不動産

マンション座談会に参加してみた①

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先日、とあるマンション企画の座談会に参加してきました。座談会の様子は守秘義務上の問題で詳細にはお伝えしませんが、テーマは、コロナウイルスで行動様式に変容を強いられる状況下で、人は住空間に何を求めており、マンションはWithコロナの中でどのように変化すべきかについてでした。コロナウイルスにより生活様式の変化しましたが、住環境もそれに見合った性能を備えなければ時代に取り残されてしまうという危機感を持って様々な今後販売予定のマンションのコンセプトワークを検討しているようでした。

主催はとあるマンションデベロッパーと住宅設備メーカーの共同開催でした。未曾有の環境変化によって、住宅に対する消費者のニーズも変化しており、実際に昨年のコロナ禍から戸建の需要が増えていることを受けて、供給側も焦りがあるのかもしれません。

座談会の様子について

参加当日

場所は都内某所のビルの一室、事前に場所を指定され集合しました。もちろん、いきなりモニターに指名されたわけではなく、過去のアンケートを基にモニター募集の連絡があり、スケジュールが合うか、今回の座談会の対象者に合致しているか(つまり、有意義な意見を聞ける対象)を確認された上で、モニターに指名されたという感じです。服装は土日という事もあり、参加者それぞれという感じでラフな格好が多かったですね。(そもそも服装の指定ないし。)

座談会の内容

事前には「住まいに関する座談会」とザックリとした事のみ聞かされており、詳細はまったく知らされていません。ただ、企画主は○○ですと聞いていましたし、電話でのヒアリングでいくつか質問されていたのでそれらを合わせれば何となく察することが出来ました。

現地到着後

現地に到着すると、既に主催者と他のモニター数人が集まっています。モニターの年齢は20~40代くらいですが、共通するのは「マンションに住んでいる」という事と「子持ち既婚者で(自営・サラリーマンは問わない)有職者」という感じでした。まあ、お互い初見ですから、特に話すことも無く座談会開始まで、事前アンケート等を記載しながら待ちます。(知り合いがいると、逆にバイアスが掛かって中立な意見が採れないでしょう。)

座談会開始~終わりまで

最初はインタビューアを含め、モニターが簡単な自己紹介(住所、仕事内容、家族構成、趣味)をします。自己紹介の中で自宅の間取りを聞かれ、自宅の満足度、平日・休日の過ごし方を回答しました。まあ、意味のある質問もありそうですが、大半は参加者の緊張をほぐす目的のアイスブレイクでした。)

特筆すべきは、住んでいる住所によって価値観に類似性がある事でした。23区内でも都境に住んでいるモニターは日々の通勤に時間が掛かっても狭い家は嫌だ、クルマが必要(趣味にも使うから)という意見が多く、みなオジを始め都心に居を構えるモニターは、徒歩・自転車での行動範囲ですべての施設が揃っている利便性(時短)に対する評価が高いという感じでした。

リモートワークは快適ではない?

一方、満足な環境でリモートワークをされている人はほとんどおらず、理由は違えど住居に対する不満は様々あるようでした。それが、住居に由来する不満なのか、機材の問題なのか、はたまた家族が協力的でない等対人関係の問題なのかはわかりませんが、そんな不満がありつつもリモートワークを選ぶのは、出社が無くなったことによる解放感が大きそうです。どれだけの人が真面目に答えてくれるかわかりませんが、リモートワークでどれだけサボり時間増えたかというアンケートがあれば見てみたいものです(窓際のおじさん社員なんか、6時間くらいはTV見てるんじゃないかと疑ってます)。

座談会の後半は、主催者から具体的な企画案を見せていただき、それについて率直な感想を求められました。企画案を見るとローンチ前のラフ案の為か、少々非現実的なアイディアも散見されているました。中には結構ぶっ飛んだ内容もあり、絶対に社内稟議通らなそうなプランもありました。

座談会に参加して

今回座談会に参加して、タメになったというか、マンションオーナーとして色々と考えさせられる点がありました。これからマンションを設計する際に「コロナウィルスとの共生」がコンセプトに取り入れられているか否かで、購入検討者のそのマンションに対する評価が変わってくるでしょう。

実際みなオジ自身もリモートワークの時間は多くなってきており、目下、腰痛や肩こりが切実な悩みとなってます。みなオジの友人の成金さんは、成金の性なのか、ミュージシャンのGACKTみたいな間接照明を多用した部屋をインテリアコーディネーターにオーダーしてしまったものだから、「暗くて家で仕事できん」と愚痴っていました。(まあ、明るくてもしないと思いますが…)

成金さんの部屋(イメージ)

成金さんの例は極端ですが、この様にファミリータイプの比較的広い住宅であっても、家で仕事をすることを想定して設計されている訳ではないので業務に不都合がありますし、独身者が住むワンルームや1Kタイプの狭い部屋では、尚更、身体的な疲労に加え閉塞感を受けストレスとなるでしょう。住居を改良する事でそれらの負担が解消できるなら、私も真面目に購入を検討します。(ただし、費用対効果があるかは別)

今回の座談会を経て、どういった間取りがリモートワークに適していて、どういった機能を具備するマンションであれば仕事がはかどるのだろうかと考察してみたいと思う様になりました。みなオジ自身はマンションを4回購入していて、訪問したマンションギャラリーも延べ50箇所以上あります。加えて、上京後一人暮らしを始めてから築40年の風呂無しアパートから港区の超高層タワーマンションまで、間取りや広さを含め様々なランクの暮らしを経験しており、日本で有数の「物件ジェットコースターを経験した人間」と自認しています。クソ物件から上流物件を知っているからこそ、間取りに関する知識とこだわりに一家言を持っているつもりです。

リモートワークに適したマンションの間取りって何なの?

そもそも、「リモートワークに適したマンション」ってどんな間取り何でしょうか。

結論から先に言うと、リモートワークに適した間取りというのは「ない」と思います。正確に言うなら、間取りというよりは仕事に適したサイズの机と椅子を置けるスペースがあり、それらを配置してもまだ生活導線を邪魔しないゆとりがある事でしょうか。つまり十分な広さがあれば、基本、間取りの妙など簡単に凌駕できるというのが真理です。いきなり元も子もない事を言い放ちましたが、絶対的な広さが不足していては、いくら間取りを工夫しようが根本的な解決にはならないのです。

これは、狭小住宅によくある小手先のごまかし(いかに広く見せるか)に似ています。この前もTVで建築士が一分の無駄も無く設計した狭小住宅を取り上げていますが、よくよく見るとその分生活導線がおかしなことになっていたり、3階建てのフロアをつなぐ階段が急こう配過ぎて、もはやボルダリングの壁面状態になっていたりツッコミどころが満載です(そんなに、体鍛えたいなら壁にクライミングホールド(ボルダリングの持つところ)でもつけてください)。まあ、リポーターも番組スタッフも素人なんで、番組内ではその辺りは一切触れずに、無駄に費用が掛かってそうなシステム収納や、きれいに整えられた中庭を「わー、キレイ!」等と取りあげるだけです。

手摺り
おじいになった時登れる自信がない…

「狭小住宅」の定義については。以前、みなオジブログで説明しています。→詳細はこちら

地価の高い都心部では高度成長期から数十年に渡り、限られたスペースでいかに効率よく部屋を配置できるか試行錯誤を繰り返しており、その技術はもはや芸術の域まで達していると言えます。専有面積が狭いのに、奇をてらって無理にコロナフォーメーションみたいなものを押し付けてしまうと、先述の効率性が失われた「単なる潰しのきかない部屋」に成り下がってしまうのではないかと危惧しています。

これが押売り的「Withコロナ」間取りだ!

それでは、みなオジがダメ建築士(意識高めなアイディアマン気取った自信過剰な性格)になりきって、思い浮かびそうな設計を実際に作ってみました。コンセプトは「ユーティリティ&セーフティ」です。

極小ワークスペース&主寝室

具体的な「Withコロナ間取り」とはどのようなものかというと、まず最初のアイディアがリビングに接する部分に配置した「ワークスペース」(下記間取りの赤塗りの部分)です。この極小ワークスペースが「ユーティリティだろぅ」(スギちゃん風)という主張です。「ここで、誰にも邪魔されずに、のびのびと仕事に励んでください」という、建築士のドヤ顔が浮かびます。(まあ、「のびのび」できる広さではないんですが)

想定は、家族3人(夫婦+未就学児)暮らしで、
1LDK+WS(ワークスペース)55㎡のマンションです。

ちなみに「極小」とはどれくらいかですが、リビングの広さにもよりますが大体2~3畳くらいのスベースです。仮にファミリータイプの間取りで2LDKで55㎡前後とすると、LDK併せて10畳あればいいところです。ファミリータイプのLDKで10畳というのも結構な狭さだと思いますが、そのうちの2~3割をリモートワーク専用のスペースにすると、生活空間としてのLDKが破滅的な狭さになってしまいます。いっそのこと、炊事は切り捨てて、宅食サービスに切り替えてキッチンはぶっ潰してしまった方が潔いかもしれませんね。(笑)専業主婦だった奥さんにも気兼ねなく働きに出て行ってもらう事も可能になり、これこそ本当のコロナ対策といえるかも知れませんね。

ちなみに、奥さんもリモートワークの会社に入ることが出来れば、奥さんはダイニングテーブルで仕事が出来そうですね。(夕方は料理しながら仕事もできそう?)

主寝室も4畳程度とかなり割を食っており、おそらくお父さんはワークスペースに布団を引いて眠ることになるでしょう。(それはそれで、逆に落ち着くのかな?)

「洗面スペースを玄関脇に配置」

次なるアイディアとしては、「洗面スペースを玄関脇に配置」という奇策を考案してみました。これは、「セーフティ」の具現化です。

「外から帰ってきたら、まず手を洗おう!」という小学校の校則を体現した様な配置です。(しかも無駄なスペースの代表格である廊下も有効利用でき、脱衣スペースも省スペース化できますという、売り文句付きです。)一見、無駄を排除した様な配置ですが、水回り使用後は玄関びしょ濡れで掃除が大変そうですし、歯磨き中に来客があったらひとまずトイレに避難するという戦法か?

廊下に台所や洗面等の水回り設置はワンルームならありそうな間取りですが、ファミリータイプで玄関前に洗面スペースがあると、やはり玄関周りが大渋滞しそうです。うーん、やはり洗面所はセオリー通り※脱衣所スペースで良いのでは?

※「玄関脇 手洗い場」で検索すると、結構採用例があるみたいです…

何処からともなくアイランドキッチン登場!

一見オシャレな「アイランドキッチン」ですが、自分で突っ込むと、これも「やらかして」います。

第1に「回遊導線」が売りのアイランドキッチンですが、隣のダイニングテーブル(兼仕事机)でみごと導線をぶっ潰しています。(一応これには理由を付けていて、子供が小さいうちは、キッチンの中に入らせないように「敢えて」片方の導線を潰したと主張する事にしましょう。

2つ目は、導線以前にデッドスペース多すぎ問題です。純粋なリビングの広さが4畳程度でただでさえ圧迫感あるのに、なぜアイランドキッチン※で圧迫感増やした?と総ツッコミが入りそうですね。子供がこの部屋で走り回ったら、足を家具にぶつけて悶絶ですね。

アイランドキッチン6
(イメージ)アイランドキッチン
※独立型のアイランドキッチンは開放感があって主婦の憧れですが、
その分広いスペースがないとただただ邪魔な存在となってしまいます。
(LDKで10畳程度のスペースに置こうものなら…)

結果として狭い居室内に無理やりワークスペースを取り込んだために、他のスペースが少しづつ被害を被った間取りとなっています。しかもワークスペースも独房の様な狭さですし、結果、誰も得をしない「迷」間取りとなってしまいました。Withコロナを表面的な理解を以て間取りを作成し、独善的にユーザーに押し付けるとこうなるという失敗例です。

コンセプトの渋滞

売主として次世代のマンション企画を考えた時、コロナウィルスを意識したアクションを(取組む姿勢だけでも)講じておきたいという気持ちは理解できます。しかし、リモートワーク等の新たなライフスタイルにとらわれ過ぎるあまり、逆に上記の長所を損なってしまうということも理解しなければなりません。こういう状況を、コンセプトの渋滞というのでしょうね。

では、今回の座談会も含め売主側の商品開発の努力は無駄なのかというと、一概にそうは感じません。努力を振り分ける方向を間違っただけです。個々のアイディアは面白くても、ライフスタイルは人それぞれなので、売主が一律に提案しても空振りに終わるという事を伝えたかっただけです。つまり、注文住宅と相性の良い広い戸建住宅なら、オプションの一つとして選択の余地はあると言えます。

まとめ

コンセプト渋滞が影響したのか、記事内容も取り留めなく増えてしまったので、続きは次回とします。前段でリモートワークに適した間取りというのは「ない」と言い放ちましたが、次回は間取りに頼らず快適にリモートライフが満喫できる住居の条件を中心に書いていきたいと思います。

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港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。