不動産

マンション座談会に参加してみた②

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前回の続き

以前参加したマンションに関する座談会で、リモートワークと間取りの関係性にスポットが当たった事から、あらためて、リモートワークに適した間取りって何だろな?と、疑問に思ったことから沸き上がったテーマを書かせていただき、みなオジが売れっ子設計士になったとして、リモートワークに適応した革新的な間取りを作り、自分で酷評するという企画を行いました。

前回のトピックはこちら→マンション座談会に参加してみた①

 結果として、広さが無ければ何にもできない、むしろそのままにしておいた方が余計なコストがかからなくて良いという、元も子もない結論を導いてしまいました。煽った割に、結論は無いんか!という突っ込みがありそうだったので、間取り以外でのリモートワークと相性が良い条件やマンションならではの共用施設を取り上げていきたいと思います。

広さこそ正義

広い部屋があれば何でもできる(キャッチボールでも)

前回も触れた様にリモートワーク対策となる手っ取り早い手段は、ゆとりある広さの家を購入(又は賃貸)する事です。「色の白いは七難隠す」みたいでアレですが、間取りに難があっても、部屋が広ければ何とかなるというのがみなオジの持論です。もちろん不動産の場合は、広さを求めれば当然価格も高騰する訳で、それ故に人は綺麗な形(効率の良い)の間取りを求めるのですが。

前回挙げた様な押し付けがましい間取りでも、賃貸物件であれば自分にフィットしなければ、新しい部屋に移れば良いだけなので傷口は浅く済みますが、「Withコロナ」という今時の売り文句に飛びついて、クセの強い物件を購入してしまった場合は悲惨です。

個性的な間取りは、コロナ感染の脅威が去ってリモートワークが過去の遺産となった場合や、もしくは感染の脅威が続いた場合でも、自身の転勤・現業職への異動はたまた転職等でリモートワークできなくなった場合は無用の長物となります。その時に、この住居を売ろうにも中古市場では中々買い手が付かないかもしれません。

マンションで奇抜な間取りはNG

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マンションの専有部の配置はパズルみたいなものだと思う。

マンションの長所は(大量生産された部屋という意味での)画一性・普遍性です、つまり戸建てと違って間取りに特徴が無いのがマンションの特徴と言えます。だからこそ、中古市場においてマンションの方が戸建てより流動性が高い(万人受けするので売りやすい)のです。作り手が凝りに凝った間取りを提案しても、金を掛けた割に使いにくい部屋という徒労感の滲んだマンションになるでしょう。

一般的なマンションは一棟に最も効率的になる様に住戸を配置した、無駄のない設計により販売戸数を増やすことで利益を確保する事業モデルですので、専有面積を食う様な企画はそもそも不向き(販売価格に跳ね返るだけ)とも言えます。そう考えると、リモートワークという新しいトレンドが登場したとしても、間取りで解決しようというのはあまり合理的とはいえず、しかも可変性に乏しく時代についていけない結果となるかもしれません。

広い部屋のニーズは間違いなく上がる

昨今の住宅価格が高い状況で、十分な広さのある物件を購入することは難しいかも知れませんが、将来のニーズを見越せば安上がりになると予測します。近年、都心物件は価格上昇が激しいため、売主側も広さをを抑えてだましだまし価格を調整してきた過去があります。

以前は一般的な3LDKは?というと70㎡という基準がありましたが、ここ数年は60㎡の狭小3LDKが珍しくないです。建築資材の高騰で坪単価は10%上がっても、広さを10%削ることで価格を据え置くことをしてきたので、一部の高級マンションを除き、都内の築浅のマンションの多くは一時期よりも狭くなっていると言えます。

つまり、既存のマンションでリモートワークに適したゆとりのある広さの物件は少ないと言え、中古市場で広めの部屋が高値で取引されるきっかけになるのではないかと思います。

広さ以外でリモートワークに必須な条件

景観や採光、方角

リモートワークの推進で、これまでの住宅に求められてきた条件の優先順位は変わりつつあります。例えば、みなオジは自宅を購入する際、これまで景観や採光はそれ程意識していませんでした。なぜなら、子供も含め、日中は家にいる事がほとんどないので日当たりなどは全く気にしていませんでした。(むしろ、日当たりが劣ることで、物件価格にそれが価格差として反映されるなら、喜んでその恩恵を選択していました。)

住居の方角に関する考え方も変わるかもしれません。一般に日本では南向き住戸が人気ですが、実際に住んだ経験から言うと、南向きの家は、夏場に日中の室内の温度がガンガン上がり、一日中エアコンをかけなければならず光熱費が多く掛かってしまいます。一日自宅にいるリモートワーク環境では、これは明らかにデメリットです

防音性能

うっせーわ!

防音性能や近隣の住環境なども今後評価が見直されそうなポイントです。例えば、利便性の高い駅近物件であっても、隣接する建物が雑居ビルだと、人の出入りが多くなり落ち着きません。隣が公園などの場合はこれまでは無条件にその物件の価値を高める存在でしたが、親子連れが日中騒いでいることも受け容れなければならず、これまでであれば外出している時間帯の出来事なので気にならなかったでしょうが、リモートワークを行っているとそれらの騒音に仕事中に集中できなくなるかもしれません。

もちろん、騒音については分譲マンションであれば遮音性能が賃貸仕様に比べて格段に違うのでそれ程気にする内容ではないでしょう。みなオジもここ10年ほどは分譲マンション暮らしなので外からの騒音はほぼカットされてストレスを感じたことはありませんが、学生時代や司法書士受験生時代に暮らしていた賃貸アパート時代は騒音との闘いで、よく自習室に逃げ込んでいました。外がうるさいからと言って、室内でオーディオをかけると、今度は隣人や上下階から壁ドン/床ドンの洗礼がありそうですし…

広めのマンションの価値が上がる?

その為、このタイミングで広めの住居を購入すれば、それだけで他の物件と差別化が図れるのです。現在都心部で販売しているマンションで、広さや静寂、日照、眺望を十分に確保している物件は無いか見てみると、晴海フラッグ」(東京都中央区)がそれらに該当しています。私は売主の回し者ではないですが、価格と広さなどのスペックを総合的に判断すると晴海フラッグは非常に評価できる物件だと考えます。

もちろん、オリンピックのレガシーとして当初あった話題性と煌びやかなイメージは、このコロナ禍でややネガティブなものに変わったと言わざるを得ませんが、それでもこの価格でゆとりある広さを購入できる物件は、やはりココしかないのではないかと思います。その他の選択肢として、郊外に離れれば購入価格を抑えることができるでしょうが、やはり人口減少による不動産価格減少は郊外物件では避けられないですし、安全面で見ても週に1~2回の出社日は片道2時間弱の通勤を強いられることを考えれば、あえて郊外物件を購入しようとは思えないのです。(ちなみに賃貸であれば、郊外物件というのもアリ。)

Withコロナ時代、マンションで欲しい機能とあると嬉しい共用部分

広いエントランス&ラウンジ

ブリリアタワー上野池之端の共用施設|東京建物マンションライブラリー
参考:Brillia Tower 上野池之端

マンションとして備えて欲しい共用部としては、広いエントランスとちょっとした来客対応に使えるラウンジです。コロナ禍で衛生上、訪問客を家の中に入れにくくなりました。またリモートワークをしているので機密情報や書類が室内にある事から自宅もオフィスに準じると考えると、コンプライアンス的にも第三者を通すべきではないでしょう。一般的なマンションは事業用に使用することは禁じられていますが、自宅でのリモートワーク(あと、副業も)が一般的になったことによって、何処までがビジネスユースであるかという明確な線引きが出来なくなった気がします。

その為、まずマンション規約で、ラウンジ等で仕事上の訪問者の受け入れや対応を認めるという建付けとした上で、来客対応可能な簡易な打合せスペースが確保されているとがぜんリモートワークも幅が広がります。最近、我がマンションでもラウンジやエントランスを利用してビジネスの打合せをしている人がいます。ガッツリとしたプレゼンや機密情報が出る重要会議じゃなければ、みなオジも活用したいです。

ワークスペース

パークタワー勝どき_コワーキングスペース_スタディラウンジ
参考:パークタワー勝どきのコワーキングスペース

また、1LDK程度の狭い部屋で夫婦2人だったり、もう少し広くても子供がいる家庭だと、マンション内にワークスペースがあると、ありがたいと感じるのではないでしょうか。もちろん、座席の間隔や、セキュリティの問題が生じない仕様(パーテーションの仕切りや独立したブース等)にして欲しいですね。もちろん立派なものにすると予算に跳ね返ってくるので難しいかもしれませんが、既存のスタディルームを備えているマンションであれば、これを少し改修する事で転用できるのではないかと思います。これらの施設には、高速のWi-Fi回線やコピー機、スキャナー等のOA機器が揃っていると嬉しいですね(←贅沢)。都心のマンションならば、近くのシェアオフィスと提携するなどして割引料金で利用できたりといったサービスもいいかもしれません。

敷地内売店、クリニック、トレーニングジム

また、家にいる時間が増えるという事を逆手にとって、敷地内にミニスーパー(コンビニ)やクリニックモールを誘致して、マンションから一歩も出ずに生活を完結できるようにしたり、トレーニングジム施設付きのマンション等が注目を集めるかもしれません。みなオジは以前レンタスサイクルを無料で利用できるマンションに住んでいましたが、おかげでちょっとした外出ならば自転車を使う事から、近頃問題となっているロコモティブシンドローム(運動障害)等の予防にも繋がるでしょう。また、公共交通機関の利用も抑えることができるので、今であれば感染予防にも役立つでしょう。ネックは、ある程度の規模間のあるマンションでなければ実現できないというところですが…

繰り返しになりますが、マンションという大量生産される住宅に画一的なコンセプトを盛り込むのは売り方によっては上手くいかないのでは?と思います。面白いコンセプトであっても、仕様変更を伴うオプションとすると割高になりますし、全ての住戸でそのコンセプトを標準搭載とすると、購入者層が偏ってしまい販売が苦戦するからです。Withコロナに向けたマンション企画の取組みは基本的に「可変性」と「選択」がキーワードになると思います。

多様性のある暮らし

「極小ワークスペース」を始めとする間取りの提案というのはやはりプランの王道とは成り得ず、(オプションで販売する等の工夫が伴わない限り)売主側によるコンセプトの押売りだと考えます。突飛な間取りを考案するくらいなら、スライディングウォール(可動間仕切り)を使って可変性を持たせる方がより多くの状況に対応できそうです。スライディングウォールを活用した間取り変更は以前から取り入れられている手法ですが、その時その時の居住者の判断で間取りを選択する事ができます。

乗り換え可能なプラン

↑みなオジ渾身の間取り

仮に百歩譲って、みなオジが設計士になり切って作った渾身の(?)間取りが購入時の買主のニーズに合ったとしても、その特殊な間取りが将来にわたって、買主とその家族にベストな形であるとの保証はありません。そうであるならばいっその事、「引渡し後10年以内なら10万円で間仕切り壁の追加、撤去ができる」というオプションを付して、オプション行使の選択権を買主側に留保させるのです。こうすることで、10年以内に会社を定年退職していればリビング側の壁を取っ払って広いリビングで退職後の生活を満喫すれば良いですし、買い替えで家を売ろうとする際には主寝室側の壁を取っ払い、通常サイズに戻して売りやすくする等、所有者が自分の判断でその時その時にあった対応を行う事が出来ます。これこそが、売主のモノづくりへの誠実さと責任感が伝わる最良の手段と考えます。

Withコロナは「間取り」ではなく、「ソフト面」でカバーしたい

間取りによってリモートワークがストレスなくはかどる事は無い、と身も蓋もない事を言いましたが、アイディアや設備といった「ソフト面」に工夫をすることで、よりリーズナブルにリモートワークに適した空間が実現できそうです。

我が家ではそれ程気になりませんでしたが、知り合いの話ですと、モニターやプリンタ―やスキャナ等の周辺機器のが増えた事によりコンセントが足りなくなったそうです。モニターを購入する費用は経費として負担してくれる会社が多いと思いますが、さすがに、自宅のコンセントの増設費用までは対象外でしょう。せいぜい、コンセントのアダプター購入費くらい?(タコ足配線注意!)。 

また、居室の壁紙は抗菌素材のものを標準仕様にしたり、手すりやエレベータの操作盤等を抗菌仕様にするといった配慮も目立たないながらも、非常に購入者から評価されるポイントだと思います。

また、居室の壁紙は抗菌素材のものを標準仕様にしたり、手すりやエレベータの操作盤等を抗菌仕様にするといった配慮も目立たないながらも、非常に購入者から評価されるポイントだと思います。

まとめ

一消費者として色々とアイディアを出してみましたが、皆さんはコロナと共存する住環境はどうあるべきと考えますか?今の消費者は自ら情報を掴む力があるので、奇をてらった間取りなどを前面に打ち出さなくても、目立たなくても堅実なコロナ対応を評価すると思います。(売主の立場に立てば、それでは訴求力として弱い(他社と差別化できない)というのは理解しますが、コストを掛けずに確実に効果を出せる取組の方が良いと思うんですけどね…)

ちなみに、みなオジは上京してからひどい花粉症に悩まされていますが、室内に光触媒を利用した観葉植物を置くことで、症状が緩和しました。最近では、コロナウイルスも不活化するという実験結果が出ている事から、エントランス等の館内の観葉植物も光触媒のものを採用するというのも一案でかもしれません。

光触媒、コロナ不活化

奈良県立医科大学(微生物感染症学講座 中野竜一准教授)、東京工業大学(物質理工学院材料系 宮内雅浩教授)、神奈川県立産業技術総合研究所(研究開発部 抗菌・抗ウイルス研究グループ)の研究グループ は世界で初めて可視光応答形 光触媒材料(CuxO/TiO2)による新型コロナウイルスの不活化を確認しました。その不活化条件を実験的に明示することにより、光触媒による抗ウイルス効果を学問的に示しました。

引用元:古川総合病院HP

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みなオジアバター

港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。