不動産

マンション価格予想とは?~過去の雑誌を読み返して

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引用元:週刊ダイヤモンド2017年2月号 

部屋の片づけをしていると古い雑誌が出てきた。私の悪い癖で、本の片づけをしていると大抵その当時の記事を読んでしまい、気が付けば1時間経っても全く部屋が片付いていないという状況に陥ります。

今回も案の定、そのパターンにはまってしまいました。今回は昔のマンションに関する特集記事が2017年2月号「週刊ダイヤモンド」に掲載され、みなオジは無意識にページを拡げていました。テーマは「あなたの資産、上がった?下がった?」。人のスケベ心をくすぐるナイスな記事でした。(まあ。私もそれに釣られて、雑誌を購入した一人なのですが…)

記事の概要

・この記事が掲載された2017年は既にマンション価格が高騰している状態で、とある都内新築マンションの販売所は閑古鳥が鳴いている。
・新築価格の高騰により、中古物件に注目が集まる?
・中古物件の大調査で、物件の「勝ち組」「負け組」の法則が明らかに?

この特集の中でマンションの「2021年予測」というものが記載されていましたので、答え合わせを行っていこうかと思います。この記事自体は、何かの圧力が掛かっているような感じはうかがえず、比較的フラットな目線で記事が書かれていました。そのため、2021年予想自体はそれ程不安(買い/売り)をあおるようなものではなく、妥当な予想だなと当時みなオジは感じていました。

今でもそうですが、いつの時代も雑誌の発行部数UPの為に、「不動産バブル崩壊か?」といった過激かつ偏向記事タイトルをよく見かけましたねー。

良くある「不動産価格のその後」という記事

物件は首都圏・関西など幅広くランキングが記載されていました。みなオジが住んでいる港区の物件を中心に答え合わせをしてみたいと思います。抽出対象として並んでいるマンションは以下の通りです。

・2000年~2015年に竣工したマンション
・新築時と雑誌発刊当時(2017年2月)の価格の騰落率順に記載
・2021年の予測価格は、不動産価格推定システム「GEEO」というAIが算出
ランキングの抽出条件

AIに予測させるに当たって、オリンピックが無事終了し、その後の経済効果が加味されるという変動要素をインプットしていると思いますので、現在のオリンピック延期と、コロナ禍における消費マインド等、実際の状況とは当然乖離はあるでしょうが、さてさて…答え合わせの結果に行ってみましょう。

マンション名(売主)騰落率(%)新築価格(70㎡換算)発刊時(2017年)価格2021年予測実績(売出価格)
シティタワー品川(住友不動産)120%2,540万円5,586万円5,193万円6,275万円
芝浦アイランドケープタワー(三井不動産他)57%4,675万円7,317万円6,871万円7,601万円
東京シーサウスブランファーレ(鹿島)51%4,329万円6,527万円6,026万円8,914万円
キャピタルマークタワー(東急不動産)49%4,699万円6,992万円6,630万円8,988万円
フェイバリッチタワー品川(伊藤忠)46%4,370万円6,384万円5,917万円6,245万円
パークタワー芝浦ベイワードオーシャンウイング(三井不動産)42%4,922万円6,985万円6,559万円8,656万円
ベイクレストタワー(ゴールドクレスト)35%5,089万円6,851万円6,340万円7,603万円
インプレストタワー芝浦エアレジデンス(双日等)32%6,572万円8,666万円8,831万円8,695万円
芝浦アイランドグローブタワー(三井不動産他)29%5,421万円6,992万円6,631万円8,614万円
ワールドシティタワーズ(住友不動産)20%5,312万円6,360万円5,890万円8,752万円
コスモポリス品川(リクルートコスモス)15%4,656万円5,337万円5,003万円7,280万円
引用元:週刊ダイヤモンド2017年2月号 芝浦、品川(港南)のマンション騰落率

騰落率1位のシティタワー品川は、東京都から都有地をほぼタダ同然で仕入れ、定借物件で売り出したという事情もあり、デベロッパーの利益を相当絞った(ただのミスプライスという噂も??)という特殊な物件ですので、あまり参考になりませんが、2位以下の騰落率は4年前である2017年当時でもかなり優秀な数字です。

★シティタワー品川、これは外れ値(特に騰落率)で参考になりませんが、一応平等を期す意味で記載しました。
★フェイバリッチタワーだけ売り出しが無かったので、他サイトの参考価格を便宜記載しました。

※2021年2月現在の売出物件は、SUUMO(WEB版)から引用しました。売り出されている部屋の広さはそれぞれ(なるべく近い広さを拾いましたが)ですが、平等を期すため70㎡に引き直して価格を揃えています。

今回「答え合わせ」という言葉を使いましたが、正直、今回の答えが正しいかはわかりません。なぜなら新築時の価格が何を基準に出されているのか(マンションなので方角・階数で価格に幅がある)わかりませんし、2021年2月現在で売り出されているマンションも成約価格ではないので、記載した価格から数%程度の値引きの指値が入って成約しているかもしれませんし、フルリノベ後の費用が乗っている価格かもしれないからです。ですので、参考程度に(お遊びと思って)ご覧ください。

2015年時点のAI予想価格は控えめな結果?

検証の結果ですが、「インプレストタワー芝浦エアレジデンス」以外はどれもAIがはじき出した予想価格を上回っていますね。そして改めて、シティタワー品川の破壊力を見せつけられますね。何てったって、新築時売出価格が2,540万円で現在は6,275万円ですからね~(ちょっとした宝くじですよ、羨ましい)。既に2008年の分譲時から10年経過しているので、売却・賃貸も自由です(購入時の条件で10年間は転売・賃貸禁止でした)。ちなみにシティータワー品川を賃貸に出したとすると、25万円/月は固いでしょう。分譲時の購入者が賃貸に出したとすると表面利回り12%です(今の市場ではありえない!!)。

唯一、現実の価格が2021年の予想価格を下回った「インプレストタワー芝浦エアレジデンス」ですが、この物件は、2017年価格(8,666万円)→2021年予測価格(8,831万円)も唯一上げていた物件です。みなオジ的には、何故AIがこの物件だけ2017年から更に上がると判断したのかが気になりますが、この物件だけ築7年と他の物件(築10~16年)より築浅だからかもしれませんが、その他の上振れする個別要因でもあったのでしょうか?

AIもコロナショックは織り込めなかった?

上記の通り、1件の例外はあったものの、AIは港区の品川・芝浦エリアに関しては、オリンピック後の不動産市況について堅実(というか弱気)な予想をしていたという印象を受けました。これはやはり2017年現在からオリンピックまでは、オリンピックバブル(だけ)がマンション価格を上昇させる要因としていた為に、宴の後は暴落とは言わないまでも、価格を落とすと予想していたという事でしょう。

しかし、現実は新型コロナウイルスの影響でオリンピックは延期(しかも、開催中止の可能性もある)状況で、消費マインドの冷え込みからすると更に価格を落としていても不思議ではないのですが、実際の取引相場は更に高騰を続けていると言えます。コロナの影響により多くの人は収入が低下して購買力を落としているのですが、一方でこの状況でも株などの含み益などで購買力を上げている富裕層もおり、彼らが都心部の不動産価格を支えているのです。(私もまさかコロナが収束前に東証平均株価が3万円台に到達するとは思いませんでしたよ…)

「安物買いの銭失い」は本当だった

この検証結果を振り返って、いくつかの法則(と事実)へと導くことができそうです。まず、タワーマンション等、大規模物件ほど価格上昇率が顕著です。小規模物件は大型プロジェクトが体力的に難しい中小デベが企画するので、新築時の価格的には安い(勿論、共用施設などは貧弱)ですが、結局は「安物買いの銭失い」となる公算が高いと言えます。投資の鉄則として、できるだけ上がり切っていないものを選ぼうとする意識が働きますが、不動産に関しては高くてもそのエリアでNo,1の物件を購入すべきと言えるのです。

逆に、この規模のマンションを企画できるのであれば、マンションブランド(どこが売主か)は、それ程大きく影響を及ぼしているようには思えませんね。

引用元:週刊ダイヤモンド2017年2月号 中古マンション騰落率ランキング

港区内陸部は更に高騰している

今回は週刊ダイヤモンドの記事に記載のあった港区の品川・芝浦エリアだけに焦点を当てて2021年現在の中古相場に言及しましたが、港区内のマンション価格をいつもウォッチしているみなオジの感覚では、もう少し内陸側に入った白金や三田、更に内側の赤坂、麻布、六本木、虎ノ門になると、上げ幅的には、更にもう一段階高騰している様なと感じを受けます。これは別に、みなオジが贔屓して港区推しをしているわけではなく、千代田区でも渋谷区であっても同様の事が言えます。都心部の物件であればあるほど、つまり、2015年時点の価格が高い(つまり希少性のある)エリア程、更に価格は上昇しているという事です。

みなオジの様な庶民には資金調達の面でこれ以上手が出ませんでしたが、資金力のある富裕層は都心部ほどまだまだ伸びしろがある(実際に下記表の通り、海外の主要都市に比べると東京の不動産は安い!しかも調達コスト(金利)も安い!!)と踏んで、買い漁っているのでしょうね。それにしても、ロンドンや香港でマイホームを持つのは夢のまた夢ですね~。億ションは固い元麻布のマンション価格が子ども扱い(ロンドンの半額以下)です。

(引用:日本不動産研究所)「国際不動産価格賃料指数(2017年10月現在)

ちなみに、豊洲、月島、勝どきなどの湾岸エリアも調べてみましたが、物件ごと多少ばらつきもありながら、品川・芝浦エリアと同じ様な上がり具合で上昇していました。こちらは更にオリンピック村に使用される「HARUMI FLAG(晴海フラッグ):総戸数5632戸」が控えている中、タワマンが飽和状態でオリンピックの影響を受けるかと思いましたが、意外にも根強く価格を上げていると思います。むしろ、オリンピックが通常通り開催されていて、その後のインバウンドも旺盛だったというアナザーストーリーが展開されていれば、海外からの投資マネーが後押しする形で更に上がっていた可能性もあったかもしれません。

マンション名(売主)騰落率(%)新築価格(70㎡換算)発刊時(2017年)価格2021年予測実績(売出価格)
キャピタルゲートプレイス(三井不動産他)41%7,087万円10,016万円10,679万円11,300万円
パークタワー豊洲(三井不動産他)14%5,536万円6,309万円6,509万円6,780万円
勝どきビュータワー(ゴールドクレスト)6%7,745万円8,210万円8,074万円8,880万円
引用元:週刊ダイヤモンド2017年2月号 芝浦、品川(港南)のマンション騰落率

月島・豊洲・勝どきの代表的な3物件を例に挙げましたが、予測価格と比較して1,000万円を越える価格上昇は見られず、港区の推移と比べると上昇幅は若干物足りないと言えます。(しかも、3物件ともミニバブルを抜けた後の、比較的手ごろな新築価格だったにもかかわらず、です)

ただ、これは左記に港区の物件を見てしまった後だからそう感じてしまうだけで、新築から4年経過したマンションにしては出色の出来映えだと言えます。(特に、月島の不動のランドマークタワーである「キャピタルゲートプレイス」は、現在も新築時価格から60%越えで取引されている、モンスター物件です。(みなオジも、一時期この物件を検討していただけに非常に後悔した思い出があります…)

やはり買っておけばよかった!?

結論から言えば、2017年当時既に、マンション価格は高い!と言われていましたが、そこで様子見をしていた人は更に買う時期を逃したと言えます。株式のように価格の上下が生じるものは、買う時期が大切であると言いますが、結婚・出産・子供の進学が控えている中では、生活を充実させるために価格面はある程度犠牲にしなければならないのではないでしょうか。物件価格は上がっていても、金利は下がり、国の新築購入の優遇制度(減税、各種給付金)は10年前に比べて手厚くなっているので、全く購入に適しない時期であった、とも言い切れません。

AIのポテンシャルを垣間見た

価格予測に関しては、多少外れた感がありますが、AIの可能性(不動産テック)も非常に感じることができた内容だったのではないでしょうか。2017年当時からAI技術は更に進化を遂げているはずでしょうし、過去記事である、「残価設定型」住宅ローンは、高騰を続ける不動産市場の起爆剤となり得るかでは若干懐疑的な評価をしましたが、もしAIが残価設定を的確に行う事が出来れば、残価設定型ローンの真価が発揮できると言えます。

検証記事の企画化を希望

出版社も過去の「予想もの記事」の検証企画をしてみてはどうでしょうか。ピタリと当てていれば編集部の威厳を保てるでしょうし、仮に結果が外れていても、何が変動要因がだったのかを分析し、そこから導き出される傾向を基に更に10年後の予想をする等して、転んでもタダでは起きないように新たな展開へと拡げれば面白い(過去に記載したことに対する振り返りをするという意味で、個人的にはプラス誠実さも感じさせる企画だと思います)のではないでしょうか。

また皆さんも、雑誌などは後から見返してみると、新たな発見があるかもしれませんよ。

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港区オジさん(みなオジ)です。
長い極貧オジさん生活を経て、いつの間にか小金持ちのアーリーリタイアオジさんにクラスチェンジしました!
投資家と司法書士の肩書を有する一方、妻の尻に敷かれるちょい駄目オジさんの異名も持つ。