不動産

悪徳ワンルーム業者の見分け方

投稿日:2022年3月15日 更新日:

狭小ワンルームの間取り

ワンルームマンションの営業さんとたまにお話する機会があるのですが、ワンルーム満床ン投資そのものについて個人的に否定はしないものの、胡散臭い業者が跋扈しておりなかなか手を出しにくい領域と思っています。(もちろん、きちんとした販売業者さんもいらっしゃいます)

今回はそんな怪しい業者の見分け方についてレクチャーしたいと思います。

怪しい業者その1 電話突撃(電凸)系営業の業者

基本的に投資用マンションは反響(HPを見て客の方から連絡する)営業が厳しいので、セミナーを介して誘客するか、モノで釣るかしてそこに寄せられてきた見込み客に個別に商談を仕掛けるという手法が多いです。ただし、大手ならまだしも規模の小さな不動産業者はそのような手間(知恵)と時間と金を使うことができないので、結果的に顧客名簿から電話営業を仕掛けるといったストロングスタイルに落ち着きます。仕事中でも昼休み中でも夜の8時でも相手の都合などお構いなしに電話を掛けてきます。会社携帯へもどういうルートでゲットしたのか、頻繁にかかってきます。(会社携帯にかける場合は番号の下一桁をずらしてかけていき、全社員制覇を目指しますので、電話先の相手の名前なんぞ知らずに電話をかけてくるという雑さです。)

この様な業者(の営業部員)はコンプライアンスという言葉を新しいお菓子か何かと思っている様な人種なので、まともに取り合わない方が賢明です。業者の中でも真っ先に敬遠すべき会社です。

怪しい業者その2 「原状回復費用ゼロ」が売り文句の業者

基本的に投資用マンションは値付けのプロセスが同じなので、価格で優位性を付ける事はできません。大抵は管理コストで違い(自社の強み)を見せてきますが管理コストと言っても、買主が支払う総額はどこも同じで、見せ方(オプションサービスにしたりアドオンさせたり)が違うだけというのが殆どです。

例えば、物件の仲介をした業者をその物件の管理委託とすれば賃借人が退去した後の原状回復費用をその業者がオーナーの代わりに負担してくれるという「無償原状回復サービス」を売りにしている業者がいますが、実質的には、原状回復にかかる費用として管理費(もしくは更新手数料)に乗せて先払いしているにすぎません。

むしろ、買主の将来的な負担増になるにも関わらず発生する修繕積立金の増加を伏せて販売しているケースもあり、都合の良いところだけを強調して聞かれない限り不都合な情報(将来のコスト)は出さないという営業が散見されます。

怪しい業者その3 「節税目的」が売り文句の業者

節税目的というのは、本業であるサラリーマンの給与所得に課税される所得税を取り戻すという事を意味しますが、副業である不動産収益が赤字である事の裏返しです。赤字になるのをさも正当化したような売り文句ですが、赤字になるような投資であるならば別の投資(株・投資信託)等に資産を投下すべきです。資産が無限にあるならばヘッジとして不動産投資に回すというのもアリでしょうが、それならば価格の安い(言い換えれば参入障壁の低い)
1Rマンション投資に固執する必要もないでしょう。

また、節税も不動産の減価償却であれば良いですが、到底認められないような費用まで経費として計上する様な助言をする業者は買主に違法行為をそそのかしているのと同じです。

怪しい業者その4 1Rのニーズが高いと説得する業者

1Rを勧める業者は十中八九、都内1Rの需要が高くて客付けに困ることは無い(よって賃料の下落圧力はない)と主張します。これは本当でしょうか?根拠として彼らは東京の単身者の増加都内ワンルームマンション条例の存在を出してきます。

23区内では2020年に単身世帯は240万世帯(東京都下も含めると約363万世帯で、これは全国の単身世帯の17%を占める)で、2030年には区内世帯総数の半分(246万世帯)に迫るとし、東京都の世帯は「核家族」から「標準家族」、「多様化(1~2人世帯)」を経て「単身世帯」へと移るとして、彼らの居住場所として1Rマンションの需要が高まるというのが業者の言い分です。

そして、都内では「ワンルームマンション条例」がある為、これからも1Rマンションは増えず、需要が更に高まる事から値崩れは起きないだろうと主張します。

資料を鵜呑みまたは都合よく解釈しないこと

引用元:ハイライフ研究所 都市研究メールマガジン2017年10月26日

左記の資料より23区内の「単身世帯数が高止まりする」というのはその通りでしょうが、その受け皿となるのが1Rマンションだけとなるかと言えばその様な事はありません(1Rはマンションだけではありませんし、むしろ小規模なアパートの主戦場です)。

首都圏分譲ワンルームマンション供給数は年間1万戸弱と言われ、単身世帯に比べ供給が少ない様に見えますが、注意すべきはワンルームマンション条例はあくまでマンション建築の際の規制や行政側の指導要綱なのです。つまりアパートは対象外ですので「相続対策」という名目の下、都内でどんどん1Rアパートが作られているという事を忘れてはいけません。

ちなみに、港区のワンルームマンション規制の内容は以下の通りとなっています。

 港区では、平成17年より「港区単身者向け共同住宅の建築及び管理に関する条例」を施行し、良質な単身者向け共同住宅の整備を促し、地域の生活環境の維持向上及び良好な近隣関係の形成に努めてまいりました。
 近年、区内において大規模かつ狭小な住戸からなる長屋の建設が見受けられるようになった状況を踏まえ、「港区単身者向け共同住宅等の建築及び管理に関する条例」及び「港区単身者向け共同住宅等の建築及び管理に関する条例施行規則」を改正し、「単身者向け長屋」を条例の対象に追加します。
・対象となる規模:住戸専用面積37平方メートル未満の住戸が7以上
・住戸の専用面積は25平方メートル以上としてください。ただし、商業地域(近隣商業地域は含みません。)は、総戸数の2分の1未満の戸数を20平方メートル以上とすることができます。
・総戸数(当該建築物の全ての住戸)が30戸以上の場合には、家族向け住戸(専用面積が50平方メートル以上)を次に定める戸数以上設置してください。
【商業地域(近隣商業地域は含みません。)】
29戸を超えた数の1割(端数切り上げ)に1を加えた数
【その他の地域】
29戸を超えた数の2割(端数切り上げ)に1を加えた数
引用元:港区HP「港区単身者向け共同住宅等の建築及び管理に関する条例」
(参考)長屋と共同住宅の違い

上記の例を参考にすると、総戸数40戸のマンションをワンルーム中心で企画しようとすると、商業地域では2戸だけをを50㎡以上にすれば良いという事になり、通常は最上階のワンフロアをファミリータイプにすれば、残り住戸は全て25㎡のワンルームで売り出すことができ、その規制内に収まるという事になります。要するに、規制自体もそれほど厳しくはないのです。

供給が少ないと言っているのが25㎡未満の1Rという事なら、業者の言う事に嘘ではないのでしょうが、このご時世、そんな牢屋みたいな1Rは誰も住みたがらないでしょう。(参考までに25㎡を切るような間取りだと、居室内ミニキッチン、収納無し、浴室も三点ユニットバスか風呂無しもしくはシャワールームといった感じです。)

あと、付け加えるのならば完成戸数が少ないのは、この1R規制のせいではなく、単純にマンション用地が仕入れられない(採算が取れない)だけです。(つまり売ったとしても物件価格自体割高にせざるを得ない。言い換えると投資家が満足できる利回りが確保できない価格=「買ったらアウト」という事です。)

引用元:全国賃貸新聞2021年08月14日
シェアハウス市場調査2021より

また、皆さんの記憶にも新しいと思いますが、不動産業者の資料改ざんや銀行不正融資で報道されて注目を集めたシェアハウスが無秩序に作られました。(「かぼちゃの馬車(シェアハウスブランド)」が有名ですね)
サブリース業者(売主)からの賃料の振り込みが途絶え、多額の負債を背負って物件を手放した所有者は数多くいましたが、当然、物件自体が消えた訳ではなく(実際の稼働率はともかく)未だに居住されています。

さすがに、問題が表面化されてこれらに関わった業者も営業停止処分を受けたり事業停止(転換)する等したことから2021年には完成物件数が減少に転じたものの、シェアハウスだけで全国5057棟の内、東京では3304棟(全体の7割)に上るというので、都内の供給が絞られているというのは全く的外れなのです。

更にダメ押しをすると、このコロナ禍で単身者がリモートワークに耐えられるだけの部屋選びをした結果、20㎡台の狭小ワンルームは不人気で敬遠されています(募集賃料を下げてようやく客が付く感じ)。

これでも皆さんは1Rマンションが優位性・希少性を有していると信じられるでしょうか?マンション(RC造・S造)の1R物件はアパート(主に木造)よりも居住性が高く、競合になり得ないという主張もできるかもしれませんが、コストを落とした賃貸仕様(共用部や室内設備がチープ)の1Rマンションがそれ程クオリティが高いとは言えず、アパートの供給過多による家賃下落の圧力から逃れられないでしょう。

この様な状況で業者がはじき出してきたユルユルの利回りを維持できるとも思えませんし、業者の利幅(という名の暴利)を抜いた後の1Rマンション投資の将来はかなり厳しいモノと心得ておいた方が良いでしょう。

アドセンスブログ用

スポンサーリンク



アドセンスブログ用

スポンサーリンク



-不動産

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ワクチン接種

港区情報 新型コロナウイルスのワクチン接種状況

港区の緑被率

みなオジが惚れたマンション設備【専有部編】

ジーマティック社のシステムキッチン 価格は高級外車が買えるくらい! 皆さんは、家探しの際には実際にモデルルームを見て、ある程度のイメージを持ってから契約に至ると思います。何千万円の買い物故に、失敗でき …

高層マンション群

だからタワーマンションは世間から叩かれる!?

皆さんが思うタワーマンション(以下、タワマン)はどんなイメージでしょうか?よく、戸建てorマンションどっちが良いか?という議論があり、良くお互いに相手の欠点を攻撃している不動産掲示板もあるようですが、 …

家は未来を変える

思い出語り~初めてのマンション購入③

前回までのあらすじ 前回の「初めてのマンション購入②」では、家探しを始めたみなオジが戸建からマンションへと物件の絞り込みを行う過程のアレコレを書きました。皆さんも家探しの時に、マンションor戸建が最初 …

no image

思い出語り~初めてのマンション購入(後日談)

前回までのあらすじ 前トピックの初めてのマンション購入③で、やっと購入までの話を終える事が出来ました。超初心者の思考パターンや購入時の心の揺らぎはお伝え出来たのではないかと思います。誰もが初心者という …

みなオジアバター

港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。