
昨年の持続化給付金に引き続き、コロナ関連の中小企業及び個人事業主向けの支援策として「一時支援金」が出されています。
昨年は一時事業活動を抑えていた時期もあり、持続化給付金のお世話(申請をした時の過去スレはこちら)になったみなオジですが、今年はありがたいことに支援のお世話にはならずに済みそうです。
そこで今回は、一時支援金の制度概要の説明と、過去の持続化給付金との相違点を簡単に説明したいと思います。
目次
主管省庁および事務局
主管省庁は持続化給付金と同様に経済産業省です。
昨年の持続化給付金は申請の受付は2020年5月1日からスタートしましたが、事務局の再委託問題、不透明な外部発注で世間から非難を受けたことで、9月1日から事務局運営が電通からデロイトトーマツに代わり申請受付を行いました(制度は電通が事務局の時と同じ)。申請期限:2021年2月15日(受付終了)
一時支援金は、2021年3月1日から事務局ホームページが開設され、同月8日から申請がスタートしました。事務局はデロイトトーマツ。登録受付及びコールセンター開設は2021年2月22日からスタート。申請期限:2021年5月31日(予定)
一時支援金ホームページ:一時支援金 (ichijishienkin.go.jp)

給付額は?
持続化給付金は、中小企業に最大で200万円、フリーランス・個人事業主に最大で100万円が上限で給付。
一時支援金は、中小企業で最大60万円、フリーランス・個人事業主に最大で30万円が給されます。
給付条件
持続化給付金:①2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業継続する意思があること。②2020 年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月があること。
一次給付金:①緊急事態宣言に伴う「飲食店の時短営業」または「外出自粛等」の影響を受けていること。
②「2019年の1月or2月or3月」または「2020年の1月or2月or3月」と比較して、「2021年の同月」の売上が50%以上減少していること。
飲食店の時短営業の影響を受けた事業者とは
緊急事態宣言を受けた地域で営業している飲食店はもちろん、その飲食店に備品や食材等のサービスを提供している事業者が対象。※時短協力金の支給対象の飲食店は給付対象外。
外出自粛要請の影響を受けた事業者とは
移動サービスの提供事業者や、宿泊サービスを提供する事業者。また、当該事業者へ商品・サービスを提供している事業者も対象。※宣言地域外において、地域コミュニティ内の顧客のみと取引を行う小売店や生活関連サービスは給付対象外。

中小企業庁長官官房総務課作成
上記の様に給付対象は広範に渡り、給付要件を満たす事業者であれば、業種や所在地を問わず給付対象となり得ます。上記の図が比較的わかりやすかったので載せてみました。
申請スキーム

この様に、昨年の持続化給付金に引き続き給付対象者は多いものの、持続化給付金で多くの不正受給や給付対象者外への給付が多かったことから、一次給付金の申請スキームは「事前確認」を行う事となりました。具体的には、「登録確認機関」により、TV会議又は対面等で、事務局が定めた書類(帳簿等)の有無の確認や宣誓内容に関する質疑応答等の形式的な確認を行います。
申請者は事務局のWEBサイトから身近な登録確認機関を検索して登録確認機関に事前確認の依頼・事前予約をする必要があります。事前確認完了後マイページにて必要事項の入力等を行い、事務局に申請を行という流れです。
一時支援金の登録確認機関とは |
・ 事前確認を行う登録確認機関は、以下の認定経営革新等支援機関、同機関に準ずる機関、その他特定の機関・有資格者等から募集しております。 ・ 事前確認を行う機関としての登録を認めた機関(登録確認機関)については、事務局のWEBサイトで順次公表します。※事務局においても、3月下旬以降、必要に応じて、登録確認機関を設置する予定。 (1)認定経営革新等支援機関 ・ 中小企業等経営強化法に基づき認定を受けた税理士、中小企業診断士、行政書士など (2)認定経営革新等支援機関に準ずる機関 ・商工会/商工会連合会・ 商工会議所等 (3)上記を除く機関又は資格を有する者等 ・税理士・ 中小企業診断士・公認会計士・ 青色申告会連合会/青色申告会 |
「事前確認用の」書類準備
① 本人確認書類/履歴事項全部証明書(中小法人等のみ)
② 収受日付印の付いた2019年1月~3月及び2020年1月~3月までをその期間に含む全ての確定申告書の控え
③ 2019年1月から2021年対象月までの各月の帳簿書類(売上台帳、請求書、領収書等)
④ 2019年1月以降の事業の取引を記録している通帳
⑤ 代表者又は個人事業者等本人が自署した「宣誓・同意書」
給付スキームについて個人的意見
ニュースでも多く取り上げられていましたが、前回の持続化給付金があまりにもザルの目申請だったので、さすがに事前確認という1次チェッカーを挟んできましたね。ただ、このチェッカー、あくまでも形式的なチェックしか求められていないので、給付対象者に該当するかどうかの実質的な確認までは求められないので、その間隙を突くような不法申請者が出るかもしれません。また、申請者側の手間も増える事が予想できます。上記に記載したのは一般的な申請を想定したものですが、月当たりの収入の変動が大きい事業者が申請する際の特例申請では、固有の証拠書類等が必要になりますし、「登録確認機関」の事前確認が必要とした為、申請者は申請前にこれらの機関を探して依頼する必要がありますが、普段付き合いのある顧問税理士や金融機関ならいざ知らず、今まで取引のない一見さんから依頼があっても、手間だけが掛かり費用倒れになってしまうので、簡単には受け付けてくれないでしょう。この問題は、「2021年度の固定資産税・都市計画税の軽減措置」でも同様のスキームで申請させようとしていたのですが、やはりというか当然、どの機関も一見さんの対応はしなかったようで、不満の声がネットを中心に上がっていました。
その様な反省からか今回の一時支援金では、「事前確認を行っていただける登録確認機関が見つからない場合には、事務局の相談窓口までご相談いただくか、事務局が設置するホームページで他の登録確認機関をお調べください」という案内を事務局ホームページに掲載しているほか、最終手段として以下の案内を出していました。
※また、事務局においても、3月下旬以降、必要に応じて、登録確認機関を設置することといたします。 |
ちなみに、中小企業庁が負担する登録確認機関の確認手数料報酬は1件当たり1,000円だそうです。Σ(゚д゚lll)ガーン そりゃ受けないわ…
新型コロナウイルスの影響を受けた飲食店の取引先などを支援する一時支援金を巡り、申請書類の事前確認に必要な手数料として給付額の10%超を請求する税理士らが相次いでいる。想定金額の50倍を求める例もあり、事業を所管する中小企業庁は貴重な支援金の中抜きを防ぐため制度の見直しに着手。民間委託した支給事務局の業務に事前確認を加え、申請者の選択肢を増やすことを検討している。
中小企業庁は事前確認について「複雑なチェックは必要ない」として、申請者が税理士らに支払う1件当たりの手数料を1000円と算定。国が負担する仕組みも導入した。一方、この1000円を受け取らなければ、確認機関が手数料を自由に取ることも認めた。税理士などの調査方法や料金体系が一律でなく、「1000円」で縛るのが難しいためだという。
「個人への一時金は最大30万円なので5万円抜かれるのは厳しい」。観光案内を営む個人事業主の男性(69)は、書類の事前確認を頼んだ横浜市内の税理士事務所に給付額の10%を超える手数料を要求された。国が算定した手数料の50倍に上るため、別の行政書士に5000円でお願いした。 手数料5万円を取る理由について、この税理士事務所の担当者は取材に「明確な根拠はないが確定申告で忙しい」と答えた。個人事業主の男性は商工会や信用金庫にも依頼したが、取引がないなどの理由で断られた。「立場が弱い個人事業主が多額の中抜きをされやすい」と男性は指摘する。
引用元:東京新聞WEB版 2021年3月20日
まあ、中小企業庁も中小企業庁であんまりな対応ですね。特にこの季節、税理士は確定申告(申請期限が延長して4月15日までが期限)で忙しいのに、1,000円というお小遣いで誰が好き好んでやるか!という話だと思います。
さいごに
みなオジは登録確認機関ではないので、あくまで概略の説明をしたに過ぎませんので、興味がある方はホームページを見ていただければと思います。確定申告をまだ済ましていない人は、申請前に一度、この一時支援金の対象になるかどうかチェックしてみてはいかがでしょうか。
