このトピックは、以前のブログである「女性受けするロレックスと女性が付けたいロレックス」と「結婚にお金を掛けなかった理由」の間のエピソードとなります。
目次
「みな妻」の衝動
事の発端は、昨年末からスタートした「ロレックスマラソン」です。いい年したオジさんが楽しそうに時計探しの冒険をしていたことから、妻の中でも「時計欲しい衝動」が生じてしまったというのが、事の発端だったようです。
みなオジが2021年3本目のロレックスを購入したある日のこと、妻がこんな言葉を発したのです。
「私も時計が…欲しい…」「私の誕生日近いよ」
この時、みなオジは、妻の要求を拒絶する理屈を思いつくことができませんでした…
なぜなら…、その要求を拒絶するという事は、ロレマラの終焉を意味する事だったからです。(極めて自己的!)
「な、何が欲しいのかな?(乾いた笑い)」
「だから、ロレックスでいいよ」
え?ロレックス「でいい」。…でいい???????????
こともなげに言ってくれるなぁ。とは思いつつ、みなオジは結婚当時、妻に言い放った啖呵(たんか)を思い出しました。「大きな出費は、何かを成し遂げてから」。言ってる、すげーカッコつけて言ってたわ!
関連過去ブログ:「結婚にお金を掛けなかった理由」は→コチラ
何かを成し遂げたどうかは(自己評価でもあり)疑義が残るものの、自分だけ高価な時計を身に着け(そしていまだに追い求めている)、妻には買わないという道理はない…
特に結婚以来、「後回し」という理論でこれまでこれといったご褒美を渡せなかった点は、男としてそれなりに罪深く感じており、そのツケはどこかで返す必要があるのではないかと感じました。
そうだ、初めて妻にプレゼントをしよう。
ん、でも待てよ?そー言えば、俺って、レディスの時計ってほとんど知識ないなぁ(当たり前だけど)。以前ブログで「女性受けするロレックスと女性に着けてもらいたいロレックス」ってトピック挙げたけど、後で読み返すと薄っぺらい内容だったなぁ、と思い返しました。
関連過去ブログ:「女性受けするロレックスと女性に着けてもらいたいロレックス」は→コチラ
男性が一世一代の大舞台で勝負に出る時に必要な時計のプレゼントって何が相応しいか。女性が世代を超えて自分の娘に受け継がせることができるくらいの逸品って何だろう。(こういう経緯で、このトピックを書いています。)今回は、この様な視点で、女性が生涯に渡り愛用することができるウォッチを(ロレックスに限らず)ピックアップしていきたいと思います。
言うまでもなく、プレゼントを渡す相手の女性を店舗に連れて、その人に選んでもらうというのが間違いない(穏当な)選び方と思いますが、ここは奥ゆかしい女性から全権を委ねられた(「あなたが選んだ時計を着けたいの」という、ある種絶滅危惧種の様な女性へのプレゼント)という前提で考えていきたいと思います。
最良の伴侶に贈りたい時計3選
エントリー① オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク 67651SR.ZZ.1261SR.01 (2,530,000円) エントリー② ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ 205V/000R-B592 (3,410,000円) エントリー③ パテック・フィリップ Twenty~4 4908/11R-011 (4,622,400円) |
ロレックスファンとしては「ロレックス推し」で行きたい所ですが、ここは敢えてロレックス以外で考える事とします。(ウォッチを贈られる側の女性の為に、フラットな目線で選ぶという意味で特別な感情は極力排除しました。)
加えて、今回は意識的に素材は全て異なるものにしています。素材(グレード)を揃える事により時計本来の価格差が明確になりますが、3大ブランドを推す中で単純な価格比較は野暮というものですので、定番の皮ベルトからラバー素材といった正統派とは言えない様な異素材も加え、幅広いバリエーションから選んでみました。
みなオジは今回、最終的にこれら3ブランド以外の時計を妻に贈る(ネタバレ済)事になりましたが、これらの時計はブログネタ様に当て馬として選んだわけではなく、本当に彼女が望むなら購入しても良いという意味で、妻を連れて正規店を回った上で在庫があるものについては、試着してもらいました。
オーデマ・ピゲ 「ロイヤルオーク」
「世界のAP」こと、オーデマ・ピゲが誇るフラグシップモデルであり、ラグジュアリースポーツモデルの最高峰と言える「ロイヤルオーク」のレディスモデルがこちらです。八角形のベゼルに、ダイヤを散りばめ上品さを深めていますが、このタイプはステンレスとゴールドのコンビネーションモデル。ケース幅は33㎜のモデルは、使いやすさを考えクオーツ(電池式)にしていますが、34㎜のモデルは自動巻きを採用しており、こだわりの強い女性のニーズも満たしてくれます。
高級腕時計のトップを行くオーデマ・ピゲが素材にステンレスという貴金属以外の素材を用いたやや無骨にも見えるこのモデルは、当時のセレブには新鮮に映りました。(それもそのはず、ロイヤルオークはモチーフにしたものは、イギリスの軍艦「ロイヤル・オーク」の船窓でした。)
それまで、3大ブランドの中でも特に保守的と言われていましたが、「ラグジュアリースポーツウォッチ」という新ジャンルを打ち出したことで、当時クオーツ時計に押されていた機械式時計を復権させたきっかけとなった、歴史の1ページを作り出したともいえる名機です。
もし、あなたの伴侶が会社で活躍するキャリア志向の高い女性であるならば、型で押したようなドレスウォッチでは物足りなさを感じるかもしれません。ステンレスで覆われたケースは仕事でタフに使っても傷も目立たなく、まさに働く女性にぴったりの相棒となってくれるはずです。そのような想いが伝わるかどうかはともかく、女性=守らなくてはいけない存在ではなく、あなたにとって対等な立場のパートナーとして考えるのであれば、是非この腕時計を候補にして欲しいですね。
ちなみに、現在、APは予約なしでは入店する事が出来ませんでした。また、ロイヤルオークを始め、試着できるレディスモデルが店舗に置いていないことから、まずは男性自身がAPオーナーになって、ブランドとの繋がりを作っていかなければならないでしょう。
ヴァシュロン・コンスタンタン 「オーヴァーシーズ」
ヴァシュロン・コンスタンタン
「オーヴァーシーズ」
次はスイスの老舗、ヴァシュロン・コンスタンタンの代表モデルである、「オーヴァーシーズ」です。
オーヴァーシーズは男性モデルでも展開していますが、現在人気高騰中で正規店ではほとんど手に入れる事が出来ません。ペアで着けられるモデルですが、男性モデルは予約も受け付けていないので、実際にペアが実現できるのは購入後4~5年後位かも知れません。このモデルを挙げた理由は、白(以外にもカラー展開しています)のラバーベルトです。女性ウォッチでラバーベルトは珍しいかもしれませんが、このモデルには皮ベルトも付属しています。このモデルの特徴として、ベルトは自分で簡単に取り外しできるので、これら二つのベルトを季節によって変えたり、その日のファッションや出かける場所によって使い分けができるという取り回しの良さがウリとなっています。
4605F000R-B496
¥3,454,000(税込)
夫婦でオーヴァーシーズを着けて年甲斐もなくペアルックする姿を思い浮かべ、それも悪くないかも…と妄想しましたが、みな嫁は予想に反し、隣に展示されていた「エジェリー」に夢中の様でした。夫婦とはいえ、ままならないものですねぇ…(長年連れ添っていても、男女間の時計の好みの合致というのは中々起こり得ないです)
ちなみにヴァシュロンを含む、今回挙げた3つのブランドは、男性用腕時計としては「3大ブランド」にカテゴライズされています。
必ずしも男性ブランドの格付けがレディスブランドの序列と比例するとは限らないのですが、このブランドの売りは「歴史の長さ」にあります。1755年の創業から一度も途切れることなく続いてきた時計メーカーとして世界最古です。(同じくスイスのウォッチブランドである「ブランパン(BLANCPAIN)」は1735年に創業しましたが、途中で操業停止した後、10数年の時を経て1983年に復活しました)
ここで重要なのは、時計に「永遠に続く」というメッセージが込められている事ではないかと思う訳です。(実際にこのブランドの時計は縁起物としても高く評価されています)
何百万とする高価な贈り物ですが、「途切れずに、永遠に続く」、そのブランドが具現化したイメージを自分達夫婦に重ね、伴侶となる人に贈るという粋な計らいを時計に託しても、生涯に1度くらいならいいのではないでしょうか…
パテック・フィリップ 「Twenty~4」
パテック・フィリップ
「Twenty~4」
最後は、3大ブランドの最高峰ともいえるパテック・フィリップから。
前述の2本からの流れを考えるとフラグシップモデルである「ノーチラス」「アクアノート」「カラトラバ」辺りを紹介するんでしょ?と思われた方もいるかもしれませんが、最後くらいは期待を裏切らせていただこうとこちらの「Twenty~4」をおススメしました。
Twenty~4はパテック フィリップの中で唯一の女性専用に作られたモデルです。
ラインナップは大きく分けて、オートマチック(自動巻き)のラウンド型フェイスとクォーツ仕様のレクタンギュラー(長方形)フェイスのモデルがあります。名実ともに最高峰の時計ブランドが女性の為だけにデザインしたという点に興味を覚え、取り上げる事にしました。
3大ブランドの最大の売りは、ウォッチメーカーとして築上げてきた歴史そのものです。その歴史にクラシカルなドレスウォッチのデザインのノウハウが凝縮している事から、エレガントさが売りの女性専用モデルはパテックの十八番と言えます。
パテック・フィリップは歴史あるブランドと言うだけでなく、更に誇るべきものがあります。それは、創業以来オーナー家が経営権を守っているという事です。現在、時計メーカーの多くは企業グループを形成しており、前述の最古の時計ブランドであるヴァシュロンであっても、(スイスに本拠を置く)リシュモングループの1ブランドに属しています。
グループに属する事により安定経営ができ、資本力で大量に工場等の設備を整え増産体制をとることができます。しかし、その様なメリットがある一方、名門ならではのこだわりや非合理性は排除されてしまうというデメリットもある事は確かで、そういう意味ではパテックの独立性と創業オーナーが守り続けるパテックのこだわりはブランドの価値を更に高めていると感じています。
こだわりの一つの例として、パテックのフラグシップモデルの「グランド・コンプリケーション」は、ミニット・リピーターという鐘が鳴る超複雑機能を有していますが、その音色に関して非常に強いこだわりを有している事で有名です。
「グランド・コンプリケーション」の出荷の際は、(創業家の)社長自らが一つ一つ鐘の音色をチェックして、社長が合格証明書にサインをして初めて出荷できるというルールがあるのです。
現在においても、この様なルールを実施することができるのは、ひとえに需要があるからと言って営利主義に走りむやみに大量生産はさせない(このクラスのモデルになると、基本的に懇意にしている顧客からのみオーダーを受け付け、しかも受注審査を経て生産するというスタイルを取っています)というオーナー企業としてのポリシーが徹底しているからです。
これらは、巨大企業となったリシュモンやスウォッチグループには決してマネできない、ブランドマネジメントと言えるでしょう。
3大ブランドが「別格」である所以とは
先ほどの、ヴァシュロンでも記載した通り、3大ブランドは時計メーカーの中でも数少ない「永久保証」を売りにしているブランドです。
永久保証を謳うこれらのブランドは、ブランドそのものが消えるまで、自らが作った時計は絶対にメンテナンスを受け付けてくれます。自社でメンテナンスを受け付けるというのは、言い換えれば、100年以上前の部品も作り続ける事を義務づけられていると言え、メーカーにとっては多大な労力が必要とされるのは言うまでもありません。(ロレックスですら、製造終了後25年の部品の保有期間を設けているに過ぎません。ですので、みなオジもロレックスのアンティークはそれ程魅力的に映らない。)
これはつまり、これまで紹介してきた商品は世代を超えて愛用できる品物である事を意味します。永久保証がされることにより、時計の寿命は人の寿命を大きく上回ることになり、結果として、「親から子、子から孫」に受け継がれる家宝級の時計となるのです。
複数の店舗を回って気が付いた事でしたが、ロレックスのスタッフは9割9分ロレックスを付けて接客しています(ちなみに、社割で安く買えるという事は無いらしい…)。しかし、3大ブランドを扱う店の店員さんは誰も取り扱うブランドの時計は付けていません。その理由は、これらの時計がヨーロッパの王族や著名な政治家など、由緒正しき人々が愛用するブランドである事から、自分達はそのブランドを身に付けるほど洗練されていないという意味で、敢えて身に着けていないそうです(価格的には買えない額では無く、あくまでも心持としての販売者のポリシーだと思います)。
まとめ
思わず熱く語ってしまいましたが、3大ブランドは一つ一つが長い歴史を有しており、とてもこのトピックで語り尽くせるモノではありませんが、どれも贈り物として極上の逸品になる事請け合いです。
個人的には、これらのブランドのモデルを自分の「あがり」(最後に手にする)の時計にしたいと密かに野望を抱いています。その為にも、まずは自分自身が精進して、これらの時計の所有者として相応しい品格を有さないといけません。
3大ブランドは「マラソン」では購入できないものですが、走る体力がある内は(3大ブランドではなく)引き続きロレックスを狙っていけというお告げだと都合よく解釈する事にしました。(走れなくなる年齢になったから3大ブランドに導かれるというのもなんか違う様な気もしますが…)