お金・仕事 不動産

ワーケーションとリゾートマンション

投稿日:2021年1月18日 更新日:

新型コロナウィルスの影響で、リモートワークという選択肢が増えたことは「借りて住みたい街ランキング」って何?リモートワークについて思う事で記載しました。リモートワークがこれまでの出勤スタイルに完全に取って代わるかという事についても言及しましたが、個人的には、「人は恐ろしいほど忘れやすい生き物」と疑わないみなオジは、リモートワークはあくまでも選択肢の一つに過ぎないのではと考えています。「借りて住みたいランキング」という、変わり種ランキングも、今ならではの企画かなと感じます。在庫一掃セールというのはどぎつい言い方かもしれませんが、これまで都心回帰の潮流でじり貧だった地方の賃貸住宅市況に一筋の光が射したといっても言い過ぎではないのかなと思います。(とはいえみなオジ的には、郊外への流出は、リモートワーク云々ではなく、単に収入減から都内の生活コストが捻出できない人々の一時的撤退だと思っていますが)

在庫一斉セールといえば、皆さんはバブルの頃のスキーリゾート開発をご存知でしょうか?映画「私をスキーに連れてって」(1987年)で、スキー場直結のリゾートホテル、いいなーと子供ながらに観ていました。苗場や白馬、湯沢など日本各地でスキー場開発が行われていました。当時、子供だったみなオジも、よくホテルに泊りがけでスキーに行ったものです。東京等の雪の降らない地域からも深夜バスや新幹線などで1シーズンに何度も楽しんだ人も多い事でしょう。

この前も、ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」でバブル崩壊後打ち捨てられていた「リゾマン」に再び脚光? ワーケーションで人を呼び込め!という特集が組まれていました。「借りて住みたい街ランキング」って何?では、神奈川の本厚木、千葉の姉ヶ崎等言っても、1時間30分くらいの郊外が賃貸問い合わせ上位に来ているというものでしたが、リゾートマンションとなると、これらとはまた全然レベルが違います。ここで、リゾートマンション略して「リゾマン」を知らない人に簡単に説明しましょう。

リゾマンとは?

スキーを楽しむために、スキー場に隣接した立地に建てられたマンション。居住用ではなく、冬場の別荘として富裕層を中心に購入された。多くは投機対象にされ、バブルと相まって価格も東京郊外のマンション価格と変わらない水準で売られていたが、当時は飛ぶように売れていた。リゾートマンションならではのセールスポイントもあり、高級物件ともなると温泉(大浴場)やカラオケ施設が共有部として備え付けられていた。

しかし、バブル崩壊、スキーブームの終焉と共に、マンション価格が大きく下落し、現在では50~100万円でまさに「投げ売り」されているものも多いです。上記の温泉施設の維持管理にも多額の費用が掛かることから、買い手が付かず、管理費の滞納で管理状態も悪くなり、廃墟状態になっている物件もあるようです。タダ同然の売り出し価格でも買い手がつかないなんてこともザラにあります。なぜなら、固定資産税や管理費で年に数十万円の費用が掛かることから、売主によっては、まさに負の遺産(“負”動産)。お金を払ってでも買って(引き取って)もらいたいのでしょう。

しかし、しかし、新型コロナウィルスの影響でこのリゾマンにも光が差すのではないかといわれています(マジか?)。確かに、理屈としては筋が通っています。仮に、夫婦ともにリモートワークが認められていて、かつ、現在の住居が持ち家ならば、10万円の格安リゾマンを購入し、年に50万円くらいの管理費を払い、現居を賃貸に出せば、(家のスペックにもよりますが)おそらく利益が出るでしょう。また、生活も自然に囲まれ、(使えるかどうか分かりませんが)仕事終わりに温泉につかって疲れを癒すなど、生活の質も上がるかもしれません。ウインタースポーツが好きならば、もう言う事なしでしょう!

リゾマンのデメリット

ランニングコストの重さ

仮に諸経費含め100万円で譲ってもらったとしても、月の管理費が30,000円、修繕積立金が20,000円、これにプラスして固定資産税の負担が毎年掛かってきます。不動産に詳しい方は「辺境の不動産なんて資産価値(課税標準価額)が土地 30万円(家屋 20万円)に満たない場合には、固定資産税は課税されないですよね?」と思われるでしょうが、リゾートマンション等で区分所有されている家屋及びその共有土地、を所有している場合は、持分の割合によって按分するので、この額未満でもガッツリ課税されます。(まあ、自治体も管轄内の不動産の廃墟化に懸念を抱いているのなら、そういった規制を条例などで修正するくらいの努力はすべきだと思うのですがね)

そして、ダラダラと老朽化が進み、管理組合から恐怖の大規模修繕の「一時金」の請求が来ることになるのです。

資産価値の低さ

そして、リゾマンの最大の弱点は資産価値の低さ、また換価性の低さです。通常安い物件であれば、流通に乗せやすい、つまり売りやすいと言えるのですが、もれなく年間の維持費(ランニングコスト)が付いてくる不動産については、これが重い足かせになってしまうのです。

みなオジは、ブログ内で今まで「不動産は、安さこそ正義!」という主張をしていますし、これからもこの主張は変わらないと思います。どんなに間取りがアレでも、駅距離があっても、売却額の暴力でいか様にも買主側を蹂躙できるのです!しかし、いかんともしがたいのは、毎月、無機的に引き落とされるランニングコストの恐怖は売却額のマジックではごまかしきれないのです。

リゾマンのデメリットをメリットに転換する唯一のケースは?(夢、語ってます)

みなオジもこの「リゾートマンション」を買主側にポジティブに伝えることは困難を極めますが、ここで逆転の発想でフォローしてみましょうか。低い換価性は自分が一生そこに住むという覚悟があるのならば、リスクが顕在化されることがありません。またブッ飛んだ発想ですが、ここに一生住むという覚悟を盾にこのマンション管理会社を立ち上げ、この物件の管理を担当するというのはどうでしょう?(もはや罰ゲームの類かもしれませんが…)自身は住み込み(人件費は手弁当)で管理できるので、管理コストが抑えられたうえに前任の管理会社の管理費委託料が(管理会社としての)自分に毎月入ることになります。物件と運命を共にするという覚悟で管理業務に当たれば、滞納管理費の回収率も向上するかもしれませんし(但し、非弁行為には注意)、管理費滞納の物件の所有権を買取請求したり、管理費を被担保債権として差押さえする等して、管理組合の議決権を建替え決議に必要な数までかき集めたところで、管理会社兼理事長の権限(と区分所有者としての多数議決権者)を極めて、そのリゾマンを再生するという(悪)夢のプランが実現するかもしれません。悪ノリではなく、地方創生活動にも通じており、結構面白いのではないかなと思いますがどうでしょうか?

不思議なもので、これらの活動を個人ではなく、会社規模でやると「デベロッパー」と呼ばれるわけですが、二束三文のリゾマンなら個人規模でできてしまうのではないかな~と淡い期待を持ったわけです。でも、廃墟まっしぐらのリゾマンを見事に再生させたら、地元の英雄になれるのではないでしょうか?

在宅勤務は追い風と言えるが…

賛否両論あるでしょうが、郊外や超郊外の物件は、リモートワーク(在宅勤務)の発達によって間違いなく追い風にはなるでしょう。特に、都心にない魅力(敷地・専有部分の広さ、特殊な共用施設、周辺環境)を明確に有するものの、職住近接のあおりで物件の魅力が埋没していた物件は再評価されることでしょう。

また、ワークライフバランス等の多様性の尊重や一律的な生き方に縛られない新たなライフスタイルの提案が活発な今、仕事と趣味を両立させる「ワーケーション」という言葉ももてはやされています。「職場(オフィス)」という縛りから距離を置くこによって、会社への過剰依存を防ぐ事についても一定の効果が見込めるかもしれません。

しかしそれでも、リゾート地(山・海)公共交通機関の恩恵が薄い物件は障害が多いでしょう。例えば、自分たちは問題なくてもそれ以外の家族の生活は?(子供の学校、高齢者の病院)田舎の洗礼(おおらか・のどかな反面、異常なまでの干渉(隣人との距離感)や村八分等の面倒な人間関係が残っています。(コロナ狩りで年末の家族の帰省を阻まれた家族が田舎程多いという事実がそれを物語っています。)

また、リモートワークが終わったら?豪雪、老後はどうやって暮らす?等、今が良ければよい(一過性の流行りに乗ってみた)といった刹那的な感覚では、まさに「宴のあと」になった後に、古びた田舎の一軒家で茫然となって佇む姿が目に浮かびます。

まとめ

久しぶりに暴走気味の意見をまき散らしましたが、結局のところ「どこに住むか」という事自体には正解というものは無く(一人ひとりが個別に最適解を持っている、とみなオジは考えます)、どのような環境の変化があっても、柔軟に対応できる拠点と自身の行動力が、今後の住まい探しの重要なカギになると考えています。

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港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。