが、逆にすっきりしています。借金がなくなって返済に追われることがなくなり、以前よりも平穏に生活ができています。
→大丈夫、あなたはずっと変なこと言ってる!(特に驚きはない)
家を失って自己破産することは、今まで積み上げてきたものをすべて失うという気持ちでしたが、今の方が、家族との会話や御飯がおいしいとか、小さな幸せを感じられます。
→言うほど積みあがっていないという現実。さも自分がエリートの様に言っている鋼のメンタルが羨ましい。えーっと…転職でメンタルやられてたんだった!
無理をしないこと、先が見えれば気持ちが楽なる
インタビュアー:今、同じように住宅ローン破産で苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。何かアドバイスがあればお願いします。
Sさん:偉そうなことを言える立場ではありませんが…でも無理をしないことだと思います。 私も家を守るために無理をして、でも結局無理をしても苦しい時間が長くなるだけでした。
→大丈夫、無理もしてないし、家を守るために頑張ってもいない!(とりあえず、通知の郵便物は開けよう)
私は家が競売にかけられるまで結局行動を起こせませんでしたが、もっと早く弁護士さんや○○((サイトオーナーの社名)さんに相談すればよかったと思っています。そうしたらもっと早く楽になれたかもしれません。相談して先が見えるだけでも気持ち的にだいぶ楽になりますし。
→競売にかけられてから起こした行動を、30字以内で説明して欲しい。
→破産して、全てが終わった後に、なぜか任売業者を知るという間の悪さ。
ツッコミ終わって
いやぁ、ツッコミって、結構疲れるんですね。最後の方はもう嫌になって突っ込みませんでしたが。
皆さんはどうでしたか?結局Sさんは実在していたのか?その辺は最後はもうどうでもよくなりましたが、この人は結局住宅ローンを組んだから不幸になった訳ではない事が分かりますよね。
おそらくSさんは、住宅に限らず、携帯電話ですら割賦払いすべきではないという事ですね。基本的に、今住宅ローンを抱えている人は、Sさんと逆の行動をとれば、正しい道に進めるという事がわかっただけでも、このインタビュー記事は価値があったと言わざるを得ませんね。