お金・仕事 港区おじさんのつぶやき

働き方考察(前篇)~副業化が進む社会情勢における必須サラリーマンスキルとは~

投稿日:2020年11月9日 更新日:

エリートサラリーマン

経営者とサラリーマン。人はお金を稼ぐとき大抵どちらかに属することになります。みなオジはかつてサラリーマンをしていましたが、今は経営者(個人事業主)です。常勤の従業員を雇わない分コスト管理にはそれほど頭を悩ませられることはありませんが、その分サラリーマン時代の感覚が抜けきらないまま、個人の資本力で事業を起こすと大抵失敗します。これは別に経営者がサラリーマンよりも優れているという事を言っているわけではありませんが、逞しさでいえば、間違いなく経営者はサラリーマンよりも逞しくなければやっていけないでしょう。経営者の立場になり、みなオジがサラリーマン時代に感じていた不満はなんて自分勝手な言い分なのだろうと思うようになりました。経営者とサラリーマンの両属性の経験をすることで、いかに両者が交じり合えない存在であるかも理解できます。今回は、新型コロナウィルスの影響で雇用情勢が不安定になっている中、労使がともに幸せになれるこれからのワークスタイルと意識の持ち方について(若干理想論ではありますが)書いていきたいと思います。皆さんも自分が経営者になったらと想像しながら考えてみると面白いかもしれません。

経営者とサラリーマンの決定的な意識の違いとは?

前述の通り、サラリーマンの誇りにかけて、サラリーマン自体が能力的に劣っているという事は断じてありません。ただし、悲しいかな、優れたサラリーマンが必ず優れた経営者になれる保証はないのです(逆もしかり)。この原因の一つにサラリーマンの多くは対価=提供した時間だという事です。もちろん、中には成果の割合を高めた個人事業主的なサラリーマンもいますが、これは雇用契約を締結しながらも業務委託色の強い「なんちゃってサラリーマン」です。先日の「持続化給付金」も一部のサラリーマンが給付金の申請をしていた事からも分かるかと思います。

高度成長期下のサラリーマンのあるべき姿

この様に、成果ではなく時間を基にした給与形態が良くも悪くも日本のサラリーマンを形成することになります。もちろん成果もボーナスや昇給に影響を与えますが、必ずしもアウトプットした成果が正確に昇給に反映されるとは限りません。そうです、ここにそのサラリーマンとしての評価基準、つまり、従順さや上司(組織)との相性が乗ってくるのです。このため、会社の中でひたすら成果を出すAさんと、そこそこの成果でも上司に気に入られて組織風土にマッチするBさんとの評価が逆転が起こるわけです。

また、高度成長期の日本は人口も増加し、組織も順調にピラミッド化したことから、特に目立った成果を出さない社員でもある程度在籍することでポストを上がっていくことができたのです。この様な条件が重なり、従来型のサラリーマンは成果を追及するよりもミスを少なくすることに神経を使い、そして組織に従順である事の証として、社内でのコミュニケーションを密にして、献身の証として残業を美徳とする風潮が出来上がったのです。

果たして、この様な働き方をしたサラリーマンが経営者として成功するでしょうか?もちろん、中には器用な人もいて、経営者側に立った途端に(偽りの姿としての)サラリーマンの殻を脱ぎ捨てて力を発揮できる人もいるかも知れませんが、経営者としての素質を持っていた人であっても、長年サラリーマンをすればするほど、それは失われていく傾向があるのです。

もし、あなたがサラリーマンだったら会社の上司(部長)とかを見てみてください。尊敬できる人は多いでしょうが、経営者で成功を収められそうだと思う人は果たして何人いるでしょうか?

若くして企業から独立した人の方が成功を収める傾向にあるのもこういった理由があるのです。独立に適した年齢など統計的に出せるものではありませんが、某社の様に公然と40歳定年制等と言われていることを鑑みると、40歳前後がその基準なのかもしれません。(ただの会社側の都合かも知れませんが…)

新たなサラリーマンモデルは既に示されていた?

これまでは、こんなザ・サラリーマンだらけでも日本の会社は機能しており、全く問題なかったのです。また、会社もオモテ向きには「社員よ、経営者的視点を持て!」等と言っていても、本質的には従来型(つまり従順型の)サラリーマンが多い方が都合がよかったのです。だって、会社の経営陣的には従順な日本型サラリーマンが多い方がトップダウン型での統制がとりやすいですし、社員が経営者的視点を持ったら、それこそ社員が会社を去ってしまうおそれがあるからです。(特に有能な社員から先に)

しかし、長く続いていた好景気が終わり、それに代わり新型コロナウィルスが経済活動と雇用環境を大幅に悪化させた現状においては、間違いなく従来の日本型サラリーマンは淘汰されることになります。この事実は、一所懸命会社に尽くしてきたサラリーマンにとって悲劇以外の何物でもありませんが、この悲劇は新型コロナによって唐突に起こったわけではなく、実は日本はここ10年くらいかけて「ヒント」を小出しにすることで、労働者に新たなサラリーマンモデルを提示して、サラリーマンに変化への気づきを与えてきたのです。

逆に言えばこのヒントに気づかずに従来のサラリーマンスキルを高めていると、新基準に移行しつつあるサラリーマン市場の中で存在価値を失ってしまう事になりかねません。ここでいうヒントを紐解くことで、どのようなサラリーマンがこれから生き残っていくのかを考えていきたいと思います。

副業解禁とANAの事例

国が企業に求めた変化とは何でしょうか。一番に思い浮かぶのがダイバーシティという名の下に多様な働き方を提唱することで、様々な雇用形態を認めるとともに従来のひずみを生じていた派遣社員と正社員間の格差是正に乗り出し多様な働き方を浸透させようとしたのです。そして、次に取り組んだのが「働き方改革」つまり時短の推進です。また、時短への取組と並行して「高度プロフェッショナル制度」という概念を取り入れて、正社員という一枚岩を区分することで、サラリーマンの報酬形態にもメスを入れてきたのです。

この二つの変化により企業は「副業解禁」という選択を模索したのです。この副業解禁は新型コロナウィルスの影響でANAの様な大企業でも認めるようになったという報道(10/27 NEWS ポストセブン:ANAのCA、副業解禁もハードル高くウーバーイーツが現実的か)がされたことで話題になりましたが、そもそも副業解禁には会社経営が困難で抱えている社員への給与を下げざるを得ない中でやむを得ずに認めて、社員を繋ぎとめるといった消極的な理由によるものでした。

しかし、ANAの様な超人気企業に入ることができたエリートサラリーマンであっても、副業ができる様なスキルを有する社員はほとんどおらず、また、本業に支障をきたすのではと二の足を踏む社員が多いようです。これは、本業に支障をきたすような働き方しかできない社員が多い事から生じる理由です。つまり、居酒屋でホールや厨房でアルバイトするくらいしか副業先が無く、スキルも無いのでせいぜい時給1,000円の作業が関の山。結果、夜11時まで働いたところで大した給与の足しにもならず、むしろ次の日の本業に響いてしまうという事になってしまうのです。つまり、ANAの社員はANAの中でしか生きられないという事なのです。大企業でもリストラのニュースが連日報じられるのですから、中小企業では更に多くの会社がリストラや給与カットに着手していることでしょう。この様な状況で、いかに会社に依存する事のリスクがあるかというのが理解できたかと思います。

サラリーマンが備えるべきスキルとは?

ANAの副業解禁の事例から、給料カットや最悪のケースであるリストラの対象となった場合でも生き残れるように、サラリーマンが備えたいスキルと今から取り掛かるべき事が見えてきたかと思います。以下に3点ほど挙げて副業リーマンのサバイバル術について説明しますが、その人が持つ生来の性質や得意不得意があるので、ここでは抽象的方法論を書くことにしましょう。

汎用的ではなく、スペシャリティ(自分しかできない)なスキルを身に付けること

もし、あなたの会社が副業を認めたとしても、まず本業ありきの副業である事を認識しなければなりません。そこで、まず重要なのは「時間」を売るような仕事は避け、かつ価格競争に巻き込まれないような領域のスキルを持つことが大切です。そのためには自分しかできないスキルを手に入れることが必要でしょう。一番手っ取り早いのは資格を取得して、その資格の関連業務を業務委託する事です。その資格が希少性が高ければ高いほど対価も見込めることは言うまでもありません。ちなみにみなオジが取得している司法書士資格は、受託する業務にもよりますが、半日拘束程度の業務で5万円くらいの設定をしても引き合いがあります。業務委託は成果物を提出すればその対価が払われるため、雇用契約の様に時間で拘束されることはありません。業務委託で仕事を受けることで本業と同じような働き方をする必要がなくなるというのが大きなメリットです。副業でもう一社バイトしたとしても拘束時間の増加により自身を消耗する結果になり、副業のメリットが薄くなってしまいます。人間には平等に24時間しか与えられていません。本業の終了後に別の会社でデスクワークをしても、それは収入源は分散させただけであって働き方としては1社で残業をしているのと何ら変わらないと言えます。そもそも馬車馬のように働くことなど、ずっとできませんよね?また、価格競争に巻き込まれないというのも、短時間で一定の報酬を確保しなければ結局のところ、消耗戦に陥ってしまうからです。

スキルを売り込めるような人脈を社内外に作ること

スペシャリティスキルを身に付けることも重要ですが、そのスキルを活かせるように社内のみならず社外のコミュニティと普段からつながりを有する人脈力が必要です。もしあなたが特殊なスキルを持っていたとしても、そのスキルを売り込む先が見つけられなければ、そのスキルを発揮することができないでしょう。もちろん社外にネットワーク構築にかまける余り、社内の人脈を疎かになっては元も子もありません。なぜなら起業後も古巣と良好な関係を維持することで、有力なクライアントとなることを期待できますし、仕事を受けるにあたっても融通が利くことが多いからです。しかし、今の様な不況の時代は会社も業務をアウトソースすることが無くなりますので人脈のバランスはとても重要です。最近はクラウドソーシングビジネスマッチングアプリがありますので、売り込む先が全くないという事は少なくなりましたが、そのサイトに上前を跳ねられれば、あなたのマインドは結局のところサラリーマン(搾取される存在)と変わり無くなってしまいます。副業や企業の意味は会社から金銭的独立を得るだけではなく、精神的な独立を得るという意味も大きいのです。自分の時間と価値が第三者に吸い取られるという事はサラリーマンだけで十分ではないでしょうか。

クラウディア(クライアント募集)

時間的自由を得られるような仕組みを構築すること

副業することで本業(会社)における働きが疎かになっては本末転倒ですので、できるだけ時間にゆとりが取れる(場所にとらわれず、かつ、いつでもできる)副業が良いでしょう。例えば、英語が堪能な人であれば、最近はWEB会議システムを使って自宅にいながら世界の人にレッスンすることができます。更に究極的な手法を紹介しますと、あなたに教えるノウハウと伝える表現力があれば、教材を1回作って販売する環境さえ整えてしまうことで、あとは自分が寝ている間に勝手にその教材は売れていくでしょう。また、運よくあなたが収益の安定が見込まれるビジネスモデルを見つけることができたのなら、営業や単純作業は第三者にアウトソーシングするというのもありでしょう。

また、逆転の発想として、本業を早く終わらせる方向に努力をするのも有効です。例えば、自分の仕事で「データ入力」が大きなウェイトを占めているのであれば、Excelでマクロを組んで時間短縮をはかることにより、定時に帰れるはずです。この様に自己完結する様な作業であれば、業務上の無駄を省くことで副業に避ける時間を確保する事も可能です。これは楽をするという事ではなく、本業の勤務先にとってもメリット(余計な残業代を払わなくて良い)なのです。ですので、あなたは会社や上司に何ら気後れすることなく時短に取り組めばよいのです。ちなみに最近はリモートワークが増えたことで、自己の時間を確保するのは依然と比べ物にならないくらい楽になったのではないでしょうか。

会社側も副業リーマンと上手く付き合わなければいけない時代に?

一般的な会社には社内規則で「副業禁止規定」があります。歴史の古い会社やインフラ関連などの公益性が高い業界(鉄道、電気)、コンプライアンス意識の高い業界(金融、情報通信業界)などでは幸運にもあなたの勤め先が副業を解禁したとしても、「平日の副業は認めない」、「守秘義務上認めない副業先がある」等非常に制約のきつい副業規定下で対応しなければならない場合も多く、現行の法制度でも副業にそぐわない規定(例えば、労災制度等)があります。

そう考えると仮に上記の様なスキルを有していたとしても、その人が自由に副業に取り組み成果を挙げるいうのは少々無理がありそうです。しかし、今後は副業を認める流れが加速し、副業OKを売りにする会社が増えることを鑑みると、副業を認めない会社というのは本業だけで十分な報酬を保証できなければ、労働市場から敬遠される可能性もあります。そうすると会社側からもそれに対応する様な動きが出てくるかもしれません。後編は、会社と社員間の新たな雇用関係の構築について考え、今後会社側で対応しなければならない人事制度や社員教育の在り方について考えたいと思います。

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港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。