お金・仕事

会社を辞めたくなったら…

投稿日:2020年12月23日 更新日:

長いサラリーマン人生、皆さんは会社を辞めたいと思ったことはないでしょうか?このトピックでは、会社の人間関係に悩んでいる人、薄給・長時間労働等の労働条件に悩んでいる人、会社の将来に漠然と不安を持っている人に読んで欲しいと思い、記載してみました。

みなオジはジョブホッパー

みなオジは、元来我慢強い方で物事を途中で投げ出したことはあまりない方なのですが、仕事についてはあまり長続きしたことはありません。6年くらい勤めたのが最長記録です。自分の中で色々とその原因を考えてみたのですが、やはり新卒で入った会社が内定後に潰れかけて、1年目でよくわからない外資系に飲み込まれ、2年目で部署ごとリストラされて早期退職に応募してしまったからというのが大きいでしょう。続いているものは継続していたいという気持ちが強いのですが、中途半端に一度切れてしまった職歴は、長く維持させる意義を見出せなくなってしまった、という感じです。(「生え抜き」って存在も理屈なく尊いものに感じませんか?)

一度転職すると、癖になるが…

もちろん、意味もなく会社を辞めることはしませんでしたが、今より良い条件であったり、自分の成長が見込める求人があると、無性にそこに飛び込んでいきたくなるのです。よくも悪くもハードルが低くなってしまったという感じでしょうか。そもそも、正社員以外の身分で働いていた時は、ずっとその会社にいるイメージがどうしてもつきません。自分は計算高いのか、疑い深いのか分かりませんが、10年後いるかいないかわからない会社に、全てを捧げたいとは到底思えないのです。社会人2年目のピュア(?!)な時に、リストラをされたという経験も、無意識に影響したのかもしれません。

以前、他のトピック「働き方考察(後編)」で記載した通り、メンバーシップ型雇用からジョブ型の働き方へ転換するのは間違いないので、「(長く1社に)在籍することで得られる恩恵」よりも「失われるスキル獲得の機会」が多いのならば、いっその事と思って転職をすることが多かったかと思います。

ジョブ型雇用とは…「ジョブ」を通じた「会社と個人の対等な取引」が根本的な理念となる雇用制度システム。価値創造型人材、つまり、その会社のみならず、自分は何ができるかをきちんとアピールできることが重要である。報酬も、年齢や在籍年数ではなく、業務内容(のレベル)により、変動することになる。簡単に言えば、社員一人一人が個人事業主として、パフォーマンスそのものを売り物にしていく働き方といえる。

この様に、さも転職に前向きな理由を付けて、自分がとても華麗な転身を遂げたように美辞麗句を並べましたが…そんなみなオジもカッコいい理由ではなく、単に会社を見る目が無く失敗転職をし、「辞めたい…できるなら、明日にでも辞めたい。」と、死んだ魚の様な目で生きていたことがあります。

辞めるべきか、辞めざるべきか

その時は、ジョブ型とかスキルアップとかの理論はさておき、耐えることなく辞めました。人によっては「石の上にも3年だよ」とか、「ストレス耐性が無いだけだろう」とか思われる方もいるかもしれません。もちろん、すぐやめることによるデメリットは無いとは言いませんが、ストレスで心を削りながら仕事をしたところで予後は期待できません。生活の糧、生き甲斐や自己成長を得るべき手段として仕事があるにすぎず、仕事で消耗したり、不幸になるのは本末転倒です。あなたに知った風に忠告する人は、そもそもあなたとは環境が異なる人です。また、これまでの習慣や常識が今後も続くという保証もありませんから、狭い常識論を振りかざすのは人を攻撃するのは違うのではないかと考えています。ちなみにみなオジは、自分の中で客観的に「辞めて良い会社の基準」を置いていて、それに沿って実際に行動に移してきました。基本的には転職をして給与や職務内容も上がっていきましたが、みなオジも決して全ての転職で成功した訳ではなく、中には見抜くことが出来ずに本当にヤバイ会社を引き当てた事もありました。転職はリスクが付きものですので、今勤めている会社に「愛することができる点」が1つでもあるのならば、思いとどまるのも一計です。だって、人間と同じで完璧な会社なんてないのですから。

レベル別「辞めるべき会社リスト」

みなオジは退職代行の依頼を受けた事はありませんが、司法書士の仕事柄、労働事件に関する相談を受けたことがあります。それがきっかけで、世の中にはいろいろな会社が存在することを知りました。私が所属した会社がホワイト企業に感じるくらいの会社もありました。皆さんも「会社なのだからしっかり(法を遵守)しているだろう」という幻想は捨てるべきでしょう。人に助言をする上で、自分の経験と、人からの相談を経験した中で「辞めるべき緊急度が高い会社」を挙げてみました(上から順にやばいレベルです)。Ⅰ.に関しては言語道断なので、いうまでもありませんね。Ⅱ.のレベルの会社ですと、もしかすると給与面ではそこそこ満足できる水準かも知れません。しかし、みなオジの価値観はお金<時間(人生)です。短期的なお金につられて、もっと大切なものを無くすことが無いように見極めるべきです。

Ⅰ.一刻も早く去るべき会社
①違法(不当)なサービスを提供している会社
②パワハラ・セクハラが横行する会社
③支給すべき残業代が支払われない(労働基準法などの遵法意識が低い)会社
④給与遅配の会社(経営状況が悪い会社)
Ⅱ.速やかに脱出すべく、様子を伺うべき会社
①通常の努力では、達成できないと思われるノルマが課され、かつ、ノルマを達成しないと厳しい叱責を受けもしくは最低限の生活水準も維持できない給与形態の会社会社
②長時間労働が常態化している会社(仕事が好き、残業が苦にならない等の特段の事由があれば別)
③給料が5年以上上がっていない会社
Ⅲ.資格取得など自身のスキルアップを行い、転職準備を行うべき会社
①業界的に斜陽である会社、業績が悪い(例:大手であっても3期連続赤字等)会社
②新たに覚える仕事がない(変化がない)、社内外で尊敬もしくは頼ることができる人間がいない会社

Ⅲ.についても、基本的には長く留まるべきではないのですが、給与が良い時間に余裕がある副業が認められるなどのメリットがあれば、それらを活かして自身のスキルアップに充てるというのもありかと思います。とにかく、人生は一度きりで、成長できる期間も多くはありません。成長力のピークはもちろん20~30代の柔軟な時期ですが、それ以上に自己投資の回収期間も若ければ若いほど長い事を意識すべきでしょう。あなたがサラリーマンであれば、極論、一番市場価値の高い40代にⅠ~Ⅲの会社から脱出できていれば、それまでの転職の多さの不利は十分取り返せるのです。貴重な20代を上記Ⅰ~Ⅲの会社で消耗するなんて、本当に勿体無いと思います。

求人情報と実際の労働条件が異なる会社

転職にまつわるエピソードを一つ挙げましょう。20代の頃、みなオジが中途採用で内定を受けた企業がありました。結局、その会社には入社しなかったので、上記のⅠ~Ⅲの基準に該当するかどうかは分かりませんでしたが、求人票の内容と内定後の説明であまりにも隔たりがありました。聞けば、始業時間は8:30だが全社員「自発的」に7時に出社して、そして始業時間までの間に社内の清掃、ミーティングを行っていますとのことでした。夜は大体21時くらいに通常業務を終わらせて、その後その日の業務報告と翌日の予定を上司に伝え、その後は営業トークのロールプレイを「自発的」に行って、やっと帰社するというものでした。当然、平日がこんな感じですから、休日も当然のごとく出社する社員がいるという事でした。別に、朝7時に出社するのも夜中にロールプレイも良いですが、①その間の残業代も不支給②不支給の理由が「自発的」出社だからというよくわからない理屈③そのことを内定後にしれっと言う、という悪質さから、出社日直前ではありましたが、内定をお断りさせていただいた経験があります。詳しくは聞きませんでしたが、ボーナス支給などのその他の条件も怪しいものです。1つ騙す相手は、それ以外にも嘘をついていたり、不告知の事実があると考えて良いでしょう。そのように、応募者・社員をだます気満々の会社が、世の中には普通にあるのです。

このエピソードから学んだこと

この会社は腹立たしいエピソードとともに、みなオジの記憶に残っていますが、(直前とはいえ)先に言っておいてくれただけ、まだマシです。結局こんな会社しか当時の私にはお声が掛からなかったわけで、スキルや職歴の低い人ほど転職を重ねてしまうという典型的なドツボにハマった状態です。こんな連鎖から逃れるためには、スキル(資格)を身に付けるか、求人情報に常にアンテナを張り、良い職歴の土台を作る機会を逃さない事です。

だから、就職活動はきちんとやろう

別にみなオジは転職を勧めているわけではありません。できれば自分だって貴重な「新卒カード」を良い企業に使いたかった。でも、若い時に自分の若さの貴重さに気付ける人間がいないように、「新卒カード」がどれだけ凄いカードかを知ることができるのは、「新卒カード」が期限切れとなった後の転職活動の時なんですよね。だからこそ、就職活動は全力で行うべきだったし、在学中をただ遊んで過ごすのではなく、業界研究、自分の適正の発見や自己啓発に使うべきでした。

辞めたいけどやめられない人へ

誰が見てもできるだけ早く脱出すべき会社であれば、「転職」という選択肢も取りやすいでしょう。しかし、現実には生活(お金)のこと、より良い転職先が見つかるかどうか、辞めることで誰かに迷惑をかけるのではないか、これらのことを考えると、その一歩を踏み出せない人もいるのではないでしょうか。何より会社という閉鎖的な空間にいると、辞める自分自身に「問題がある」、「弱い」のではないかと責める人もいるかもしれません。でも人生は一度切りです。そもそも、上記に挙げたような問題のある会社なのであれば、茹でガエルの様にじっと我慢しても状況が好転する見込みは低いのでは?それでも、自分や家族の幸せを考えて、転職(脱出)を失敗させないためにも、不安な項目毎に対応方法を記載したいと思います。

お金の不安

本来生活の為に仕事をしているのですから、辞める際は資金面の憂いはできるだけ取り除いた方が良いでしょう。そのための対応を記載しましょう。

当面の生活費を確保する事

理想形は転職先を決めてからの退職ですが、転職活動に回す時間がないほど消耗させられる会社があることもまた事実です。この場合は、とにかく目先の生活費を確保する事です。目安としては1年分の資金のゆとりを持ちましょう。まずは、自身の月の生活費の収支を把握する事から始めてください。通常の転職活動をしていれば、1年を待たず転職先が決まるかもしれませんが、焦って同じようなブラック企業に入ってしまっては元も子もありませんので、多少ゆとりを持った方が良いでしょう。また、会社によっては寮付きという事もあるでしょうから、先に居住先の確保もしておくべきでしょう。これらの順番を間違うと仕事と住居の二つを一気に失う恐れがあり、今後の転職活動に多大な影響が出てくる恐れがあります。

「会社都合退職」とする事

会社を退職した場合は、雇用保険から失業手当が給付されます。しかし、倒産等によらない通常の退職では「自己都合退職」となります。自己都合退職の場合は3ヶ月間の「受給制限」つまり、失業手当の待期期間がありますので手元の資金が退職月の翌月から減少してくことになります。しかし、自己都合による退職でも「長時間残業」「給料の減額、未払い」「採用時に提示された条件と実際の労働条件が異なる」「セクハラ、パワハラ」があった場合は、「特定理由離職者」に該当し会社都合による退職と扱われることになります。「長時間労働」を例に挙げると、離職の直前 6 か月間のうちに 3 月連続して 45 時間、1 月で 100 時間又は 2~6 月平均で月 80 時間を超える時間外労働があれば、適用されますのでその条件を満たしたタイミングで退職を申し出ることで特定理由とすることが可能です。また、通常、その様な会社では残業代の支給もされていないもしくは一部しか支払われないと思われますので、その場合でも「給料の減額、未払い」という項目で適用可能でしょう。また、可能であれば未払いの残業代の請求を元の職場にしても良いでしょう。その際は、タイムカードやその他の証拠の確保を忘れないように。

皆さんの中には、会社都合退職となることへの不安がある方も多いかもしれませんが、これらの都合がネガティブに取られることはありません。もし、転職時の面接でこれらをネガティブに捉える事業者があるならば、その事業者自体が同じだという確固たる証明になりますので、むしろ先方から避けてくれて一石二鳥と考えましょう。

会社を辞める事へのうしろめたさ

一つだけ言えることは、あなたと会社は運命共同体ではないという事です。長く務めていれば、その分愛着も湧くでしょうし、転職することについてのうしろめたさもあるでしょう。しかし、今の環境がベストではない以上、新たなステップに進むことは避けることができないのです。

退職届を受理してもらえない場合

あなたが優秀な場合、もしくはそうではなくてもブラック企業であれば社員の出入りが激しいので、長年勤めたあなたの転職を阻止しようとするかもしれません。また、就業規則で必要以上に長い通知期間を置いている会社もあるかもしれませんし、転職先が決まって出社日があるにもかかわらず、引継ぎ相手の確保ができるまでと中々退職に応じてくれないかもしれません。基本的に雇用期間の定めのない正社員であれば、民法の「雇用」の規則が優先されますので、仮に就業規則で3か月前に退職を申し出る事としていても、解約の申入れの日から「2週間を経過することで」(民法627条)退職することが可能です。もちろん、お互いに迷惑にならない程度に節度を持って退職時期の交渉を進めるべきですが、これらの会社の性質上こじれることが多いので慎重に進めることが大切です。また、会社によっては退職金の減額・不支給に影響する場合がありますので、事前に確認することも重要でしょう(が、ブラック企業でそれ程多くの退職金が用意されているとも思えませんので、少額の退職金であれば「いらんわ」と割り切って退職時期を早めることに重きを置いても良いかもしれません)。

必要に応じて、退職代行サービスを検討する

個人的には利用したことはないですが、パワハラ・セクハラで傷ついた場合は、第3者に頼るというのも必要でしょう。認定司法書士であれば、退職代行の交渉に加え、140万円以下の残業代の支払い交渉も会社と行う事ができます。退職代行を利用するという事は、当事者の信頼関係が相当程度に失われているという事でしょうから、併せて残業代まで請求することもある意味合理的な選択かもしれません。

転職は諸刃の剣か?

転職は後先考えずに行うものではありませんが、このご時世、決断をしなければならない場合も多く、その際はスピード感とその後の行動力が必要になってきます。また退職・転職を行う上での事前準備についても、一応、経験豊富なジョブホッパー(兼、法律専門家)としてアドバイスさせていただきました。何より、そもそも、転職をしなくても良い様に、悔いのない就活をすることが最大の対応策といえます。もし、まだ悩んでいる場合は、今の会社を辞めるかは考えず、転職活動をし、自分の履歴書・職務経歴書を作成し、自らの市場価値の棚卸をしたうえで、面接などをしてみても良いかもしれません。その結果、橋にも棒にもかからなければ、今の会社でまだまだ修行が必要とマインドセットするきっかけにもなりますし、自分に足りない能力を認識することもできるでしょう。また、あなたがまだ若い(20代)であれば、異業種・未経験職種という線で可能性を見出せる可能性もあるのではないでしょうか?自分の能力を決めつけずに、色々な可能性を模索し、打ち込める何かを見つけたならば、それに向けて挑戦して欲しいと思います。

また、退職の延長線は「転職」だけではなく「起業」という選択肢もあるでしょう。その選択肢が広がるように皆さんも日々準備を怠らずに自己研鑽をしていただきたいと思います。

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港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。