司法書士 法律

司法書士のコンプライアンス~これも不毛な争いか?

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問題となった、大阪司法書士会のポスター
「遺言で不毛な争いをなくそう」

「司法書士」は、世間では一般的に「法律専門家」として認知されていますので、通常人よりは「コンプライアンス意識」が高いとされています。有難いことに世間からも「先生」と呼んでいただける立場にもありますし、法律上も一般人より高い倫理基準を持つことを期待されています。

大阪司法書士会で起きたコンプライアンス問題

ただし、実際に自分も司法書士として活動して、同業者として色々な先生方と接していると、表面上は紳士淑女の感じを装っていますが、中身は結構エグイ(良く言えば人間的)な人も多い訳で、そんな一般人と大差ない人々の集まりである司法書士会で先日ちょっとしたコンプライアンス騒動が起こりました。

デブ、チビ、ハゲはネタにできない?芸人の容姿いじりはどこまで許されるのか

今月14日、「不毛な争いをなくそう」と記載し、男性アナウンサーの頭髪を揶揄したポスターを制作した大阪司法書士会が「配慮が不十分だった」として、自主回収を行った。一部の会員から「身体的な特徴を揶揄するような内容で不快だ」と指摘があり、結果的に自主回収する事態となった今回の騒動。こういった”容姿いじり”に関する話題は、ここ数年でお笑い芸人のネタにも変化をもたらしているようだ。

引用元:SPA 2021年6月1(火) 配信

みなオジは大阪の人間ではないのであまり知らないのですが、上の記事にある「男性アナウンサー」とは関西では非常に人気のあるフリーアナウンサー山本浩之さんでして、大阪司法書士会が山本さんをポスターのイメージキャラクターに起用したところ、「表現」上の問題でこの様な事態になったという事です。

チャップアップ

まあ、「身内の会員」から指摘があったという事は、もしかすると現運営に対する不満とかなんやらが複雑に絡み合ったのかもしれません。

その辺の真偽はさておき、いわゆる今回の「デブ、チビ、ハゲ」問題は、ポスターの回収という結末となりましたが、おそらく類似の騒動はこれからも起こると思われます。「アホだなー」で終わらせるのは簡単ですが、今後我々はコンプライアンスとどのように向き合うべきかを考える良い機会をもらった様に思えます。

お笑いと現実の線引きをしてほしい

身体的特徴のうち一般的にネガティブなものの代表例として上の「デブ、チビ、ハゲ」3つが良く列挙されますが、人によっては、ガリガリ、ノッポ、毛深い(ハゲの反対ではない?)も嫌と感じる人もいるかもしれません。(個人的には背が高くなりたいし、もっとガリガリになりたいと未だに切望しています)

SPAの記事はこのコンプライアンス上の問題提起に、”ここ数年でお笑い芸人のネタにも変化をもたらしている”と話題を転じており、「お笑い」おける「イジリ」の問題提起も組み合わせている為に、更にややこしくなっています。誤解を恐れず私見を言えば、過剰なコンプライアンス意識も逆に窮屈な世の中にしてしまい、(考えすぎかもしれないけど)「逆差別」「言論統制」を生み出す温床になってしまうのではないかとも懸念しています。

これなんかハゲと罵倒(名誉棄損罪)している上に、叩いている(暴行罪)ので、完全なるアウト?

ハゲを受け入れていない(?)人に対して「ハゲ」というのはもちろん言葉の暴力ですが、この山本アナにせよ、お笑い芸人にしてもハゲ等の身体的特徴をネタ(武器?)にお金を生み出す人は多くいる訳で、彼らのフィールドが縮小してしまうのはこれはこれで営業の自由(憲法第22条第1項【職業選択の自由】から当然認められていると言われています)を侵害してしまう様な気がします。

ハゲとうどん屋行くのも気を付けるべきか?

現に、上のうどんの広告ポスターについては問題が無かった(当時クレームが無かった)訳で、何となくその時に誰かが声を上げたかどうかというタイミング(と虫の居所?)の問題もあるように感じます。

みなオジが弁護

一応、大阪司法書士会の弁護もしておくと、大阪というお笑い文化のお膝元という事もあり、笑いに対しては寛容になるだろうという期待(甘え?)があった事。そして、法律家という堅いイメージを払拭したいという思惑から敢えてお笑い路線に行ったという事だと思います。

コンプライアンス違反=即違法とはならない?(グレーゾーン広すぎ)

コンプライアンス問題を語る上では、まず、なんで高度な職能集団である司法書士会でこんなことが起こってしまったかについても触れておく必要があるかも知れません。

司法書士会に限らず、これだけ世間で騒がれているのに、コンプライアンス問題で炎上する事例が後を絶たない理由としては、「コンプライアンス違反=即違法とはならない」事、つまりグレーゾーンの領域が結構広いという事も多いのではないでしょうか。

法律問題を日々扱う司法書士ですから、違法かどうかの判断は通常人よりも敏感でしょうが、グレーゾーン領域についてはむしろ苦手ではないかと思います(なまじ法律知識があるので、自分が非難される事をするはずが(人権侵害の加害者になるわけが)ないという思い込みも強い)。

また、今回は司法書士会という組織で出したポスターが問題になっていますが、他者へのチェック機能は効いていても自己チェック機能が及ばないというのはどこの組織でも(馴れ合いや悪ノリが高じて)よくある事なのかもしれません。そういう意味では、どれほどコンプライアンス意識が高い集団であっても、当事者となり得る確率はそう変わらないのかもしれません。

みなオジが想像するに、今回の騒動が起こった一番の原因は、奇跡的に大阪司法書士会の幹部にハゲがいなかったからかもしれません。(何の話?)まあ、その逆パターンもあるかもですね(笑)

法的な問題は?

法的な問題に絡めて言えば、いつぞやの話ですが、元国会議員が秘書に対して「このハゲ―!」と暴言を吐いていた音声が流出しワイドショーを連日騒がせていました。この音声は結構なインパクトがありましたが、実は名誉棄損罪・侮辱罪(刑法犯)は密室という事もあって適用されません(民法上の不法行為責任(精神的損害)のみ適用の可能性)が、ランチ時に定食屋で(ハゲた)上司と一緒にワイドショーを見て冷や冷やした部下は100万人位はいるのではないでしょうか。→だから、ハゲって言っちゃいけないのか(納得)

この様に、仮にいじられている本人が許容していても、見ている周囲の人が胸くそ悪い(冷や冷やする)とか、学校・職場のイジメを助長するという意見もあり、それももっともな事だと思うのですが、一方で「受け取り側」の未成熟というのも思わずにはいられません。そもそも、お笑いで「ブスいじり」をしていたからと言って、学校でそれを真似て良いという事にはなりません。当たり前の話ですが、見る側にもTVと現実の境目をきちんと理解し、行動をわきまえる必要があります。

もちろん身内を庇ってる訳でもなく、一応厳しく言わせてもいただきますが、今回の事例では、その表現を使わずとも「司法書士という存在」をアピールする手段はいくらでもあった事、しかも高度な法的知識を有している(と期待される)司法書士の職能団体が軽はずみにその様な表現に手を出してしまったというのが話題を大きくしてしまった原因となっています。つまり、「おめえがそれを言っちゃあ、おしまいよ!!」という事ですね。

表現の自由との板ばさみ?

また、憲法では第21条で「表現の自由」も同時に保証されており、発信側に対する配慮もしなければならない事も刷り込まれていることから、(少なくとも、個人の)人権を侵害しているとまでは言えない今回のケースにおいてはチェック機能が及ばなかったという事も言えるかもしれません。

ちなみに違法かどうかの論点で言えば、「正当な業務による行為」たとえばボクシング・相撲などの格闘技によるけがや(格闘技ではなくても)多くのスポーツではコンタクトプレイを伴っており、例えばラグビーのタックルでけがをさせても、刑法上の罪(傷害罪等)には問われません。

正確にそしてより法的な表現では、ボクシングで「相手を殴る」という行為は傷害罪・暴行罪の構成要件に該当するものの、ルールに則ってさえいれば「正当な業務による行為」として「違法性が阻却(そきゃく)される」という説明になります。もちろん、警察官が暴れている人を制圧する行為も、業務上の行為であれば罪に問われる事はないという事です。もちろんやり過ぎて、死亡してしまった場合は過失・過剰行為という観点で罪に問われる可能性はあります。

話は横道に逸れますが、みなオジが子供の時はプロレス全盛期で、TVでプロレス中継があった翌日には学校で友達にヘッドロックを掛ける風景が至るところで見られました。中には、いやいや技を掛けられていたり、本気でプロレスの様に見せかけて本当に殴られていた子もいたかもしれませんが、昔はプロレスもそうですし、お笑いのネタやドラマのテーマ全てにおいておおらかだった気がします。みなオジはドリフ派でしたが、昔、ドリフのコントで「小人プロレス」(正式名称忘れました)が出演していましたが、メディアの自主規制などもあり今では絶対あり得ないブッキングでしょう…

さいごに

コンプライアンスが叫ばれる現代は生きづらいと感じる自分は古いタイプの人間なのか、それとも倫理観の低い不適合者という事なのか…いずれにせよ、これからこのような流れはより厳格になると思われますが、どのように向き合っていけばよいのでしょうか。あまり騒ぎ立てると、被差別者を腫物の様に扱ってしまう可能性もありますし、果たして彼ら自身がそのように扱って欲しいのだろうかと考えさせられます。

いずれハゲの逆差別なんかが起こるかもしれないですね。最後に、こんなコンプライアンス社会は嫌だでお別れしましょう。以下は、私が考えた恐ろしい差別禁止法(ハゲ差別禁止法)です。

第1条
全員髪型はスキンヘッドに統一しなければならない。
第2条
ネットにハゲた人を載せるには本人の許可を要する。
第2条第2項
前項において、本人の許可を得られない場合もしくは本人が故人となっている場合はその画像にモザイク処理をしなければならない。
第3条
「禿」という文字は使用禁止。(禿と誤読しそうな)「秀」も使用禁止。
逆にハゲている人は全員かつらを被らなければならないという規則もあり?
(かつらや植毛費用、全て無償なら良いかも)

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みなオジアバター

港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。