皆さんは、コロナウィルスの影響はどの程度ありますか?最近、各企業でボーナスカットやリストラのニュースばかりで気分が下がりますよね?景気は「気」なので、リストラニュースやコロナ感染者増加!みたいなニュースが続くと、更に先行きが見えなくなってしまうのではないかと危惧しています。
みなオジは不動産経営の調子はどうなんだよ?と、知り合いやお客さんからもよく聞かれます。やはり、不動産経営していると店子が夜逃げしたり、居直って家賃払わないなどのイメージがありますから、皆さん興味津々の様です。結論から言うと、みなオジはレジデンス専門でオフィステナントは保有していないので、不動産収入には全く影響がありません。半年経過しても、賃料の減額交渉はありませんので。まあ、あったとしても足元の住宅家賃相場は変わってないので、下げる根拠がないのですが。
また、みなオジの経営状況の心配と共に良く相談されるのが、「今って住宅買い時ですか?」「都心は終わりですか?郊外の物件探した方がいいですか」といった内容です。家探しは基本的に属人的な要素が強いので、その人のライフスタイルや資金力を総合判断して回答はしますが、今回は一般論としてのこれからの家探しのトレンドについて語っていきたいと思います。結論としては、今は様子見で良いでしょうが、長期的な視点で見ると「都心一極」の流れは影響しないと考えます。むしろ、東京都内でも「一等地」と「中途半端な立地」の間で勝ち負けが加速すると考えます。(個人的には、みなオジも都心物件の購入志向が強いので、できればコロナの影響で地方回帰の流れにいって、物件価格が下がってほしいなという希望はあるのですが…)この結論については客観的な根拠に基づくところと、みなオジの直感というか、経験則的なものが入り混じりますが気楽に読んでみてください。
目次
国内経済状況と不動産投資の先行き
不動産投資の先行きは国内の景気動向を無視しては語れません。2020年度4~6月期の国内総生産(GDP)は年率換算では27・8%減と、下落幅がリーマンショックの頃(2009年1~3月期の年率17・8%減)を上回り、日本経済に与えたインパクトは甚大なものになっています。(ちなみに11/16に内閣府から公表される2020年7-9月期実質GDPは、前期比3.8%(前期比年率16.1%)と4四半期ぶりのプラス成長になったと推計されるようですが、実感が湧きませんね)
私は学者ではないので深くは触れませんが、足元のバブル期の株価最高値を更新している経済状況と、リストラやボーナスカットが行われている現状の企業動向との乖離が、今後の予測を更に困難にさせます。この状況下でワクチンの開発状況と東京オリンピック開催の有無という変動要因があるので、今年~来年は先行きが見えないと考えています(そういう意味で、当分は「様子見」といっています)。では、不動産業界はどうかといえば、セグメント別でこれほどくっきりと明暗が分かれている業界も珍しいのではないかと思われますが、オフィス・ホテルの落ち込みと対照的に、物流は好調、住宅は今のところはほぼ影響が出ていません(投資・実需で多少差があると思いますが)。不動産経済研究所の9月の首都圏の販売状況の調査結果によると、「新築マンションの発売は5.0%増の2,477戸と2か月ぶりの増加。契約率も73.4%と好調」その反面「戸当たり5,812万円、㎡単価87.7万円と価格はいずれも下落」とありますので、購買意欲は変わらない(むしろ自粛期間開けで契約が加速)ものの、価格面ではやはり若干弱含み(昨年同月は戸当たり5,991万円)であったと読み取れます。ただし、価格については、昨年の消費増税からその傾向があったことから、コロナ禍による影響とは一概に言えないようです。
都心エリアからの人口流出は起こらない
ようやく本題に入りますが、新型コロナウィルスの影響でこれからの住宅探しはどのような変化があるでしょうか?冒頭で述べた通り、結論は「短期的には、郊外回帰のトレンドが生じるでしょうが、一過性のものでいずれは元に戻る」と考えます。実際に、企業はリモートワークを導入して、通勤は週1~3回という人も増えたと思います。また、これまで借りていたテナントを解約して、新たにいくつかサテライトオフィスを契約してどこでも働ける環境となりました。確かにこの様に考えれば、企業が集中する東京都心の近くに居を構える必要性はないでしょう。また、日常の買い物もネット通販を利用すれば、相当の辺境でない限りは不便な生活を強いられることはないでしょう。しかし、そうであっても、以下の理由から郊外回帰は浸透しないとみなオジは考えます。
理由1.人が郊外に分散しても、社会インフラは分散しない(できない)から
東京は戦後の荒廃から立ち直り50年以上も都心部を中心に開発が繰り返されました。六本木、新宿、丸の内、渋谷、赤坂、青山、品川といったターミナル駅を基点に世界でも随一の交通網が整備され、経済活動の中心として繁華街が形成され、ミシュランの3つ星店また美術館や演劇場、スポーツ施設、庭園などの文化施設、病院や学校などが作られました。この中には、戦火を免れた歴史的な建築物も含まれ、それらが融合することで世界でも3本の指に入る規模の大都市と評価されているのです。リモートワークの普及により、労働者の郊外への流出に合わせてこれらの施設が移動してくれれば良いのですが、これらの施設はおそらく移転することはありません。道路や水道、電気(送電線)、橋などの社会インフラであっても同様です。昨今、予算不足によりメンテナンス不備のインフラが引き起こす事故(トンネル崩落事故は記憶に新しいかと思います。)を多く聞きますが、社会インフラを各地に広げるような政策はもはやとれません。一度作られたインフラはその維持に莫大な費用を投じ続けなければなりません。高度経済成長機や人口増加時代ならともかく、現代の日本でインフラ設備を分散させることは現実的とは言えません。結局のところ、転居先が辺鄙な場所であればあるほど、公共サービスの質は低下することを意味するのです。これは、都心に住んでいる人であればある程気が付かないものなんです。そのため、多くの人は、それでもかまわない、許容できる範囲だと考えてしまいがちなのですが、いざという時、そのデメリットは無視できないものになってしまうのです。若い頃は病院が無くても問題ありませんが、高齢者がいる家庭や、自分自身も年を重ねるにつれて大きな病院のありがたさが身に染みることでしょう。運よく近くにあったとしても市民病院も診療時間が短縮され、土日・夜間受け入れが中止され、ひどい場合は病床そのものも減らされ、診療所に格下げされるかもしれません。通院や、入院付き添いの都度隣町の病院に行かざるを得なくなる可能性もあるでしょう。病院だけでなく、子供の学校も統廃合のあおりを受けるでしょうし、警察署や交番の統廃合に至っては、犯罪があっても警官の到着までに30分以上時間がかかるなんてこともあるかもしれません。自治体は水道事業など公共サービスを民間に委託するという決定を行っていますが、質の高い民間サービスを享受させるためというのは建前に過ぎず、自治体の財源不測で義務の法規ともいえるものなのです。実際、民間委託により非常に高い水道代を請求され問題になっているケースもあるのです。
つまり、どんなに働く環境のリモート化が進もうと、人は日常の生活無くして生きて行けない訳で、全ての人にとって郊外への転居がベストチョイスとなるわけではないのです。
郊外移転の失敗例
安易な郊外移転の失敗例を一つ挙げましょう。都心部で不動産がバブルにより高騰した際に、都心に校舎を構えていた大学がコスト削減の一環と他校との差別化で校舎を郊外に移転し、自然豊で広いキャンバスライフを売りに生徒を集めようという動きがありました。しかし、大学側の目論見は外れ、受験者はほかの大学に流れました。(特に地方から上京する学生は、都会にあこがれを持って進学するという側面もあるわけですし、わざわざ郊外の大学を選ぶ動機が働きませんよね?)結果として、その大学の人気は回復することはなく、都心に校舎を戻すことを余儀なくされました。この事例は安易に拠点を郊外に移すことのリスクを教訓として与えてくれました。
都心回帰は繰り返す?
人は悲しいかな、非常に忘れやすい生き物です。東日本大震災であれだけ湾岸エリアの液状化に大騒ぎし、豊洲新市場の土壌汚染問題の際にはこんなところは人が住むところではない等色々な風評を書き立てられましたが、豊洲や有明は今、史上最高値で取引されています。また、昨年の大雨で武蔵小杉タワーマンションが機能不全になったと報道され、これにより近隣エリアの取引価格が落ち込む結果になりました。おそらく、これも時間の経過とともに人々の記憶から中古物件の取引が活気を得るのでしょう。
流行りものに弱い日本人
あれだけ話題になったオンライン飲み会もすっかり過去のものとなっています。結局のところ、リアルな肉体を持つ人間は、情報の様にオンラインの世界だけでは生きていけないのです。ニュースではリモートワークのトレンドに田舎暮らしのメリットの一面だけを切り取って、安易に引越しを助長させるものもあります。不況のたびにIターン就職や海外移住を勧める企画もありましたが、成功例ばかりではなく、万人にマッチするものではないことは明らかです。これを機に田舎暮らしをスタートすることを否定するものでは全くありませんが、間違っても今のお住まいを売却して(退路を断つような)移住をしないようにしてほしいと思います。いつ企業が方針転換をするかわかりませんし、トライアルの方法としては「二拠点居住」という手段もありますし、しばらくは様子をみるのも良いかもしれません。
理由2.公共交通機関のサービス低下による弊害
皆さんは、電車などの公共交通の終電時間の切り上げのニュースを見ましたか?公共交通機関が時短運航するのは経営の合理化の都合上避けられない事だと思います。今は、現状の終電時刻から20~40分の切り上げに留まっていますが、終電時間切り上げの流れが、今後更に加速した場合、都心と郊外の物理的な距離は更に広がります。人は回数は減ったとしても会社に通勤する日が全くゼロにできるわけでもありません。また、理由1.で挙げたように、野球観戦をしたり、おいしいディナーを食べたい、彼女とデートしたいと思っても、終電が夜9時で果たして楽しめるでしょうか?
ちなみにみなオジ自身も終電が更に早まるようであれば、終電の混雑の時間帯が増え、混雑率も激化が予想できる事から、感染予防的にも都心から徒歩や歩きで済ませることができる今よりも更に便利な都心の立地を狙っていきます。
売り手の状況から分析してみよう
ここまでは、購入側の心理面にスポットを当てて話をしました。しかし、不動産は買主の都合だけでは動きません。当然売主の動向も大きく影響しますので、売主(都心物件所有者)はどのように、この状況を見ているかを説明します。
まず、先程も言ったように、リモートワークの推進から都心からの流出があるのではという予測は容易な為、都心の売り物件が多数出る(しかも格安で!)という期待を持った人も多かったのではないでしょうか。また、飲食店な度を営む個人事業主の資金繰りが厳しくなり、所有する住居のローン負担が重く、手放さざるを得ないという予想をされる人もいるかと思います。結果、都心物件は供給過多になり、買い手有利となるのではないかと踏んでいる人も多いかと思います。しかし、結論から言えば、その様な事はならないでしょうし、実際その様にはなりませんでした。(一定数はそのような理由の売り物件が出たことは否めませんが)
住居が投げ売りされない理由① 売却の前に他の救済策を利用するから
その理由としては、まず、住宅ローンの支払いが苦しくなった場合は、金融機関に相談して、支払いの猶予や支払条件の見直しに応じてくれる仕組みがあるからです。(参考:SUUMOジャーナル:弁済猶予の救済策、住宅金融支援機構HP:返済にお困りの方へのお知らせ)銀行によっては、一定期間は利払いのみでOKとしてくれるところもあります。また、現居を処分したとして生活の拠点となる住居は別に必要となることから、多くの場合、売却は最終手段となります。
住居が投げ売りされない理由② 住宅は理論的に安売りできないから
投資用物件とは異なり実需の不動産は、安売りされる可能性が低いです。なぜなら、これらの物件は住宅ローンで借りているので、売却する際に残債を下回る価格で売るという動機が働かないからといえます。なぜなら、売却の際は購入金額をローンの残債に充ててその家に付けられている担保(抵当権)を外さなくてはいけないからです。例えばローン残債が7,800万円残っている状況で、経営している事業の運転資金に充てようと、売り急いで相場価格(8,500万円)より低い8,300万円を売り出し価格に設定したとします。ここで買主が8,000万円での指値をいれたとしても、仲介手数料、譲渡にかかる税金、転居にかかる費用(引越代、敷金、礼金、先払い家賃)が発生する結果、売り手の手元にはほとんど残らないため、それであれば、上述の新型コロナウィルスの緊急対策融資を使おうかとなってしまいます。
この様な理由で、懐具合が苦しいケースであっても価格交渉が難しいのです。また、住宅ローンは他の事業用ローン(不動産投資ローンも含む)よりも低金利であるため、資産売却の優先順位は低いのです。
これらの理由から、都心の実需用物件が割安に大量供給されるという見込みは低いと言えるのではないでしょうか。また、みなオジの予想以上に価格の下落が生じたとしても、不動産ブローカーがリーマンショックの経験を活かし、頃合いを見計らって安く売り出された不動産を買い漁っていくので、今回のコロナショックではリーマンショック以上の下落は起きないのではないかとも言われています(株価も戻すどころか、11月時点で最高値更新ですからね)。
これからの住まい探しのポイント
これからの住まい探しのポイントは何に重点を置くべきでしょうか。不幸にも住居購入のタイミングと新型コロナウィルス流行のタイミングが同時期になってしまった場合でも、再度の生活様式の変化(通常出勤が解禁)の際に、その時の価値観で購入してしまった不動産が元で身動きが取れない状況に陥らないよう、都心であっても郊外であっても「駅近物件などの価格維持率の良い手離れの良い物件」を厳選する必要があると思います(この様な状況下でも、物件選びの基準は売りやすい、貸しやすいという点で変わりません)。
有象無象の情報に踊らされない
コロナ禍の中家探しをしている人なら、「郊外物件が人気」等と言う企画記事風のニュースを一度は見た事でしょう。過去のトピック(マンション抽選会の思い出)で触れましたが、この様な情報は「誰かを誘導したい」、「誰かに興味を持って欲しい」という目的を隠しつつ、ニュースや専門家の意見と称してに混ぜて発信しているのです。むやみにパニックを煽って物件を売らせようとしたりするのも同じ手法です。自分にとって都合の良い記事ばかりを追いかけるのではなく、色々な情報に触れながら、真実を探していく必要があるでしょう。
焦らずに、来るべき日に備える
また、以前のトピック(住宅ローンについて語ってみる(後編)アフターコロナの取引環境)についてでも書きましたが、給与が下がっている世帯については、来年以降改善する見込みがないのであれば、「しばらく様子を見る」のも良いかと思います(減収前の給与ベースで住宅ローンの審査を通したい気持ちはわかりますが)。収入が減る分、融資の上限は下がりますが、その間マイカーローンの返済やリボ払いを一括返済する等して、減収分の与信を補完する方向に向けるのが良いかと思います。そのために一時期的に奥さんにパートを増やしてもらうとか、副業を模索する等の情報収集するのも良いでしょう。ちなみに、フラット35でローンを組もうと考えている場合は、専門的なスキル(資格を)有しており、転職先の職務内容が前職と同じかつ給与を上げることができるのであれば、転職という手段もありでしょう。転職前の給与と転職後の給与をつなげて審査してもらう事で給与減をカバーすることも可能ですが、転職初年度はボーナスが満額出ないなど、見込年収を割り込む可能性もありますので注意が必要です!
実際にみなオジが購入する際は金融機関から履歴書みたいなものの記載を求められ、その書面に職歴と所有資格を記載して(ついでに資格証明書も添付して)審査に出したことがあります。一等地以外の不動産は都内であっても下がる可能性ありますし、コロナ禍で一次取得者層の購買力が総じて減少していることから、来年以降、各デベロッパーの売り出し価格も弱気に転じる可能性はあります。
最後に
今回はアフターコロナの家探しというテーマでみなオジが思うところを書いていきました。今後の株価やコロナの再流行等で景気が読めない状況ですので、しばらくは様子を見て無理のない家探しをしてほしいと思います。