テレビ番組「月曜から夜更かし」で人気キャラクターとして不定期に出演している元棋士で、投資家である桐谷広人さん。どこかの記事で、桐谷さんは株主優待と配当で年1000万円以上を得ていると聞きましたので、利回りが4%として株式保有額は2億円以上、総資産額は3億円近く有しているのではないでしょうか。同じ投資家として、尊敬します。特にみなオジは株式の素質はそれ程ないなと思っている事もあって、棋士時代からの分析力と勉強量で株式投資で一財をなした桐谷さんは本当に凄いと思います。
傍から見れば投資家として成功者であり、TVや講演にも引っ張りだこの桐谷さんですが、自分がこうなりたいかと言えば………、と少し考えてしまうのも事実なのです。何て言うか、凄いんだけど、もったいない生き方をしているなぁ…と感じる点があったので、今回は「老後不幸」について考え、(余計なお世話ですが)桐谷さんをハッピーにする方法について書いてみる事にしました。
これは別に、桐谷さん個人にモノ申すという目的ではなく、「お金はあるけど、なぜか幸せそうに見えない高齢者」というのが日本の中には結構いる事から、そうならない為の方策について考察しようというのが趣旨です。あくまでも桐谷さんは、その分かりやすいイメージという事でご了承を。(ご本人は、多分幸せだと思う。)
目次
桐谷さんとは何者?
名前:桐谷広人(きりたに ひろと) 生年月日:1949年10月15日(2021年時点で72歳) 出身地:広島県 学歴:駒澤大学中退 プロ入り年月日:1975年7月14日(25歳) 棋士番号:日本棋士連盟120(最高段位 7段) 得意戦法:居飛車、入玉(王自ら敵陣に切り込む戦法) |
みなオジの知っている桐谷さんは、主に「月曜から夜更かし」でお見かけするお茶目な桐谷さんなので、もしかするとTVで見せるそれはあくまでも演出で、全く別の姿が別にあるのかも知れませんので、みなオジが記載するのはあくまでも演出(?)上の桐谷さんについてだと理解ください。
株(お金)に囚われている?
富を生むはずの株ですが、実は桐谷さんはその株に囚われた様な生き方を強いられているのではと思うのです。投資家というのは生涯現役で活躍できる職業なので、基本的に死ぬまで株式投資できます。しかし、桐谷さん生活を見ていると特段贅沢をしている訳ではなく、むしろ日中は株取引に興じている為、趣味に興じる様な出費もない様に思えます。
そう考えると、既に総資産数億円以上保有している桐谷さんは「何のために株式投資を行っているのかな」と思ってしまいます。自身の生き甲斐(ボケ防止?)や、投資の講演依頼に応じるのに現役で投資を行っているのは必要だとは思いますが、バランス感を持つ等もう少し自分自身の生活環境に気を配って欲しいなと感じます。
TV出演で桐谷さんの自宅が映されることがありますが、部屋の中ははっきり言って「ゴミ屋敷」です。株主優待で届いた商品にも関わらず何年も段ボールから出されていないもの多くあります(封も切っていないので、中で腐っている食料品もあるかも知れません)。
立派な部屋に住むことイコール素晴らしい人生であるとは思いませんが、ゴミ屋敷は衛生環境的にも良くないですし、どこに何を置いたか分からなくなり、探し物が増える結果時間が無駄になります。すべての人は天国にお金を持って行くことはできません。こういっては何ですが、残りの人生を考えれば、これまで得た富を自分に使う段階が何時かを考える必要があるのではないでしょうか。
ふと「後見あるある」を思い出した
みなオジは司法書士として「後見業務」にも携わっていて、桐谷さんの様なお金持ちな高齢者を見ると、資産家の老後不幸という「後見あるある」がどうしてもオーバーラップしてしまうのです。後見人あるあるというのは、以下の感じです。
関連過去ブログ:社会貢献型後見人制度と司法書士は→コチラ
高齢者が認知症等で自身の財産管理能力が無いと思しき状態になると、親族等の申立てにより家庭裁判所の審判を経て司法書士等の「後見人」が就任する事になります。以降の「身上監護」と「財産管理」はその後見人が行う事になるので、後見人は本人(被後見人)の保有資産に応じて適切な管理を行う事になります。
財産管理→成年後見人が、法律行為の代理権を行使して契約を締結したり、年金の受給のための手続・預貯金や収入支出の管理等をすることで被後見人の財産上の利益を保護する事。 |
身上監護→成年後見人が、本人の為に介護サービス契約・老人施設の入所契約等の身上面での法律行為を行い、生活、療養看護を保護する事。 |
そこで後見人が財産状況を確認すると、本人は若い頃から蓄財をしていた為、金銭的には老後の不安は皆無の状況でした。そこで認知症に加えて身体も不自由になってきていたことから本人を良い環境で療養させようと、良い(高額な)老人ホームを手配を行おうとするのですが、ご本人の親族から「そんな高い施設じゃなくて良いだろう」等と圧力を掛けられたりするというケースがあるのです。(そういう場合、大抵、その方には同居家族(例えば配偶者や子供)はおらず、大抵疎遠になっていた兄弟姉妹やその子供(代襲相続した甥・姪)が登場します。)
本人が亡くなれば、彼の財産は相続財産として相続人に渡ることになりますが、後見が必要になったとはいえ、生きている限りは自分自身の財産は自分で利用する自由があるにもかかわらず、これまでろくに付き合いの無かった遠縁者が急に現れて、我々専門職が行う後見業務に逐一口を挟んでくるというものです。
以前「下流老人」という言葉がメディアで取り沙汰されたたことを覚えているでしょうか。老後に貧困に陥る状況は「下流老人」の特徴の一つであり切ない事ですが、お金があるにも関わらず、粗末な住居に住まわされ、医療も最低限度の水準、十分な食事もとれない状況というのは、もっと不幸な話だと思います。
計画性なく浪費を繰り返し、結果的に老後の貯えが無く、その日暮らしの余生を送るというのは、ある意味自業自得ですが、若い頃からコツコツと勤勉に働いて蓄財しておきながら、その恵まれた境遇を活かせずに晩年を送るというのはやるせないです。
唐突に「後見あるある」を語ってしまいましたが、「桐谷さんは被後見人じゃないだろ」というツッコミが飛んできそうです。しかし、日常の生活環境等を見るに、桐谷さん的な人は「老後不幸」に陥る可能性があります。
保有資産に比べて、生活の質が低い
桐谷さんの代名詞と言えば投資ですが、それ以上にインパクトがあるのが「汚部屋」「ゴミ屋敷」です。もちろん桐谷さんは自分の判断で好きなように投資に没頭されていると思いますが、投資の目的は「お金」、つまり「豊かな人生をお送る手段」であるという事を考えると、ゴミ屋敷に籠って投資生活をしているというのは、バランスが悪いというか大いに矛盾を感じます。はっきり言うと、それって幸せなのかな?と思ってしまいます。
先ほども言いましたが、お金のない老後は色々と切ないものです。しかし、お金を貯めてもそれをあの世には持って行くことはできません。となれば、どこかの人生のステージで貯蓄から消費に転換する必要があります。
お金は色々なモノを手に入れるツールですが、これまでの桐谷さんの場合、お金は「お金を生み出すツール」としてしか活用できていません。他にもお金は「生きるため」「己の成長を促すため」「豊かな生活を送るため」にも費やす事が出来るツールです。
若い頃は「生きるため」にお金を使い、生きる事にゆとりが出れば「己を成長促すため」知識を得るために学校に通い、前の2つを満たすことが出来たら、「豊かな生活を送るため」に良い家に住み、旅行する等贅沢をする。お金はその持ち主の状況によってさまざまな対価に姿を代えますが、「豊かな生活を送る」という中には「時間を買う」という意味も含まれます。
資産のポートフォリオを見直せ
あと、桐谷さんの様な投資家を見るに思うのですが、桐谷さん自身、おそらく今は十分な資産を持っているが、株式投資という生業の性質上、来年半減しているかもしれないという可能性を懸念して、投資稼業を続けている部分もあるのではないかと思います(もちろん、投資という世界に単純にハマっているというのもあるでしょうが)。
しかし、冒頭で紹介した様に、資産を数億円も有している人であれば、もはやそこまで投資比率を高める必要は無いと思います。特に桐谷さんの様な恒例の個人投資家であればなおさらです。
桐谷さんを扱ったコーナーの中でみなオジ的に非常に記憶に残っているのですが、あまりにも部屋に荷物が多い桐谷さんが家の購入を検討するという企画がありました。これまで、賃貸暮らしをしていた桐谷さんでしたが、齢70にして自分の人生に終わりがあるというリアルを痛感し住宅購入を思い至ったようです。
もしかすると、番組では触れてはいなかったが、以前少し広めの部屋に引っ越しをしたときにいくつかの賃貸の入居審査に落ちたのではないかと邪推します。というのも以前みなオジブログで紹介した通り、いくらお金を有していても、独居の高齢者は孤独死などのリスクが高く、契約回避するオーナーは少なくないからです。
関連過去ブログ:高齢者の住宅事情は→コチラ
そんなこんなで、住宅アドバイザーに相談したり、8000万円から1億円の予算の条件に合う物件の内覧を行う内にコロナショックで、保有株が大暴落してしまい、結局住居購入を断念してしまうという結果でそのコーナは終了したのです。
コロナショックの暴落でも、「Oh!ナンテコッタ」で片付けてしまえるのは、桐谷さんらしいですが、老後になってまで「株式」という不安定な資産で運用していることの問題が非常に気になりました。利益確定する事で生じる税金を気にしたのかも知れんせんが、住宅購入という最初で最後のタイミングをフイにしてしまった機会損失の方が彼の人生的にもったいないと思えてなりません。
こうして、桐谷さんは今でも安定の汚部屋に住んでいらっしゃいますが、人によっては混とんとした部屋の方が落ち着くというから不思議なものです。しかし、ゴミ屋敷は精神疾患から生じる状況も考えられる事や、ゴミ屋敷となった為に孤立化が進み、更にセルフネグレクトを増長させる原因となることを考えると、笑って済む問題ではないかもしれません。
お金で時間を買え
人生は有限であるために、お金で時間を買うという行為はある意味非常に贅沢なお金の使い方です。桐谷さん位にお金に恵まれたのであれば、時間を生み出すサービスや商品に目を向けるべきと考えます。具体的には、ハウスキーパーを雇い、片付けや掃除が苦手な桐谷さんに代わり、掃除を行ってもらう事で衛生的で探し物に余計な時間を取られることが無くなります。
使用期限が迫った株主優待を使うのに普段桐谷さんは、自転車を爆走させていますが、移動時間がもったいないので、タクシーやドライバー付きの車を手配する事も効率的でしょう。
桐谷さん的には、タダで手に入れた株主優待券の為に交通費を掛けるのはもったいないという考え方なのでしょうが、健康増進の狙いがあったとしても、クルマ移動にすることでそれと引き換えに交通事故のリスクが低減するメリットの方が大きいと思います。健康の為に身体を動かしたいなら、パーソナルジムに行って鍛えてもらって、栄養管理などもまとめてマネジメントしてもらった方が良いでしょう。
そもそも、これらの費用の多くは経費で落とすことが可能ですので、桐谷さんにはまず有能なマネージャーを雇う事から始められた方が良いのかも知れません。おそらく、マネージャーやお手伝いさんを雇う事で、桐谷さんも本業に集中する事が出来、投資効率も各段に向上する事が出来るでしょう!
つまり、桐谷さんはお金を生み出すスキルは非常に高い一方、お金を利用するスキルは非常に低いという事になります。一見、株主優待券だけで生活ができるというと、庶民からすると羨ましいと思うのですが、その実、使いもしない品物を購入して、家中が不要なものに囲まれている様子を見ると、株主優待に恵まれているのではなく、囚われているだけなんだという事が分かります。
金銭的自由を得た割には、QOL(生活の質)がバランス取れていないという例は、高齢者支援を行っているといくらでも遭遇する事になります。元々、投資というお金でお金を生み出す天才の桐谷さんですら、お金で時間を買うという観念が無いのですから、一般の高齢者は、更に晩年におけるお金の使い方が下手なのではないかと思います。
老後孤立に陥らないために
また、桐谷さんは判断能力もあって、取材や講演依頼などを通じて社会との接点を有していますが、現役を引退した高齢者は社会との途絶もあり、情報も上手く入ってこない事から、老後孤立に陥る可能性が高くなります。
老後孤立に陥らない為には、会社以外のコミュニティを作る事、家族との繋がりを維持する事が挙げられます。桐谷さんの様に高齢独身者は上記の様なコミュニティを作ることが難しいかも知れませんが
、若い頃からボランティアや趣味を作っておく事が大切です。独身者であっても桐谷さんの様に常に恋をしておく(前にTVの企画でお見合いしてました)というのも良いかもしれません(失恋は諸刃の剣?)。
一方で、下流老人のパターンの一つに「熟年離婚による財産分与」「子どもが ワーキングプア、引きこもりによる共倒れ」というのもあり、既婚者だからと言って心配無用という事にならないのが人生の難しい所でしょう。むしろ、人と人との繋がりを有する事の方がトラブルの原因になることが多く、だからこそ独身を決めこむ人もいる訳で、結婚するかどうかの選択は自分に合った生活様態を見極めて決める必要があると考えます。
さいごに
高齢者というのは経験豊富な一方で、(男女差はありますが)人から支援を受けるのが苦手だったり、これまでの生活様式を頑なに変えようとしない傾向があります。もちろん柔軟な思考を持つ高齢者もいますが、脳の機能の衰えにより物事に固執する様になるケースもあり、お金の有無に関わらず適切に生活を送れない場合が多くなります。その様な高齢者の為に専門職による後見制度があると言えますが、高齢者自身も若い頃からきちんと自分の人生の目論見(どのような老後を送りたいか)を付けておく事が老後不幸にならない為の秘訣だと思います。